第13話辺境伯領の数十万のゴブリンの大群を海魔ゴーレムを使って一瞬で消滅させるのだった。
キントーンにローラと2人で乗り急いで辺境伯領へと飛んでいく。キントーンの大きさは畳み、3畳程の大きさで真っ白である。
時空魔法がLV=MAXになっている為、今では全ての時空魔法が使えるようになっており、転移も使えるのだが、使う際には転移先に一度行って把握してなければならないし、他の人を一緒に連れていけるか分からないのでここは、キントーンを使う事にしたのだった。
キントーンに乗っている時にローラに聞く、
「ローラ、さっき俺と合体した時に俺のステータス制御した低いステータスを見たはずだが、これから見せるのは、誰にも言ってはいけない。秘密だぞ。
見た事、聞いた事、知った事を誰にも言わないと約束出来るか?」
「分かったわ。約束します。何をするの」
「ローラには、魔術士から取って、あげた鑑定が有るはずだ、それで本当の俺の力の一部を見てくれ。」
そう言って本当の力を見せて引かれるのは嫌だからステータス制御6番目の冒険者ランクSのを見せるとローラは、驚いている。
「凄い、こんなに力を持っていたなんて邪竜も倒せる訳ね。有難うね見せてくれて」
そう言われると心苦しくなってくる。
最初こそ驚いていたが、ローラが首を傾げて言う。
「冒険者ランクSクラスの力のくせにスキルが低過ぎない。ステータスは私より遥かに高いくせに、何で私よりもスキルが低いの、何か隠しているわね。」
と”ジート“俺の顔を見つめて来る。
何の事だろうと、ローラに見せているステータス制御6番目の冒険者ランクSのを見ると、ステータスは確かに冒険者ランクSなのだが、ステータスフェイクした冒険者ランクFのスキルそのままである。大賢者に文句を言おうとしたが、今は仕事を頼んでて、頼んだ仕事に集中している為、邪魔は出来ないのだった。
(しまった~、ステータスフェイクを変えていなかったー)と思うが後の祭りであった。
仕方無しにローラに「あの〜、その〜、一部だけね、まぁ追々見せるよ。今は秘密。その内に話すよ」と言って誤魔化したのだった。
「分かったわ、今は何も言わない。でも何時かは全部見せてね」
と言ってくれたので、“ホッ”とする。
普段は合体した時に見せた低いステータスで生活するからと一言いっておくと
「分かったわ」と言う。
キントーンのスピードは物凄く、前に風除けバリアを張っているのと、シートの様な物で背中のクッションになっているので、余り気付かないが時速500Km程あるらしく、早馬で5日掛る所をほんの20分で現地に付いてしまった。まだ昼前である。
辺境伯領の城塞都市が見えてきた時に、そこへ向かうペガサスに乗った3騎が見え、ローラから
「あのペガサスの横に付けて」
と言うので横付けすると、
「ウオオー、敵か、魔物か」とペガサスに乗った騎士がパニックったが
「あなた達、早かったわね。何処から来たの?」
「???、ローラ姫!何故此処に?何に乗っているのです?、これは何ですか?」
「辺境伯領からの緊急の応援要請の魔電が入ったから、このキントーンで飛ばしてきたの。」
「騎馬のペガサスの上から失礼します。隣町にて任務を行っていたのですが、辺境伯領が危険と耳に入り、急ぎ飛んできました。」
「分かりました。続きは城塞都市の中で話しましょう。調度付いたわね。」
城塞都市の入口ではなく、辺境伯の城へと向かう。城の入り口で降りて城兵に辺境伯領主ネメシスへの取り次ぎをローラ姫が言う。
「ローラ、冒険者っていうのは、舐められないために、敬語や丁寧語を使っては、いけないそうだから辺境伯のネメシス様にも、タメ口を使うから宜しくな。」
「そういえば、ヒロト口調が荒くなってない?」
言われてみれば、逆木達と合体してから、奴等の乱暴な性格が移ったかも知れない。
兵士が走って領主の元へと向かう間に、ペガサスに乗った、ヴァルキリー騎士団の3人も着地し、ローラ姫に、膝を折り臣下の礼をする。
ペガサスに乗ったヴァルキリー騎士団の女性で、騎士の装備の人が3人いる。剣を持つ者、槍を持つ者、弓を持つ者がいる。
「ローラ姫、久し振りです。ローラ姫から命令された例のものを調査していましたら、ここの辺境伯領の危機を聞き、急ぎ駆けつけました。」
そう言って俺の方をチラッと見て
「失礼ですが、ローラ姫隣りにいる方はどういう方ですか。」
「この人は神託のあった本物の異世界勇者のヒロトよ。この前一緒になって戦ったけど、サイクロプスやロックゴーレムやポイズンドラゴンや邪竜•腐食竜イシュバルという、災害級の魔物を1人で簡単にアッという間に倒したのよ。
この乗り物も勇者ヒロトの召喚獣なの。」
そう言って俺を前に出すが、顔を真っ赤にして縮こまっている俺を見て、
「•••••失礼ですが、本当に本物の勇者様何ですか?
イエ、ローラ姫を疑っているのでは無いのですが」
「あ、あの、ヒロトでいいです。勇者とか特別扱いをされると困ってしまいます。期待されると生きづらいです。」
「また、そう卑屈にならないでよ!、胸を張っていなさい。見た目は弱そうなのに凄いのよ。見た人じゃなきゃ納得できないかも知れないけど」
「失礼しました私はヴァルキリー騎士団の団長をやっているケリー、主に剣を扱う。ヒロト殿よろしくお願いする。」
「私はマリー、槍を扱う。よろしく」
「私は弓と魔法を扱う後衛のミーシャだ。よろしくお願いする。」
ケリーはオレンジ色のショートヘアーで武具を纏っているが、武具がはち切れそうな程の“ボンキュボン”の体型なのが分かる。
マリーは、青色の長い髪で優しそうな感じだが筋肉が鎧の上からでも分かる。
ミーシャは、紫色の髪で大人しそうな人だ。装備も軽装で弓矢と魔法の杖を持っている。
話をしていると、領主ネメシスが急いで出てくる。
「ローラ姫、ここは危険です今直ぐに王都へお戻りください。この城塞都市とはいえ、統率された魔物の軍隊にはもちません。
スタンビート等のタダの魔物の大量発生とは違い、今回のは明らかに魔物の軍隊です。
隣の友好国の獣人国に応援要請も出しているのですが、すぐ近くの獣人国都市にも魔物が大量に攻めてきているそうで、逆に応援要請がありましたが、とても援軍を出す余裕は無いのです。」
「分かりました。一応、全体を把握したいので、地図で詳しく教えて下さい。
ケリー、ヴァルキリー騎士団のペガサスで上空から、魔物の動きを調べて下さい。」
「ハッ、マリーとミーシャ2人でペガサスに乗って上空から、魔物の動きを調べて来るように。」
ケリーが指示を出す。
「ハッ、今直ぐ調べて来ます」と一礼をし、マリーとミーシャは素早くペガサスに乗り、飛んで行く。よく訓練されているようだ。
ペガサスが飛び去るのを見て、お城の作戦室へと向かうが、お城の中いっぱいに怪我人が廊下まで溢れている。毒を帯びているのだろう。
傷口が黒かったり、顔面が黒紫色で息絶え絶えの者たちで一杯である。
作戦室へと入ると、作戦室には数名の人が“あーだこーだ”と言い合い、ローラ姫を見て臣下の礼で頭を下げるのだった。
領主ネメシスが地図が広げられた机の上を指差しながら、
「地図上のこの海にあるこの島を御覧ください。」
大陸からほんの少し離れた場所にはヒョウタンのような、団子に似た大きな3つの島が連なっている。
「この島は、ほんの数年前までは人が治める島でした。それがゴブリンが島に入り込み、大量発生して乗っ取られてしまいました。
逃げて来た人達が言うには、ゴブリンの大軍十万がこの島にあった城や街を全て滅ぼしたそうです。
この島の先端には、この大陸と大潮のときだけ繋がる道が出来て、歩いて通行が可能となります。
ゴブリンは泳げない為、水や海水を嫌い、大潮の時に出来た道以外は、ここを渡れません。
よって、此処に防潮堤の様な長く、高い壁10m程を張り巡らして、兵を1万配置して監視していました。
ここからの軍の半分の兵士5千人、冒険者高ランク2千人、傭兵団3千人の戦闘のプロ達を配置してたんですが、この前中潮があり海に道が出来てしまいました。
これを逃すまいと島から渡って、ゴブリンの数万の大軍が押し寄せて来ました。
ゴブリンは畑を耕したり、作物を育てたりが出来ない魔物。進軍用の食材等も余り持ち合わせてはいないと思われます。
島に食べ物が無く、飢えたゴブリンは、武器を手に持ち、人の防具を身に着けてやって来たのです。
これを向かい打ちしましたが、今回は中潮で時間が短かった為、道が海に飲まれて消えたので、ゴブリンは撤退しまして、何とか持ちこたえました。
ゴブリンは武器の剣や槍、弓矢に毒を塗っていたらしく、怪我人が相当数出てしまいました。
この城の廊下まで溢れている怪我人がそうです。
異世界勇者様たちの医療班も数名来てて、治療に当たっていますが、怪我人の数が多すぎて間に合いません。
それが、明日の夕方に、大潮が来る為、食い物が無く飢えたゴブリン数十万がこちらへ進行してくるのは確実です。ここまで、ゴブリンの足なら2日掛かると思われます。」
その時、偵察に出ていたヴァルキリー騎士団のペガサスに乗って出ていた1人マリーが顔を真っ青にして緊急連絡と言って入って来た。
「至急報告があります。島のゴブリンの魔物の軍団の数は百万に達しており、ゴブリンロード、ゴブリンキング、ゴブリンカイザーなる物も見えます。
この城では持ちこたえられません。至急住民を避難させて下さい。」
その報告を聞き、よろめいたネメシスは、
「ローラ姫、この城の大半が怪我人です。持ちこたえられません。ローラ姫王都に避難して下さい。
ここの住民も直ぐに王都へ向かわせます。」
ローラ姫は、何故か目を閉じ上を向き、何かを“ブツブツ”言うのだったが不意に目を開けて
「大丈夫です。ここに居る勇者ヒロトがゴブリンの大軍を倒すと神託がありましたので問題ありません。」と俺に丸投げしてしまい、
「えっえーっ、聞いてないよ無理だよ」とビックリしてしまうが、
「貴方なら大丈夫と神託が有りました。何でも召喚の腕輪を使いなさいと言われましたが、何のことか分かりますか?」
今腕に付けている堕天使ルシガーの魔導具の腕輪、召喚魔物倉庫を見て確認する。
今中に入っているのは、スライムと海魔ゴーレムをみて、(これを使えということかな)
「ああ、それらしいのを持っているけど、まだ使ったことが無いんだ。大丈夫かな?」
「ヒロト、貴方なら大丈夫と神託を受けたわ。頼むわよヒロト」
昼御飯を食べてから、作戦会議を開くことになり、昼御飯まで時間が1時間程ある為、医療班が来ているらしいのでマナミちゃんが居るのか気になり、辺境伯のネメシスに藤波マナミと言う人がここの医療班に来ているか聞いた所、来ているそうだ。
案内してもらうと、マナミちゃんが白魔法を患者に放っているが、フラフラして今にも倒れそうである。MPを使い過ぎて疲労困憊の様だ。
見ていたら、キュアとヒールを掛けているが重症者はヒールを5回は掛けないと行けない様だ。
ローラも白魔法を使い患者を治していく。
俺には堕天使ルシガーから取った神聖魔法があり、キュアヒールを大賢者が使って俺とローラの毒と怪我を瞬時に治したのを見ていたが、俺は神聖魔法のキュアヒールの呪文を知らない為、詠唱出来ないなと思いながらも、自分の神聖魔法キュアヒールを見てみると“キュアヒール呪文固定済Ok、呪文無しで使用可能”とある。大賢者に感謝である。
マナミちゃんに、言う。
「マナミちゃん、俺も手伝うよ。」
と言うと俺を見て、
「ヒロト君なの、急に背が伸びてない?、顔の吹き出物やニキビとかも消えて、ホッソリとして別人みたい」
「まあ、成長期だからな、そのせいだろう。もっと、大きくなると思うよ。それよりも、怪我人が多いな。しかも、重症で毒の症状も出て、傷が黒ずんで、顔が紫色になっているな。」
「そうか、ヒロト君に白魔法のキュアとヒールを私が教えてあげたんだった。お願い手伝ってくれる」
「ああ、任せとけ」そう言って怪我人が沢山いる方へ行き、1番酷く怪我と毒を受けて死ぬ寸前の人に神聖魔法キュアヒールを唱えると、その人の周囲半径5mの患者にもキュアヒールが掛かり、瞬時に毒が消え、怪我が治るのであった。
俺の神聖魔法のキュアヒールは範囲魔法になっている様だ。
それを見たローラとマナミちゃんが
「「神聖魔法じゃないの。」」
とビックリしてマナミちゃんからは、
「何でヒロト君が神聖魔法を使えるのよ」
ローラからは
「今では、神聖魔法を使える人は世界で数名のはずよ。何処で習ったの、誰に習ったの」と言ってくる
(ヤベー、誤魔化すか)嘘や誤魔化す時の俺のクセの目が泳いでいるのをマナミちゃんは、見てたのである。
「今は、そんなことより、怪我人を治すのが大事だろ。怪我人を一塊に集めてくれ。」
そう言って怪我人を集めてもらい、神聖魔法のキュアヒールを受けた怪我人が瞬時に毒による苦しみから開放され、怪我の痛みが無くなったので皆不思議そうに自分自身の身体を確認したと思ったら、
「オオーッ、奇跡だ、助かったー。アンタ有り難う、妻や子供に又合うことが出来る。」
感謝の言葉を俺に掛けるのであった。ドンドン怪我人を治していき、1時間もすると全員怪我人が治り、元気になったのであった。
マナミちゃんとローラに小部屋へ引きづられるように連行され、尋問を受けるのだった。
「「誰にも言わないから全部話して」」
真剣な顔をして聞いてくるので、今迄の事をかい摘んで話す事にした。
“学校での集団転移は30人のはずが、俺はイレギュラーだったようで、皆は有効なスキルをもらったが、俺の時にはクズスキルしか無くて、一番後ろに合体というエクストラスキルがあった事。他の異世界の勇者の幽霊から合体をして、スキルをもらった事、時空神ナターシャ様から時空魔法をもらった事。この前死んで冥府へ行き、そこで俺に呪いの輪廻転生を掛けているやつからステータスとスキルと魔導具を奪った事、その力で邪竜等を倒した事、堕天使ルシガーのスキルの神聖魔法を今、使った話をしたのだった。
その力をステータスフェイクとステータス制御で作っている事等も話したのだった。
堕天使ルシガーの魔導具の腕輪、召喚魔物倉庫に入っていた1つがキントーンでここまで来た”事も包み隠さずに話した。
マナミちゃんが言う。
「時空魔法ってどんな魔法なの?」
「転移とか、転送とか、空間拡張とか、スピードやスロー、攻撃魔法だと、空間削除、空間圧縮、空間牢獄、BOMとかの空気を圧縮した爆弾を放ったり出来るんだ。」
「転移なら元の地球に戻れるんじゃない?」
「そうか、かなりLVもランクも上がっているから、出来るかも、やって見るな」
俺は時空神ナターシャ様から加護をもらっている為、時空魔法は名前を言えば使えるのであった。
「ええっ、もし出来たら凄いよ。皆帰れるんだね」
「やって見るよ、転移日本」
そう言うと俺は日本の今の時代にいたが、少し様子がおかしい。人に話し掛けても無視され、人や車や物が俺を通り抜けてしまうのだった。
どうやら、幽体で身体を異世界に置いて、魂だけ戻って来たようだ。
そんな時、ホッペに温かい雨の滴が落ちるのだった。何だろうと横や上を見ても分からないが、後ろからマナミちゃんとローラの声がする。
振り返った時、自分の身体に戻っていた。
泣きながら、俺の名を呼び、俺に心臓マッサージをやっているマナミちゃんと、俺に名前を呼びながらヒールを掛けているローラがいて、俺が目を覚ましたのを見て言う。
俺が行き成り死んだそうなので、応急処置をしてたそうである。
又、命を救われた様だ。地球への転移は危険であると感じたので地球に行くのに使わない事にした。
ローラが「もう、何で貴方はすぐに死ぬのよ!一時も目が離せないじゃないのよ、もうー。」
「御免なさい、でも、ローラには嫌われていると思っていたよ。ほら、ポイズンドラゴンを倒した時に抱き着いた俺を思いっ切りビンタされたからさ。」
「あの時は、ヒロトの抱きつく力が強く、死ぬかと思ったのよ。嫌じゃなかったかな。」
顔を赤くしているローラも可愛いと思っていると
「ずいぶん、いい思いをしてるじゃないヒロト君、私も負けないんだからね。」と苛ついているマナミちゃんが言ってくる。
「違うんだ、そうい意味じゃ無いんだ命を助けられた御礼というか、感謝のつもりだったんだ。」
「アッアーン、何ですって、私に恥をかかせる気」とローラが俺を睨みながら言う。
シドロモドロになり困っている所にヴァルキリー騎士団のケリーさんが来て、
「昼御飯の準備が整ったそうですよ」と言うので、
逃げる様にして会場に向かうのだった。
ローラの顔を見ることが出来ず、下を見ながら昼御飯を食べる俺だった。
マナミちゃんは、この食事には参加せず仲間と食べるとの事で戻っていったのだった。
ほぼ、食事が終わりかけの頃、魔物のゴブリン集団がいる島から大きな声と音がする。
島まで、直線距離で5Kmは離れている筈なのに、どうやらゴブリン共の親分が子分共を奮い立たせている様で、街の住民も城の作業員や兵士までもが震えて恐がるのだった。
それが夕方まで続き、我先にと逃げる様に王都へ急ぐ人が多数いる。俺は晩御飯前に辺境伯のネメシスに
「ちょっと余りにもウルサイので、これから行って、殲滅して来ます。」
そう言ってキントーンを出すとローラがチャッカリキントーンに乗り込むのだった。
「さあ、勇者ヒロト行きましょう。」
「ああ、分かったよ。」そう言って出発しようとしたら、ヴァルキリー騎士団のケリーが、
「私もローラ姫の護衛として付いて行く。」
そう言ってキントーンに乗ろうとするが、この人も乗れなかった。
「ケリー、ペガサスで付いて来て」
「はっ、分かりました。」
キントーンで島に向かうがペガサスはキントーンの速さに付いてこれない。
島の手前に横付けして堕天使ルシガーの魔導具の腕輪、召喚魔物倉庫に入っている海魔ゴーレムを出すと鉄のロボットの様な黒光りする500m級の山の様な超ドデカイゴーレムが現れた。余りの大きさに出した自分がビックリしてしまった。
海に膝まで浸かり、久々に外へ出れたことに喜びの咆哮を上げるのだった。“オオオーン”中々の威圧感がある。
「海魔ゴーレム、その呼び名は呼びづらいから、ポセイドンと呼ぶけどいいか?」
すると、海魔ゴーレムと俺の身体が光、その光が俺の中に入って来るのだった。
【ポセイドンとリンクが完了しました】と頭の中に声が響くのだった。
ポセイドンと名前を付けたことに喜びの咆哮を出す。“オオオオーン”
MAPを広げて3連島を見ると、ポセイドンに恐れおののき、逃げ惑うのが分かる。
「良し、ポセイドン何かこいつ等を倒せる魔法とかはないか?」
(はい、主殿海魔法のツナミを使いますが、良いでしょうか。)
「えっ、ポセイドンなのか?」
(はい、リンクした事により、念波が使える様になりました。因みに私の中の操縦席に背中から入れますが、どうしますか?)
「有り難う。でも、外からの方が魔物の動きが分かりやすいから、外で見てるよ。」
(分かりました。では、肩の展望台で観てみますか)
そう言うと、右肩に1.5m程の柵と首の方に掴む手すり棒が出てきた。柵は2人が入れる広さだ。
「柵から見させてもらうよ。キントーンあの柵の方へ行ってくれ。ローラ、キントーンを頼んだぞ。キントーン、ローラを頼んだぞ。」そう言ってポセイドンの右肩の柵の中に入るのだった。
「良し、では海魔法のツナミを使って、海の沖へ流し魔物を陸に上げないように出来るか?」
(はい、問題ありません。ツナミ制御とバリアを張っておきます。)
すると、透明なバリアが島と大陸の間に出来るが高さ1Km、長さ5Kmのドデカイ壁である。
「ポセイドン海魔法のツナミを放ってくれ。」
(了解、3連島を丸ごとは無理なので、陸側の1島づつの島から海魔法ツナミを放ちます。)
すると、高さ500m横の長さ3Km程の海の壁が出来、それを島に押し込むとツナミが出来上がる。
3連島の手前の島、1つが山の高さ400m、長さ約3Kmなので、最初のツナミを陸側の島に放つと、物凄い速さで陸側の島を洗い流すかの様にツナミが島を通り過ぎて、波はカーブを描いて沖へと進むのだった。“ドドドドオオオーン”という振動と音がして、MAPには、見事に魔物のゴブリンの一匹も見当たらない。
真ん中の島が1番でかく、山の高さが900m、長さが5Kmもあり、ツナミを見たゴブリン共は山の上を目指して逃げ惑うのであった。
「良し、ポセイドン真ん中の島を、やってくれ。」
そう言うと高さ1.5Km、長さが7Km程の超巨大な海の壁が出来、その壁がツナミとなって真ん中の島を襲う。“ドォドォドオオオーン”先程よりも大きな振動と音がして軽く山を飲み超えて反対側へと波は消えて行く。
MAPで確認すると魔物は一匹も見当たらない。ゴブリンは泳げないし、更にゴブリン共は人が付ける重い鎧を身に着けていたから、重みに耐えきれずに沈んだんだろう。
最後の島もツナミで洗い流すとゴブリンの殲滅が終了したのだった。
「ポセイドン、海水だと作物が育たないから海水を洗い流す魔法はないか?」
(分かりました。では、水魔法のスコールで塩水を洗い流しておきます。)
「ああ、頼むぞ」
スコールを確認してから、キントーンを呼び、飛び移るとポセイドンを魔導具の腕輪、召喚魔物倉庫へと戻す。
「ポセイドン有難うな、助かったよ。今度又頼むな腕輪の中に戻ってくれ。」
(主様、又お呼び下さい。待ってます)
そう言うと“シュルルルル”と渦を巻きながら小さくなり腕輪の中に戻るのだった。
又も“ポカーン”と呆けているローラに
「ゴブリンを全て倒したから帰ろうか」
「うん••••••」とまるで信じられないという風に上の空である。
そこへペガサスに乗ったケリーが、遠目で見たらしくて
「あり得ない。あんなに沢山の魔物のゴブリンが見事に消えた。あのドデカイゴーレムは何処に行ったの、いきなり消えましたが」
「ケリー、俺等は先に城に帰っているな。その話は後でローラに聞いてくれ。」
「はい、分かりました。戦後の後処理はこちらで行います。」何故か態度と言葉遣いが変わっていた。
「もうすぐ日没だから、気を付けて」そう言って手を振るのだった。
城に向かうと入口に、辺境伯のネメシスが待っていた。
「ローラ姫、ご無事でしたか、島から振動と地鳴りの様な音がしたら、ゴブリン共の声が消えました。
何かありましたか?」
まだ、ボーとしていたローラだったが
「消えたの。」
「はっ、何が消えたのでしょうか」
「ゴブリンよ、ゴブリンが全部海の底に消えたの」
「はっ、何を仰ってるんです。ローラ姫、今は緊急時なのです。冗談を仰っている場合ではありません。しっかりして下さい。攻撃を仕掛たんですか」
「ええっ、3回魔法を放ったの、そしたら全部海の底に消えたの。側で見ていた私ですら未だ信じられないのよ。」
そこへペガサスに乗ったケリーが震えながら来た。
「ネメシス様に申し上げます。
ゴブリンは完全に消滅しました。そこの勇者ヒロト殿のゴーレムによって殲滅されました。」
城の外にも魔電で報告が入った様で
「オオーッ、」と城の内と外で歓喜の大歓声が起こるのだった。
「信じられない、魔物の数は百万だというが、勇者様が1人で倒したそうじゃ。」
「超巨大なゴーレムが現れて、ツナミを興してゴブリン共を瞬殺したそうだ。」
城の内外街中はお祭り騒ぎであった。
晩御飯を皆で食べながら、ネメシスが言う。
「信じられん、ゴブリン百万を1人で全滅とは、異世界の勇者というのは、物凄いものですな。」
「違うわよ、勇者ヒロトだけが規格外なのよ。」
何か、人扱いされて無い気がして気まずい。
「ネメシス、あの島を整備して、人の住めるようにして又魔物が入って来れないように、管理もお願いしますね。」
「はい、ローラ姫直ぐに手配します。時に姫、ここから西に獣人の国、ガバナ国というのをご存知だと思いますが」
「ええ、知ってます。人族の一員として同盟を結んでいるもの。」
「そのガバナ国の獣人族から魔族に操られた魔物がこの近くの都市に攻撃を仕掛けているらしくて、応援要請が有りました。ここも危うかったので今迄兵を送ることが出来ませんでした。」
「分かったわ。獣人族の国の事は私達に任せて、勇者ヒロトと明日にでも行って片付けてくるわ。」
つい、食べている口の物を吹き出してしまう。
“ブップウー”ローラにもそれが掛るのだった。
「きゃー、汚いわね何するのよ。」
とローラが言うが、心の声で(お前が勝手に依頼を受けんじゃねエ)と突っ込んでおいた。
とはいえ、動物好きな自分にとってワクワクする俺だった。フワフワ毛皮の獣人が本当に居たらなと思っていた手前、反対はせずに置く。楽しみだ。
「オオーッ、そうですか同盟を結んでいる手前、兵を出さずに居たら、同盟が破棄される所でした。
そうなったら、更に人族が窮地に立たされる所でした。では、この城にいる王国騎士団5千名と冒険者300名、傭兵団1000名も一緒に同行させましょう」
ローラ姫が、自分を見てから、
「いや、いいわ。勇者ヒロトと2人で行くわ」
「いえ、体裁がありますので2人だけというのは、不味いので、2人が出発した後兵も出発させます。」
「分かったわ、任せます。」
「して、勇者ヒロト殿は冒険者をしているとの事。遅れて申し訳無い。街の冒険者ギルドに依頼として出してある1人10枚の金貨ですが、この度の働きに報いる為に色を付けて金貨2000枚有ります。少ないとは思いますが収めて下さい。
それとこの金は、獣人のガバナ国の獣人族を救う依頼を前金金貨2000枚と言うことで宜しいですかな」
するとローラが
「そんな報酬は、要らないわよ。私の国の事だもの」と断ろうとしやがったが、領主のネメシスがローラを嗜める。
「ローラ姫、そんな事を言ってはダメです。ヒロトさんによって、この辺境伯領と住人と城は救われたのです、報酬無しでは、ヒロトさんがやる気を失ってしまいます。」
心の声でネメシスの応援をする。
(そうだ、もっと言ってやって、ローラに常識を教えてやってくれ、後、勝手に仕事を取ってくるんじゃねぇ。のんびり出来ないだろうが)
少しはスッキリし、ローラも
「そうね、ヒロト御免なさい。タダ働きは無いわよね」と分かってくれたらしかった。
ー ー ー ー ー ー ー
第一章終了とさせて頂きます。
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