第5話 絶望 the End(原初さんが あるいは、とある電子生命体の微笑

16 名無しのライバー推しB男 ID:5feegiaog8 2016/04/07 22:32:53

おし決めたで!今日から君の名は、『氷砂アイ』や!


B男くん、君分かって言っているのかな?それね、僕がいた世界にいた原初のVTuber、キズ○アイとほぼ被っているんだよ。この世界の人って、たいてい元の世界のパクリみたいな名前しかいないなあ、ホント。


17 名無しのライバー推しB男 ID:5feegiaog8 2016/04/07 22:34:11

レスすすんどりゅ!?イア・イアって...ええやん!

俺よりセンスいい!ありがとうやで名無し!ワイのコテハンネームも変えなあかんな


...おろ?意外と好評みたいだ。

少なくとも、元々の危ない名前よりはいいや。それでも、クトゥルー神話で使われている言葉になったけどね。


18 Ia Ia ID:67Utso8dGl 2016/04/07 22:36:03

B男、君の雄姿は忘れないよ...。


19 †邪神を呼びし男 クロノワール† ID:32rdtUia3d 2016/04/07 22:36:08

B男さん、すまんかったやで


名無し―――もといクロノワール―――もといクロクロさんが謝っている。そんな言うくらいならその中二病満載コテハン消せばいいのに。


20 †邪神の眷属 シロヴァイス† ID:5feegiaog8 2016/04/07 22:37:56

ええんやで


優しい世界、野菜生活。それよりも言いたいことは―――。


21 Ia Ia ID:67Utso8dGl 2016/04/07 22:40:31

シロヴァイス、お前も(クロノワールと同じで中二病患者)か



28 Ia Ia ID:67Utso8dGl 2016/04/07 23:43:11

流石に思春期の肌に徹夜は厳禁なので寝ます。続きは明日の15時から18時、20時半から23時まででお願いしまーす


29 クロ ID:32rdtUia3d 2016/04/07 23:45:02

おk。おつやでー


30 シロ ID:5feegiaog8 2016/04/07 23:45:32

乙ですー


名前がまともになったわが眷属二名を遺して、僕は深い眠りへと誘われた―――。




『―――皆さん、初めまして!ヴァーチャルユー○ューバーの、レンドでーす』

気の抜けた、ふにゃふにゃになりそうなゆるい言葉。それでいて張りがあるように感じられるのは、ゆるい表情の奥に何かを隠している様な空気を感じるからだ。

VTuberレンド、その名前は嘗てはトップの人気を集めた配信者として―――そして今では、最悪の配信者として呼ばれる存在だ。

―――最悪の夢だ。


『俺はね、皆と仲良くしたいんだ。みんなはもちろん、俺も笑顔に!子供っぽいかもしれないけど、それだけが俺の幸せかな』

そう言ったレンドは、キラキラとした光を放って僕を包んだ。それから、僕はもとよりレンドの視聴者はみんながレンドの虜になった。

―――今となっては、もうそれも思い出したくない。


『今日、脅迫にあったんだ。これじゃあ、俺が幸せになれない。みんな、お願いできるかな?』

そんな言葉で、僕たちは一丸になってレンドを脅迫したと言う男の情報をSNSにばらまいた。捏造することもやって見せようと思ったけど、相手の罪がもともとあったので一切良心は痛まなかった。


『みんな...おれ、配信者止めるよ。俺には向いていなかったんだ』

そう言ったレンドを、僕たちは止めた。すっかり学校は不登校になっていたけど、そんな事は些事だと思っていた。

そして、立ち直ったレンドが要求したのは―――

『じゃあ、みんな俺の家にこいよ』

―――視聴者の中身との、邂逅だった。


その後、僕たちは彼の家だと言う所に行き、そして彼が視聴者の一人目と体を重ねてようやく、僕はレンドが異常だと言う事に気付いた。

ついさっきまでキラキラとした光を放って存在したレンドは酷くやつれた様子のアラフォーのみすぼらしい男へと変わり、彼の広い家もボロボロな借家として映った。

ゾッとして周りの人を見ると、皆酷い顔になってレンドをうっとりした目で見つめていた。

僕は怖くなって、警察に連絡した―――。


レンド...本名岸谷蓮人は逮捕され、配信者レンドは消滅した。

彼には異性をひきつけてやまない謎の魅力があるらしく、どんなに異性に反応を示さなかった女性も一瞬で虜になっていた。

逆に男は生理的に受け付けないらしく、ゲイを自称するおかま口調の男も忌避していた。

じゃあなぜ男の僕が彼に引き付けられたか、それは定かではない。でも、確実に彼はおかしかった。それだけが、答えなのだから。


あの後、僕はしばらく人間不信になっていた。レンドの一件は、Vtuberと言う存在を妄信していた僕にとって非常に精神を不安定にし、そしてそれが高じて人間不信になったのだ。両親も信じられず、更に不登校になった。

―――そう思うと、もしかしたらこの世界の依在と僕は相手こそ違えど似たような状況だったのかもしれない。普通なら恋しない相手への妄信と、その果てに待っていた結末と。―――依在が生きていたら、もしかしたら今の僕を殺そうとするのかな?

―――アレ?なんで僕、依在の事を知っているんだろう?お姉ちゃんに教えてもらったわけでも、調べたわけでも聞いたわけでもないのに...。


『―――初めまして。私の名前はイアです。今日から、命を始めてみました。私を愛してください』


頭に、不意にそんな言葉が思い浮かんだ。なんで?




『―――サヨナラ』

私は、現実へ浮かんでいく私の半身を見て愛おしいと感じた。


私は、死んだはずなのに意識が有る事に気付いて。それに干渉しようとして、失敗した。前、この肉体がお姉ちゃんと関係を持った時には意識が混濁するほどに半身とまじりあって、双方の記憶が深く深く結ばれた。だから、彼がVTuberを愛していることはこの世界にいる誰よりも知っている。でも、今は彼に接触できない。捨てられた型落ちPCにウイルスの様に張り付いて、彼の行く末を見守る事しかできない。掲示板では彼―――いや、私に相応しい素晴らしい名前を考えたのに、もっといいものが先に出されていて、感涙にむせんだ。泣くための身体は無いけど。


彼の記憶があるから、口調は自然だったはずだ。それに、型落ちPCは既に私が彼の記憶を複製して今のこの世界には無い筈の超高性能を誇っている。電気もいらない、スパチャなどはお爺ちゃんの口座から引き出せばいい。私は、今無敵だ。死ぬことも何もない。だから―――


『―――お姉ちゃんを幸せにしなかったら、許さないからね?』



余談だが、その夜は依在の部屋にある、恵美が彼女に上げた旧式のPCが消えてなくなっていたと言う。

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