第017話 初めての野営
アタシにとって、旅の初日である本日──これから初めての野営に挑むことになる。
──さてと、先人たる村のおっちゃんからの教え『陽がある明るいうちに、野営候補地の雑木林を探して、安全確認を済ませる』に従うことにしますかね。
そうと決めたアタシは、街道にほど近い一つの雑木林を候補として選び、危険が潜んでいないことを確かめ終えた上で、野営場所を確保する。
魔法が得意なアタシは、薪割りや火起こし、水の用意は魔法で簡単に済むのに加え、魔法鞄もあることから野営といっても特に苦とするようなことは行う必要はない。
薪についても、それなりの在庫が
──初日くらいは薪拾いをせずに楽をしてもいいよね。明日からは、ちゃんと拾い集めるから、これくらいの贅沢は許されるわよね。
アタシは、心の中でサボりを正当化する。
魔法鞄から取り出した薪を組み上げ、アタシは手をかざして魔法を行使する。
──その瞬間、薪に向かって腕ほどの太さの青白い炎の帯が生じ、その炎に炙られた薪は一瞬で燃え始める。
次いで食事の準備となるが、高レベルの料理スキルを保有しているアタシにとっては、なんの問題もない。
焚き火から程よい距離に土魔法で腰掛を作り、魔法鞄からクッションを取り出して腰掛ける。
次いで、作業台を土魔法で作り、魔法鞄から調理道具と材料を取り出して手際良く夕食作りを進める。
──夕食のメインは贅沢なベーコン入りの具だくさんスープ、それに黒パンを併せることにした。
それらを口にしながら、アタシは思うのだった。
──流石に村にいた頃よりは簡単な料理にはなったけど、それでも普段より美味しく感じるのは気の
──食事を終えたアタシは、洗浄魔法を用いて手早く片付けを済ませていた。
村のおっちゃんからは、『独りでの野営では食事を終えた後には、必ず仮眠を摂れ。でも爆睡だけはするなよ!』と教えられた。
それは、夜を徹しての不寝番をする必要があるため──魔獣や魔物たちの多くは夜行性なので、その活動時間帯となる夜、特に深夜は襲撃に備えなければならないからであった。
──でもまぁ、ぜんっぜん眠気も訪れないから、これだけはどうしようも無いから、ここは潔く諦めることにする。
──この時のアタシは、村からの旅立ちと初の野営による興奮の影響を受けていた。
肉体・精神的な疲労は僅かに感じていたのだが、眠気が訪れることは無かったのである。
仕方が無いのでアタシは〝ぼ~〟っとしながら、焚き火を見つめていた。
──村のおっちゃんからは、『辛いから覚悟しておくんだぞ。その時は頑張れ!』と
こんなことを考えながら、アタシは旅の初日を改めて振り返り始めたのだった──
この後に繰り広げられる夜明けまで続く〝ある出来事〟が起こるとは
〜なぜなにシリエル先生〜
フロレアルは人外の
フロレが理解してないだけで、自分自身の素の筋力値や敏捷値の範囲内なら、例え日通しで激しく動き続けたとしても、途中で食事と水分を摂取していれば体力が尽きることは起きえないバケモノなんです。
そんなフロレでも脳は疲労しますし、記憶の整理などを行うためにも睡眠は必要不可欠なんです。
それに、お肌のためにも睡眠は大切な行為なんですね。
〜なぜなにシリエル先生〜
旅路における野宿、いわゆる野営をする場合には、ある程度のまとまった人数で行動してるなら、野営場所は街道近くの開けた場所に設けても問題はありません。
しかし、少人数や特に一人旅の場合は、他者から狙われる良いカモになり兼ねないので、見晴らしの良い開けた場所や街道沿いでの野営は避けないといけません。
例外としては少人数であったとしても、遭遇終焉などの様な二つ名を持つ緑髪で強面な子供好き強者みたいな同行者が居れば話は別ですよ。
そして、開けた場所や街道沿いを避けるにしても、適当に人目につき難い木々が集まった場所を無作為に選ぶのは危険です。
林と森を勘違いした場合には、魔獣やら魔物が潜んでいたり、最悪の場合には、それらの
ですので、日が暮れる前に野営地候補を見つけて、安全を確かめてから野営場所を決めるのが肝心なんですね。
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フロレアル(主人公)①
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