第7話 女王陛下からの招待状(1)
【シルフィーヌ編】
「シルフィーヌ、今日の練習はここまでにしよう……。お疲れ様……」
「ありがとうございます。神父さま……」
今日も私の魔法の練習、鍛錬も終了した。
だから私は自分の魔法の師である神父さまへと頭を下げつつお礼を告げた。
「いいや、いいや。こちらこそありがとう、シルフィーヌ……。こんな遠くの寺院迄通ってくれて、私達の方がありがたいよ……。君がこんな田舎の寺院へと尋ねてくれるから。君のお爺様である、グラニュー伯爵から沢山の援助をしていただけるのだから。私達、寺院の者達の方が余程助かっています」
私がお礼を告げ、頭を上げるとまた今日も神父さまは師であるにも関わらず。私が領内の端にある、この静かな田舎町に建つ小さくて古い寺院へと足を運んでくれるから、神父さま達が祖父から恩赦を受けることが可能になっているからと。私のような若輩者へと頭を下げてくれるのだが。
私は幼い頃からこの寺院と神父さまから魔術の勉強と訓練をおこなっている。
そして私はある人のように世界最高の魔術師! 魔女! できれば魔王と呼ばれる者になるための精進を重ねているのだと、私がみなに説明をすれば。こんな田舎町の小さな寺院よりも貴族の子達が多々通う大都市の寺院や女王陛下が庇護する魔法学園で、魔法の勉強や技術を学ぶ方がよいのでは? と思うかもしれないが。
我が一族は代々この寺院で勉学や魔術の教えを受けている。それは我が家が小さな男爵家……。
そう、この小さな寺院がある小さな町の貧相な男爵家でいた頃から歴代の神父さまについて勉学や魔法の勉強、技術の基礎を徹底的に教わった。
特に今の神父さまがこちらの寺院へと赴任されてからは我が一族から世界的にも有名な魔術師を輩出……。
特に私の叔母の中には世界中の魔術師が恐れるほどの女性……。魔王と呼ばれる者や鬼と呼ばれる者も輩出し、名声値を得た者もいるほどだ。
だから私は幼い頃から叔母上さまや叔父上さま達のようになりたくて、今我が家が伯爵家になろうとも大きな寺院や魔法学園ではなく。我が一族が栄光を掴む基礎を作ってくれたこの小さな寺院へと通っている。
そしてお爺さまから私は寺院で働きながら暮らす人達に不備があれば知らせるようにとの下知も受けているぐらい、我が家の長はこの寺院と代々の神父さま達への恩義を忘れず庇護続けているのだから。神父さまのような高名な御方が私のような未熟者に頭を下げる必要性はない。
だから私は今日も神父さまへと微笑むの。
「いいえ、いいえ、神父さま。そんなことはないです。私の祖父は神父さまと。この寺院への御恩は消して忘れてはならぬと。私の父や母、兄や弟、妹達へといつも食事の最中に言って聞かせているぐらいですから気にしないでください」と言葉を返した。
「嫌々、シルフィーヌ。私は何もしていませんよ。只、貴女も含めて、叔母上様達や叔父上様達が皆優秀で、魔法の才能が備わっていただけですよ。だから私が何かをしたと言う訳ではなく。私自身は魔法の基礎を教えたに過ぎませんから」
しかし神父さまはいつもこの通りだ。
若輩者の私へと謙遜しつつ告げてくるのだ。
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