僕が心を失くすまで。

ゆんゆん

第1話

最初に一言。

この話は 忘れたいけど忘れられないし忘れたくない

今だ夢の中で当時を追体験したり、ふとした瞬間や仕草、匂いで思い返したりする筆者自身の経験。

いわばノンフィクションです。




ごめんなさい

ごめんなさい

もうしません

許してください

日々野陽太が人生で一番多く言った言葉は? と誰かに問われたら 自信をもって言える 「ごめんなさい」だ。

日々野陽太はけしてすごく貧乏だとかお金持ちの家に生まれたとか何か特別な家庭に生まれたとかそういう訳ではない ごく一般の家庭に生まれた。

家族構成は父、母、妹が二人と祖母の合わせて六人家族。

父母共に小学校教諭、六つ離れた妹と八つ離れた妹、そして祖母。 日々野家では父の存在が絶対でルールであり、母は父をたてたスタイルの家庭である。

日々野家に生まれた陽太にとって 父と母は 絶対的に憎き存在であると言える。どこまでいっても憎かろうがなんだろうが結局は「親がいたお陰で生まれたんだから 」そんな言葉はもうたくさんだ。

何でも一人でやってきたわけではないし、きれい事ばかりで生きてきたわけではない。 しかしそれでもひとつ言えるなら、生んでくれてありがとう けど親ガチャにはハズレました だ。

小さい頃に陽太に映っていた父は学校の先生で なんでもできるすごい人だという印象だ。父は嘘をつく事に対し非常に厳しい人であった。

一番古い記憶でまだ妹が生まれていない5歳の頃だ。当時市営団地に住んでいたのだが、家の外に追い出された事があった。理由は僕がおもちゃを片付けない事を繰り返した末、僕は都度 片付けます と言っていた為 父に対し嘘をついたためである。 外に出されている時ごめんなさいを繰り返したが無駄で、小さいながら向かいの住人の方がお仕事からお帰りになられた時は非常に気まずい思いをしたのを覚えている。 あの時は2時間程度外に出されていたのだが、狡猾だった僕は「ごめんなさい ごめんなさい もうしません」 とわめき散らしつつ、頭のなかで考えていたのは「今日は何回で許してもらえるかな?」 だった。

「何回」とは 某国民的アニメで主人公を母が尻を叩いてしつけをしつけるといった教育を父もまた僕に同じようにしていたことでその事である。



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