第118話 あの人はいま②
「すまんな、俺のメールに時間を取ってしまって。それで次は
……」
「はい、
「ええと、親戚って事はカンさんの親戚だよな?」
「うん、何か前はうちの
「大学生ならゲームに引き込みやすいよな」
「そうか、ならまずその従兄弟は決定だな」
「皆で訪問したら迷惑でしょうか」
「それなら外の馬車で待ってればいい」
「ゲームの説明して、あとはログインしてる時にゲーム内でゆっくり話せばいいし」
「
「あ、いいね、それ」
ディスコと聞こえたが?
今時の若者がディスコなんて知ってるのか?いや、俺は行った事ない。勿論踊れないし、と言うか踊った事がない。
あれだよな?何か羽の
「今でもあるんだな、ディスコ」
「ん?あるよ、ディスコ」
「じゃあ時間決めてディスコに入った方がいいね」
「この災害時にやってるディスコなんてあるんか……ってかこの村にディスコがあった事に驚いた」
「父さん、でぃすこって何?」
「ディスコとはな、派手な格好で皆が踊り狂うとこだ」
「バフォダンスの事?」
「ん?……まぁ、そんな感じかな」
「違う」
「違うと思うぞ!」
「ディスコは音声チャットの事だよ!ゲームしてる時は手が塞がってるから音声でチャットをするんだよ!」
驚いた。最近のゲームはそんな事になってるのか。おじさんには初耳だ。
確かにゲーム内で大量のモンスターに追われている時、立ち止まってチャット欄に『HELP』と打ち込んでいると、確実に死ぬる。
パソコンの前でどんなに叫んでもゲーム内には聞こえなかったからな。それが音声チャットとは!なんと便利な事だ。
その『ディスコ』のやり方を
「夜にしましょう。今は会議の続きを」
そうでした。直ぐに脱線して申し訳ない。因みに『ディスコ』とは『ディスイズコード』と言うのが正式名称らしい。略してディスコ。
「
「隣町だ。高校が隣町だったからな」
「そうだね、この村には高校無いもんね」
「部活と言うか
「
「いや俺はサッカー部だ。桜井先輩とは
「
「…………。ら、らのべ
「いいなぁ。高校生になるとラノベクラブとかあるんだぁ」
「今時はそんなクラブがあるのか。文芸部とかじゃないんだな」
「うん、まぁ。文芸は部の方であったな。文芸部。倶楽部はライトな感じで掛け持ちオッケーなんだ」
「いいなぁ。高校生」
「僕も行ってみたい、こーこーせー」
そうか、マルクは小学校も幼稚園も未経験だよな。あっちの世界には無かったからな。
洞窟内の勉強ルームじゃなくて、そのうちちゃんとした学校に行かせてやりたいな。
「という事は、その、桜井先輩のご自宅も隣町ですか?」
「うん、そう。連絡もたまにしてる。ゲームの話をしたらやりたがってた。でもパソコンの状態がイマイチって言ってたから地下LAFに連れて行きたいんだよな」
「いいね、『地下LAF』」
「だろ、流行らせようぜ、地下LAF」
「では、
「そうだな。話して乗ってくるようならLAF合宿だ。キヨカの同僚さんはどうなんだ? 連絡とか取れているのか?……その、神奈川の?」
キヨカ、つまりアネさんの住んでいた神奈川県、横浜の辺りは津波の被害が酷かった。もしもキヨカの勤め先も横浜ならその人は無事なのだろうか?
俺の表情が少し曇った事に気がついたのだろうか、慌ててキヨカは付け加えた。
「私の勤め先は、
む、さっぱり解らん。神奈川で相模原で丹沢で中央か。
「となるとどこで合流するか」
「カオさんのブックマークと照らし合わせて、なるべく早く近場まで来てもらうようにします」
「いや、危険だからこっちから向かおう。今は松ぼっくりの襲撃もあるからな」
「カオさん、松ぼっくりの襲撃ってあまり怖そうじゃないね」
「だよなー、何か間抜けだよな」
うむ、確かにな。『松ぼっくりの襲撃』、大きさがアレでなければ可愛いな。いや、騙されるな、俺よ!
「油断は禁物だぞ?」
翔太、憲鷹、キヨカはそれぞれ相手に連絡を取った。夕方まで時間があるので救助活動を再開する。
洞窟の外に出る前に全員装備を身につける。
洞窟の出入口近くまで行き、外を確認する。見える範囲に『松』はいない。
俺は階段を駆け下り、馬車を出してサモンを呼び出した。
「おーい、いいぞ!急げ」
そう言って皆を呼ぶと、派手で輝かしいコスプレの一団が階段を駆け降りてくる。どんな集団だよ。俺のチームだけどさ。
因みにドクターらは俺の『ハケン』に入ってはいるが個人病院の診察と総合病院の拠点建築に携わっているので忙しい。俺たちと行動は共にしていない。
茨城県内の救助へと出発した。勿論救助マップや計画書はマルクとキヨカが担当してくれている。
出来るだけ素早く救援救助活動をしていく。3人だったチームが5人に増えた事で、サクサクとすすんでいく。
避難所へは去る間際に『植物』の話を必ずするようにしているが、殆どの者に笑われて終わる。
避難所に居る人たちに『植物』に対する注意喚起が回るとは思えなかった。
だが、どうしようもない。それ以上は出来ない。
移動時間にはネットを利用して、過去に助けた者達が書き込める鍵付きの掲示板に『植物』の件を書き込んだ。
折角助けた人が危ない目にあって欲しくない。しかし全員を洞窟へは連れてこれない。
タウさんから連絡が来た。埼玉へ運んだ警視庁やら何やらの人達が洞窟拠点へ移動する話がまとまったそうだ。そこで俺のエリアテレポートで運んで欲しいとの事だった。
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