小5編 姉VS双子事情 ※これはすべての双子に当てはまるとは限りません。
自室にて、お気に入りの文庫本をパラパラとめくりながら、ふうと言うため息とともに、カレンダーを見た時、この目が信じられないものをとらえた。
『児童会長選挙』
立候補していた私にとって、それはかなりのビックニュース。
確かにそれもありましたが、実はもう一つ、重要なことがあったのです。
……ここまで数行焦らしましたが、皆さん、タイトルを見てお気づきですね?
そう、誕生日です!
数えてみると、1、2、3、4、5、6、7、……あと一週間で、誕生日。
ケーキをほおばる自分を想像し、今からワクワクする、当時5年生の私。
しかし、その顔は一気に曇った。
「ヤバい、誕生日プレゼント、どうしよう……」
それは、『双子の誕生日プレゼントどうするか問題』
誰もいない自分の部屋で、つぶやく。
ここで質問です。
友達の誕生日が近づくと、サプライズをしたり、プレゼントを買ったりしないでしょうか。
もちろんノーと言う人も中に入るとは思います。「おめでとう」と言えれば、それでいいかな、と言う人は。
だが、それが親友だったら何かプレゼントを渡したい、そう思うのではないのでしょうか。
私は必ず友達の誕生日が近づくと、誕プレをあげていました。
だから、例外じゃないのです。
双子の妹の、誕生日も。
そしていつも迷うのが、誕プレの中身です。
――うーん、どうしよう。
本関係だったら喜んでくれるかな。
あ、ブックカバーとか、もらったら嬉しいよね。
それとも、本を買う?
でもそれは妹と一緒に見て、決めたい。
――うーーん。
何かを買うというのはいいアイデアでした。
とくに裁縫などがうまくもない私は、何かを買ってあげればそれが最善、かつ、時短だったのです。
だが、いつも一緒にいる妹から離れて、一人で買いに行くというのはあまりにも不自然すぎる。
もし離れて、「今日は、一人で買いたいものがあるの。ちょっと離れてて」なんて言ったら、不自然にもほどがあります。
それを0.1秒で計算した私は、はあっとため息をつく。
その作戦は使えない。
何にしようか。
ぐるっと周りを見渡して、ハッとあるものが目にとまった。
それは、私がひそかに書いていた、小説のアイデアノートと、お気に入りのファンタジー小説について書かれた、自作ノートがそこにあった。
――そう言えば、妹がずっとこれ見たいって言ってたような気がする。
それを思い出して、ぴこんっとあることを思いついた。
――それなら、このノートを見てもいいっていう権利を、あげればどう?
私の顔に、にやりとした笑みが浮かんだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ダメだ。
その考えを思いついて1時間後。
やっぱりそれは少なすぎる、そう思って頬杖を突きながらそのピンクのノートを見つめていた。
「さすがに、ね……」
権利を与える、ううん、なかなかいい響きではない。
なんかこう、形に残るものがいいだろう。
そうなれば、王道の文房具で行くしかないのか……。
――だ~か~ら、買うことはダメなんだって。
ぼんやりとしながら、目の前の箱を見た時だった。
「これだ……!!」
目の前に広がっているのは、さっき片付けてと言われた、古き手紙の残骸。
その手紙を見て、私は顔を上げた。
◇◆◇
「Yちゃん、Hちゃん、これ書いてくれない⁉」
休みをまたいだ学校にて、私は昼休みに友達のところへ駆けつけた。
その手には、1枚の便せんを持って。
「はあ?手紙?」
「そう!妹宛に書いてくれない⁉」
私がいろいろと事情を話すと、Yちゃんは「あーなるほど」と言って引き受けてくれた。
事情が分かってくれて助かる。
そのとなりにいたH ちゃんにも頼むと、「いいよー」と言ってくれたので、私は鉛筆とその便箋を渡し、今日の放課後までに書くように伝えた。
そして放課後、私は書いてもらった便箋を眺め、ほっと胸をなでおろす。
これで、今年の誕生日はどうにかなりそう、かな?
3日後の誕生日に、今度こそ期待で胸を躍らせたのだった。
そして当日には、ノート二冊を見せる権利と、みんなからの寄せ書きを渡したのでした。
見事ばれずにサプライズ?できました!
よって、勝利!
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
小5編はここで終わりです。
この話を書くために、実際に手紙を妹に探してもらうと、出てきました!
その手紙とは、ここに載せるため、内容を少し変えてありますが、実際こんな内容の手紙でした。
〇が私の名前、□が妹の名前です。
□□、たん生日、おめでとう!
○○からのプレゼントは、ずーっと見たがってた、あのノートを見ていいよっていう権利!
○○より。
たん生日おめでとう!
べんきょう頑張ってね。
Hより。
誕生日おめでとう!
これからもヨロピク!
Yより。
性格が出ますね。
誕生日って漢字で書けないのがめっちゃ伝わってくる……(笑)
べんきょう頑張ってね、って言われてるけど大丈夫⁉
今見ると面白いですね。
さあ、小6はなにを渡すのでしょうか???
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