ちょっぴり不思議な彼女
歳納愛之助
1ー出会い
「私は君のことが嫌いだよ」
桜並み木の道沿いで中学1年の4月、春風に乗せて僕にそう告げた彼女は泣いている。
「どうしたよ、僕なんかしちゃった?」
彼女は俯いたままだ。僕は彼女に何かしてしまったのではないかと不安になったが、心当たりはない。
「僕が何をしたかだけでも教えてよ、これからしないように気をつけるからさ」
彼女は赤く染まった顔をあげた。僕はその童顔で可愛いらしい顔に、ただただ見惚れてしまった。
「何みてるの!初対面で急にお尻触るとかあり得ないからね!なんで君が被害者ヅラしてるのさ!」
なんだ、そのことか。誤解だって言ったのに。でも誤解させちゃったのは悪いな。
「あーそのことね、それはお尻に埃がついてたから取っただけだよ、誤解させたなら謝るよ、ごめん」
「うそつけ!」
さすがの僕でも冤罪をかけられられるのは心外だ。ここはしっかりと否定しておかなければならない。
「僕が女の子のお尻をエッチな目的で触るわけないでしょ、第一に今日は入学式、そんなリスキーなことしないよ、君は少し冷静になりなよ」
「あんなにベタベタ触っといてよく言えるよ!しかも何さ、そのブツブツした手袋は!気持ちが悪いよ!」
「あー、これは昨日の夜にゴム手袋に短く切った輪ゴムを貼り付けたんだ。改良に改良を重ねて大変だったんだから。そのせいで入学式も寝ちゃったよ、でもやっぱりゴムはいいね!他にこんなのもあるんだよ」
僕はポケットから同じように短く切った輪ゴムを貼り付けたコンドームを取り出した。それと同時に、彼女の小柄な体と朗らかな雰囲気からは考えられないレベルの恐ろしく力強い背負い投げをくらい、静かに息を引き取った。
ちょっぴり不思議な彼女 歳納愛之助 @SainouAinosuke
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