ep.3 由紀との接触

今回のターゲットは岐阜県池田町に住む、赤石由紀という名前の女性だった。




由紀はとてもおとなしい人で、自信がないのか、いつも縮こまっていた。




由紀に道すがらすれ違った。すれ違うときに由紀のポケットからハンカチをくすねる。




「あのー。落としましたよ。」




U氏はくすねたハンカチを渡す。




「あ、確かに知らず知らずのうちに落としていました。ありがとうございます。」




由紀は笑った。その笑顔はとても明るく、太陽のような温かい気持ちにさせるものだった。




そう、U氏は由紀に恋をしたのだ。




「あ、いえ。かわいいハンカチですね。」




「はい。このハンカチお気に入りのものなんです。友達からもらったものなんですけど、刺繡とかかわいくって、落としたなんて気づきませんでした。」




「落とさないように気を付けてくださいね。」




「はい。ありがとうございます。あれ、もしかして」




「ん?なんでしょうか。」




「もしかして、レモンの香水をつけていますか。私、鼻には敏感で」




「よくわかりますね。そうなんですよ。私体臭が臭くて、香水をつけて、紛らわせているんです。」




「そうなんですね。すごく、いい香りです。」




「ありがとうございます。あ、僕ちょっと行くところがあるのでここで。」




「ハンカチありがとうございました。」




由紀とはここで別れた。少しだけの会話だったが、とても幸せな時間であった。




もちろん、保留だった。由紀は生きるべき人間だ。あんな、笑顔が素敵な人間はいないと思った。




数日後、悲劇が起こる。


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