眠りの森のMuseum

雨宮テウ

第1話 op.00:00



この硝子のむこうが

ゆきかう人々で最後にうつろっていたのは

いつだったろう


思い出そうとする間もなく

次の眠りが開演する。


瞼は重く、呼吸は深く


私はこんなにも生きている

けれど

誰も私の名前を知らない


私も知らない私の名前を

誰が呼んでくれましょう


はらりと

何かが私の前髪に触れた気がする

木の葉か蝶か、小さな鳥か


触れてくれたなにかに

何か伝えたいけれど


私はまた深い眠りに

落ちてゆく

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