体育祭
第44話 体育祭
新入生歓迎会が終わってから襲撃されるようなことは無く、見る限り侵入者も居なかった。
学園を囲む森には妖怪が跋扈しているが、コチラが危害を加えない限り何かしてくることはない。そういう契約が成されているらしい事を聴いた。
ということで体育祭である。
もともと曇り空だった空は太陽が燦々と輝いている。晴れ男の力をフルに使ったらしい(風紀情報)。基が雨だった場合だと、晴れにするのは難しかったらしいが、雲が薄かったお陰で晴れたようだ。
しかしオレに直射日光は危険。
今は赤史の唐傘に避難して入れてもらっているところだ。
「やばい…」
「今日も暑そうな恰好しとるな~」
「直射日光、危険」
「アカン遂に単語になっとるわ…」
現在オレは半袖半ズボンに長袖のジャージにくるぶし程の長さのあるズボンを上から着ている。暑さの真っ只中である8月にこの恰好は端から見て有り得ない状態である。
しかしオレからしてみれば直射日光の方が危険。何も対策していなければ今頃保健室直行だろうが、そこは対策をしているので問題ない。
要するに雪女の能力をフルに使ってジャージの中を極寒に変えているので快適である。
――なお、去年暑さのあまり結の服の中にためらいなく手を突っ込んできた大国(元生徒会長)は結の親衛隊に体育祭の戦いの中で集中砲火されていた。大国は仮にもその時生徒会長で親衛隊持ちであったのでそれで済んだのである。
そしてその時の記憶は結には無い。
葬(付き人兼親衛隊総隊長)が結に忘れろと圧をかけ、じゃあ忘れるかと深く考えずに葬に言われるがまま思い出さないようにしていたら本当に忘れたのである。
そのことには言った本人も流石に目を疑った。
「ほら水飲み?」
「ありがとう」
赤史が椅子に掛けてある鞄から水筒を持ち出し結に渡した。
因みにオレは現在校庭に居り、2-Sが座る席に居る。クラス全員が座れるベンチが3列程に別れて整列して並び。その上には大きいテントが設置されて日陰になっている。
にもかかわらず何故赤史の生み出した唐傘の下に居るのかと言えば、単純に人が多すぎてはみ出してしまったせいだ。Sクラスはどこもそうなのか、1年の方も3年の方も人が異様に多い。
中でも一年の方に人が多いようだ。恐らく2-Sに会長と副会長が居ないので大方そちらに行っているのだろう。分かりやすいことだ。
因みに今回の体育祭は生徒会主催というよりも、このイベント専用にできた委員である体育委員が主催する。
なんでもかんでも生徒会が主催していたら忙し過ぎるし、いつも同じ人物が主催していたらマンネリ化するだろう。余程の才能がない限り。
なので今回は体育委員が主催しているため流れは知っているが細かい内容まではオレも知らない。
これで生徒会主催とかだったらオレは今頃保健室だ。よかったよかった。
風紀は前回の新入生歓迎会に比べて数は少なくなり、半数程に減っている。交代制のようだ。全校生徒が校庭に集まるので自然と警備は少なくなるのである。
まぁ隙をついて誰かが教室の方で問題を起こさないとも限らないため見回りは当然のように居るが。新入生歓迎会の時に比べればマシのようである。そりゃ校舎と校庭とじゃ範囲が違うよね…。
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