第49話 メイドな隊長、報告を受ける3
「
「たぶん。困ったことにね」
レオナは、屋敷での近衛隊長からティアへの報告――衛兵隊本部地下室での爆発の件をサイカへ伝える。
「
「うん。確認しないとわからないけど、たぶん闘技場で押さえた杖も持って行かれちゃっただろうね」
ローブ姿の男たちが持っていた杖は、まず間違いなく、
だから、道化師が自らレオナたちに捕まったのは、杖を回収することが目的だったのだろうと、レオナは確信している。
「わざわざ衛兵隊の司令が出向いてきて、道化師たちの身柄を引き取っていったと聞きましたが――それは、やはり?」
「
「では、司令は?」
「
あの道化師が、おとなしく捕まっているわけなどないとは思っていた。
(だから、こちらの手の内にある間に、なんとかしたかったんだけど)
結果としてレオナの予想以上に早く出張って来られてしまったので、どうしようもない。
(
闘技場地下で
(まあ、どうしようもないね。事前に対処できなかったわたしの負けだ)
なので、レオナはもうスッパリと割り切る。
無理なものは無理。
「となると、今回の収穫は魔石だけですね」
サイカも無駄に引きずることはなく、話題は魔石の正体へと移る。
「うん。今聞いた話だと、けっこうな数が用意されてたみたいだし、なにか手掛かりが見つかればいいんだけど」
そもそも魔石自体が、そう簡単に手に入る物ではない。
今回、敵が用意したと思しき数は、はっきり言って、国中かき集めても届くようなレベルじゃないのだ。
「そのあたりも含めて、フランが自分の工房へ魔石を持ち帰って調べています」
「あー、それで下にいなかったんだ。そんなに急がなくても、今日くらいゆっくりすればいいのに」
「フランが、あんな
「……そりゃそうだね」
フランは、隊ではバックアップを主に担当するエイルの班の隊員だ。
本人
最初の『本人曰く』と、真ん中の統一性のなさ、最後の『その他諸々』でわかるとおり、その才能を分類するのは無理。
彼女は、興味の湧いたことにはなんにでも手を出し、成果を出してしまう。
あえて評するなら『万能の天才』だろうか。
(まあ、興味のないことだと、指一本動かさなかったりするんだけどね)
「あのフランが興味を持った以上、隊長の期待以上の結果が出てくると思いますよ」
「魔石の組成とかから、入手経路がわかれば助かるね」
魔石は普通の石と同じで、場所によって特徴がある。
すべて同じ場所のものなのか、あちこちから掻き集められたものなのか。
(産地なんかが判明したら、ありがたいんだけどねー)
「それについては本人も、ついでに調べておくと言ってましたし、大丈夫でしょう」
「ついでって、なにか他にも調べるつもりなの?」
「はい。フランは、魔石自体についても、気になっているようでした」
「魔石……自体?」
「はい。なんだか不自然だ、と」
「でも、ルックアは何も言ってなかったんでしょ?」
ルックアは、最上級の鑑定魔法が使える。
何かあるのなら、ルックアが気づかないはずなど――。
「ルックアは『魔法以外のなにかの秘密があっても、わからない』と。『以前、
「それって、訓練所の……」
それは、訓練所で
竜牙兵を操っていた
あのときルックアが鑑定した際には、竜牙兵を呼び出し、おまけに術者の魔法を増幅させるものだということだった。
だが杖はその後に、敵の手から奪われたことを感知して元の所有者を灰にし、自壊してしまったのだ。
そんな世に知られていない特異な効果になど、たしかに気付ける方がおかしい。
(もしあれと同じように、魔法とは異なるなにかを秘めていたとしたら――?)
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