2

 普通に生きると意気込んだはいいが……


「学校に行かなきゃいけないって……」


 俺、魔法使えないが?

 そもそも、俺の名前も知らないが?


「ふむ…」


 魔法…使いたい…

 なんだよ!魔法学院って!

 なんで俺は居るんだよ!


「ほら!さっさと行きなさい!」

「え、ちょっ!」


 締め出された……

 てか、よう考えたらあの人誰だよ。

 母さんなのか?

 もう分からん……

 まぁ、考えても仕方がない。

 とりあえず行こう……


「魔法学院ってどこだ…?」


 あぁ、もうだめだ……


「そこの君、そんなとこでしゃがみ込んで大丈夫か?」

「あぇ…?」


 な、なんだこの人は?

 金髪の美人だ…

 うおおおおおお!

 これが異世界か!


「ど、どうしたんだ…?いきなり元気になったが…」


 おっと、あからさますぎた。

 だが、ちょうどいい。

 魔法学院がどこか聞こう。


「大丈夫です。その、一つ聞いてもいいですか?」

「ああ、困っているなら私になんでも聞いてくれ!」


 な、なんでも…?

 それはつまり…なんでも聞いていいと言うことか?

 いや、だめだ。

 今は、魔法学院に行くことが先決だ。


「魔法学院ってどこにあるんですか?」

「魔法学院…?魔法学院ならあそこに見えているだろう?」


 え?

 お姉さんが指差した方を見ると、あからさまに魔法学院っぽい建物があった。

 すげ〜!アニメで見たことある!

 じゃなくて、わかりやすっ!

 もうちょっと周りを見ようね、俺。


「ありがとうございます」

「ああ、また困ったことがあれば聞いてくれ」

「はい!」


 そう言って、俺は走り出した。

 真逆の方向に。


「あ…おい!そっちは!」


 何か言ってるような…?

 気のせいか。

 とにかく急がないと!

 遅刻〜遅刻〜!


「あれ?ここどこだ?」


 数分走った後、俺は迷った。

 あれ?

 魔法学院は…?

 見えないんだけど…?

 え?

 さっき見えてたよね?

 周りを見渡した結果。

 後ろの方にかろうじて、魔法学院が見えた。


「ふぁっ!?」


 真逆に走って来てしまった…

 なんでだよ!

 俺って方向音痴だっけ?

 今から戻っても間に合わなくね?


「ふぅ〜〜もう無理だな!」


 諦めた。

 まぁ、一日ぐらい大丈夫だろ!

 せっかくだ、街でも探索しよう!


 やっぱ、路地裏とかいいよな。

 なんか表と違って、雰囲気がガラッと変わるじゃん?

 あの雰囲気好きなんだよね〜


「おい!そっちに逃げたぞ!」


 ん?

 逃走中か?


「あのガキを逃すな!」


 なんかまずい現場に遭遇してしまったのでは?


「はぁ…はぁ…」


 こっちに走ってくる子供がいる。

 さっきの会話から察するにこの子だよな…?


「た、助け…て……」


 ……

 どうするべきだ…

 もし、助ければ俺も狙われるかもしれない。

 魔法も使えない俺が狙われでもしたら秒殺だ。

 だが、このまま放っておくのか?


「……クソっ!」


 普通に生きるはずがこんなことになるとはな…

 だが、見過ごすよりはましだろ。

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