星屑の降る夜
徒文
星屑の降る夜
星屑が降ってきた。
きらきらとまばゆい光を放ちながら、ころころ回りながら、ゆっくり宙を舞っておりてくる。
それは冷たい雪のような、甘い金平糖のような。
ほとんどの星はかたくて当たると痛いのだけど、ときどき、光をこの身にうけられる、恵みのような星がある。
それを探して、懸命につかまえようとする。
忘れてしまわないように。
苦しくならないように。
いつまでも好きでいられるように。
痛みばかりに目を向ける人間にならず、物事の良い側面を見られる人間でいられるように。
そうしているうちにも体は星に打たれ、あちこち引き裂かれたように痛むけれど、それでも、あきらめずに手を伸ばし続けなければいけない。
なんのために?
やがて星屑はやんだ。
身体中がズキズキ痛む。
星の恵みはたくさん得られたのだけれど、やっぱり、終わってみると痛みのほうが尾を引く。
これでよかったのだろうか。
わたしはただ苦しんだだけで、結局、なにも得られなかったんじゃないだろうか。
長い夜があける。
この先にあるのが明るい朝なのか、二度目の夜なのかは、まだわからない。
星屑の降る夜 徒文 @adahumi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます