1分で恋の回収

友川創希

story1

 僕には半年前から毎日SNSや電話でやり取りをしている同い年の女の子がいる。それが窮屈で退屈な日々を送っていた僕にとって大きな光となっていた。

 

 その子は僕のいるところから離れたところに住んでいるので、スマホこそが僕と彼女をつなぐいわば唯一の架け橋だった。


 ただ、僕は今日、そんなスマホを川に投げ捨てた。そう、お互いをつなぐ糸を切ったのだ。


 たぶん、今日もまた部活終わりに彼女はメッセージを送ってくるだろうし、夜には電話をしてくることだろう。でも、僕はそのメッセージに返信することもできなければ、電話に出ることもできない。


 じゃあ、なんで捨てたんだよ。


 はそう言いそうだ。


 でも、――本当の僕は――


「行こう」


 ――何かに頼ることなく、直接自分の気持ちを伝えに行け。


 そう言っているんだ。


 だから、僕はバイトで貯めたありったけのお金をカバンに詰めて、今から電車に乗るんだ。そして離れた場所にいる彼女に会いに行って、心の中の気持ちを君の前で声として伝えるのだ。


 ――好きだ。


 と。

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