夏休み編(1)
学校に着くと緊張している人や絶望している人もいた。そう今日はテスト返しの日だ。と言っても一気にテストが返されて点数と順位が分かるだけなんだけど。赤点は教科によって違うが大体平均点の半分以下は赤点だと思った方がいいらしい。さすがに赤点はないだろうけど。
しばらくすると先生が教室に入ってきた。
「よし!いきなりだがテストを返していきます。出席番号順に取りに来てください。」
一番の人から全科目の回答用紙と合計点が記載された紙を先生からもらっていく。みんな多種多様なリアクションをしていた。
「よし!赤点ない。」
「25位以内乗れるかも!」
「終わった......」
「次。瀬名さん。」
「はい。」
先生から紙を受け取ってそのまま紗雪ちゃんの席に直行する。
「準備はいい?」
「悪いけど負ける気はしないわ。」
「じゃあ私から。」
机に紙を広げる。
国語182/200 英語100/100 数学100/100 生物基礎43/50 化学基礎38/50 世界史82/100 家庭科70/100 保健80/100 計545/600 (副教科は除く)
「いいんじゃない?化学は少しミスしたけど。」
「9割取れてるじゃない。」
「さぁ紗雪ちゃんのを見せてもらおうか!」
紗雪ちゃんは紙を私に渡してくる。
国語200/200 英語100/100 数学100/100 生物基礎50/50 化学基礎50/50 世界史100/100 家庭科100/100 保健100/100 計600/600 (副教科は除く)
「は?」
「相手が悪かったわね。私の勝ちよ。」
「え?え?」
理解ができない。全教科満点?ありえないでしょ。しかも副教科まで満点だし。私はそっちは教科書見ただけだったから対策できてなかったのに。
「貴方忘れてないわよね?」
「ナンノコトカナー。」
「そんな白々しい演技でだませるわけないでしょう。言ったわよね負けたらなんでもしてあげるって。」
「.......」
「往生際が悪いわ。観念しなさい。」
「はーい。それで命令は?」
「どうしようかしら。まあ夏休み中に連絡するわ。」
「うーい。」
紗雪ちゃんと喋っているときなこちゃんたちがやってきた。
「もう順位表見に行った?」
「まだだよ。でも見たくない。」
「なんで?」
不思議がるきなこちゃんと美玖ちゃんに紗雪ちゃんの紙を渡す。
「え。」
「やっば。」
「ね、見に行きたくないでしょ?」
「でも気になるじゃん!行こ!」
私たちは順位表が掲示されている廊下に来た。紗雪ちゃんも一応ついてきた。
「えっと....あった。」
私の名前は三位にあった。
「うわ二位じゃないのかー。」
二位は知らない名前の人なので別クラスの猛者なんだろう。二位との点数差は15点だった。
「私たちのもあったよ。」
きなこちゃんは8位で美玖ちゃんは9位だった。なんとその差は1点だった。
「また負けたー。」
「でも今回は一点差じゃん。」
「余計に悔しいよー。」
「じゃあパフェおごりね♪」
きなこちゃんたちも勝負をしてたらしい。掲示板が混んできたので早めに教室に戻った。
「あれ誰もいない。」
いたのは先生だけだった。
「みんな掲示板に行きましたよ。」
「私たちはもう行ってきました。」
「あなたたちはこのくらすのTOP4ですね。よく頑張りました。特に九条さん。全教科満点は学校創設以来初らしいですよ。」
「ありがとうございます。」
「今回のTOP10の景品はまだ言えないですが楽しみにしておいてください。」
「はーい。」
私たちは紗雪ちゃんの席に集まった。
「この後打ち上げしない。」
きなこちゃんから提案があった。
「いいね!」
「それきなこが早くパフェ食べたいだけでしょ....」
「紗雪ちゃんも来れる?」
「ええ。」
「じゃあ決定!」
今日はお昼前に学校が終わるので学校から直で行くことになった。
「唯ちゃーん。」
私の名前がどこかで呼ばれた。周りを見ると由乃ちゃんと芽衣ちゃんがいた。私は二人のもとに駆け寄る。
「どうだった?」
「数学90点!」
由乃ちゃんは胸をはる。
「おお!やったじゃん。」
「でも芽衣の方がすごいよ。」
「私英語満点!満点なんて初めてとったよー唯ちゃん様様だね。」
「二人が頑張ったからだよ。」
「で、唯ちゃんはどうだったの。」
「少し待ってて紙持ってくる。」
机から点数の紙を持ってきて渡す。
「数学と英語満点....掲示板に名前あったからなんとなく察してはいたけど....」
「次のテストの時も教えてねー」
「もちろん!」
話していると先生から席に着くように指示されたのでみんな席に着く。
「テストの返却が終わったので今日はこれで解散です。万が一採点ミスがあるようなら担当科目の先生の所へ聞きに行ってください。ではさようなら。また来週。」
私たちはお昼ご飯とパフェを食べに喫茶店にやってきた。ドアを押して開けると鈴が鳴る音がした。
「いらっしゃい。おやきなこちゃんと美玖ちゃんかい?」
「お久しぶりです~。」
「こんにちはー。」
店内にはいるときなこちゃんたちはお店の人と話だした。
「そちらの2人はお友達?」
「はい!」
「そうか。ゆっくりしていってな。」
私たちはテーブル席に案内された。店員さんが持ってきてくれたお水を飲みながら聞く。
「2人はよく来るの?」
「うん。中学生の時からたまに来てるよ。」
「そーなんだ。」
中学生が入るにしては大分大人びた空間だけど....
「それよりも注文決めよー。」
ベルで店員さんを呼んで注文を伝える。
料理を食べ終わったのできなこちゃんはパフェを食べながら話しているとスマホの通知が鳴った。
「成績上位者への連絡って書いてある。」
「ああ、10位以内のやつかな。」
「そうそれ、月曜日の帰りに会議室に来てだって。」
「楽しみ。」
「あともう一個学校から連絡来てるよ。」
スマホを確認すると夏休みの課題についてと書かれていた。
「夏休みの宿題じゃん、いやだー。」
「うわ、宿題の量とんでもないじゃん。」
「これはきつそうだなー。」
夏休みもあと一週間後から始まるので先に宿題終わらせておかなきゃ。
長居するのも迷惑なのできなこちゃんがパフェを食べ終わった後にお店を出た。
「まぶしっ。」
日差しが照り付ける。もう完全に夏だ。
「さっきまで曇ってたのに。」
「夏って感じがするねー。」
「暑い...」
紗雪ちゃんは手持ちタイプの扇風機を自分の首元に当てていた。
「紗雪ちゃーん。私にもやってー。」
紗雪ちゃんに背を向けると首元から服の中に風を当ててくれた。
「涼しい~。」
「さすがに今日はもう帰ろうかな。」
「そうだね。暑いや。」
「じゃあ、また来週。」
「ばいばい。」
私と紗雪ちゃんは進行方向が一緒なので並んで歩く。
「暑いねー。」
「そうね。」
扇風機を顔に当てながら言う。
「私コンビニでアイス買ってくからここで。」
「そう。」
「じゃね。」
私は一目散に冷房の効いたコンビニに駆け込んだ。
次回から夏休みに入ります その前に誤字とかのチェックするので更新が遅れるかもしれないです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます