第019話 夜明け、不寝番(?)を終えて

──ちゃらちゃらちゃらら~♪夜→朝:場面転換の音──


 フロレアルの初めての夜営は、夜の独り大運動会が盛大に催され、気付いた頃には終わりを迎えていた。

 独りお愉しみは空が白ばみ始めるまで続き、結果だけを見れば居眠りをすること無く、無事に日の出を迎えており、不寝番を終るに至っていた。

 夜の大運動会によって流した汗などの影響で、全身がテッカテカになっているフロレアル。

 一糸まとわ姿で立ち上がり、姿を現し始めた朝日を目を細めつつ眺めると感慨深げに呟くのだった──


「──あぁ、朝日が黄色く見えるのは気のせいかしら⋯⋯。町の宿屋だったらきっと、『お嬢さん昨晩はお愉しみでしたね!』との名言をニヤケ顔の宿屋主人から投げ掛けられる気がするわ──」


 アタシは、徐々に昇り始めた朝日を目にしながら考える。


 結果として徹夜になったから、少し頭が〝ぼ~〟っとするから、身綺麗にするのに併せて頭のリフレッシュをした方がよさそうね。

 本音としては、お風呂に入るのが一番いいというより、本音としては入りたい──のだけど、流石に夜が明けてからだと人が動き始めるから、覗かれなくもないから、ここは我慢ね。

 アタシは別に露出癖があるわけでもないし、他人に裸を見せる趣味や見せたいなんて願望は持ち合わせてはいないから当然ね──疑いの目を向けてくるソコのあなた!セクハラですよ!

 ──それに悠長に野外入浴を満喫するのは、安全面からしても流石によろしくないので、ここはチャチャッと洗浄魔法でキレイキレイすることにしますかね──


 こうしてアタシは、自らの汗やら色々な汁などの体液、全身に付着する土や泥などの除去を洗浄魔法でまとめて済ませることにする。

 そうと決めたアタシは、特に気にすることも無く、汚れたままの体で厚手ローブや下着を身に着けてしまうのだった──



〜なぜなにシリエル先生〜

 洗浄魔法アクアウォシュウェイ。

 この魔法は水に汚れを移し取り、その水ごと汚れ洗い流し除去するという事象改変をもたらします。

 洗浄魔は水を操るモノであり、ソレとは別に水魔法などで洗浄に用いる水を準備する必要があります。

 因みに魔法で生み出された水の温度は、その場の気温と同じです。

 その為、基本的には水を魔法で生み出すか収納から取り出し、鍋などで適温の湯用意した後、洗浄魔法を行使するとの順序となるのですが、気合と根性で冷水浴に挑むという方法もありますが、余りオススメはしません。

 因みに川などの水を使うことも出来ますが水そのものの臭いは身体や髪、そして衣服に残る為、井戸水や余程の清流などでない限りは、洗浄魔法に用いない方が賢明ですよ。

 まぁ、肥溜めに落ちたなどの緊急事態の場合には、ばっちぃくちゃいので洗浄魔法をいち早く使うことを優先してくださいね。

 なお、旅の間は襲撃などの可能性が常に付きまとうので、基本的に野外では着衣のままで洗浄魔法を行い、身体と着衣の汚れを洗浄魔法で一緒に除去するのが普通のこととなっています。

 だからフロレアルは、身体の汚れを気にせずに下着や厚手ローブを身に着けたのですね。

 夜通し徹夜で独り愉しんだ結果、頭の中身がプリンに変化したという訳ではありません。


 そんな洗浄魔法ですが、人数が多い冒険者パーティーでは、その人数に比例して多量の湯を炊く薪などの燃料確保の問題が生じてしまいます。

 どうしても湯を用意できず、冷水浴が多くなってしまうことから、季節によっては非常に過酷なものとなってしまいます。

 そのことから一部の冒険者、特に男性冒険者らは野外行動中は洗浄を行わない者も少なからずいることから、冒険者は汚い、臭いとの負のイメージを持たれることも少なくありません。


 因みに、女性冒険者は男性冒険者よりも圧倒的に全体人数が少ないこともあり、冒険者パーティー内では大切に扱われることが多くなってます。

 なのでヒエラルキー上位者たる女性冒険者だけが贅沢に湯を用いてる冒険者パーティーは少なくありません。

 洗浄魔法で女性冒険者が使う湯を沸かす薪すら用意できないブラック極貧なパーティーは、引く手数多あまたな女性冒険者は残らないので、そんなブラックなパーティーは男性だけで編成されてることが多くなります。

 なので男女比が一つ資金力のバロメーターとして冒険者パーティーの実力を示しているとも考えられているんですよ。



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 今回は風呂好きーな話題が出たのでリンクは通常と異なり、入浴イメージとなっております。

 本話含めて愉しんで貰えれば幸いです。

フロレアル(主人公)④

https://kakuyomu.jp/users/kunnecup1103/news/16818093076508065588

 

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