No.246
@shindomizaurus
1. 再開
久しぶりに会ったその男は、突然扉を開け放ち、俺に向かって銃を突きつけた。
左胸には国家権力を象徴する金色のエンブレムが刺繍されている。
美しさすら感じる質のいい生地、その刺繍の細部、拳銃の金属の光沢は、その出で立ちを重々しく演出している。
床に組み敷かれ、女のようにだらしなく声を漏らす俺を、男は目を丸くして見つめている。
男の隣には彼の上司らしき中年の男。
「チッ。この部屋じゃない、行くぞ246号」
汚ねえホモが、と吐き捨てるように言い放って、廊下の奥に急ぎ足で進んでいった。
「…はい」
男は無機質な番号で呼ばれるや否や、まるで何も見なかったかのように表情を無にして廊下を走っていく。
「邪魔しやがって、警官が」
頭上から吐き捨てるように言う男が、中止していた律動を再開する。
「あ、んっ」
246。
にひゃく、よんじゅう、ろく。
俺は口から高い声を漏らしながら、頭では必死に番号を反芻していた。
体の奥底から脳に痺れるように広がる快感に支配されながら、なんとかその三桁の数字だけは覚えていようと、歯を食いしばった。
No.246 @shindomizaurus
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