第34話 第8部 発覚編 10

ここまでのあらすじ


圭子に『ひだまり』で加奈達のスカートの中を鑑賞する事を許されたスケベ死霊達。

空気を読めない彗星のシュタールの申し出で圭子は新しい制服姿で彗星のシュタールと並んでチェキを撮った。

新しい『ひだまり』のコルクビードに飾るチェキの1枚目が圭子と彗星のシュタールが並んだチェキになる。

もっともふつうの人間には圭子がやや引きつった笑顔でハートの片方を作り、その横に少し空間があるものになるが。


そして、リリーの申し出でスコルピオの女性隊員とリリーが、男性隊員で料理経験者が交代で『ひだまり』のシフトに入る事になり、人手不足問題も解決しそうだった。


彩斗達はリリーや女性隊員たちがあの制服で『ひだまり』のシフトに入ることが決まり希望に胸を膨らませるのであった。


その後、自殺未遂をした蔵前の話になり、日本に応援に駆け付けた岩井テレサの組織の最強部隊『連隊』のメンバーで精神的ケアに秀でた者が蔵前のケアをしているとの事を知り、彩斗達はぜひ落ち着いたら蔵前のお見舞いに行きたいと言った。


彩斗達は、あの子供殺しの外道の未成年者が異例中の異例だが通常の公判を行われる事を知り、そのニュースを見ていたはなちゃんが外道に異変を感じ、拘置所に探りに行く事になった。


その後彩斗達は生活の拠点を本格的に死霊屋敷に移す準備を進め、司と忍の転校手続きも終わった。


練馬で新たな悪鬼の気配を嗅ぎつけた彩斗達は明石が偵察に行っていた。


彩斗は移転が間近に迫った『ひだまり』にコーヒーを飲みに行く。



以下本文


あさってクラの保養所に訪ねると言う金曜日、俺は久しぶりに『みーちゃん』に飲みに行くと決めて、午後にはマンションに戻り、店が開くまで『ひだまり』で時間を潰す事にした。

『ひだまり』ではちかじかここを閉店して新しい場所に移転する旨の通知が張られていた。

何人かの客が新しい場所へのアクセスをメモにとったり写メで写していた。

今日は加奈とジンコがシフトに入っていた。

閉店セールで飲み物と料理が100円引きと言う事も有って相変わらず客とスケベ死霊で混んでいた。

会計カウンターには何人かのファンが加奈や真鈴、ジンコや圭子さん宛てのそして喜朗おじ宛てにも花束が贈られていて飾ってあった。

喜朗おじが気を利かせて俺を個室に案内してくれた。


コーヒーを持って個室に来た加奈が周りを見回して俺に言いにくそうな顔をして言った。


「あのさ、彩斗。」

「加奈、どうしたの?」

「あの、大した事じゃないんだけど~、一応彩斗にも言って置こうと言う事になってね~。

 喜朗父にも言ったんだけどなんか歯切れが悪くてさ~景行ちんにも言おうかと思ったけど…夫婦仲が悪くなってもと思ってさ~。」


俺は加奈の言葉を聞いてピンときた。


「それって…ひょっとして…圭子さん?」

「そうなんだよ~!

 彩斗良く判ったね~!」

「ふふ、俺もそろそろ10回野郎に、まあ、そんな事はどうでも良いけど、圭子さんが何か?」

「あのね~、大した事じゃないんだけどさ~!

 別に女同士だからね~、でもね~。」

「どうしたんだよ?」


俺が尋ねると加奈は改めて個室を見回して誰も聞いていない事を確かめた。

個室にいるのは俺と加奈と、加奈の足元に群がっているスケベ死霊達だけだった。


「ここだけの話…圭子さんが『ひだまり』に来るとさ~加奈とかだけじゃなくて真鈴やジンコを控室に呼んでさ~あのさ~。」


加奈がしばらく沈黙した後に言った。


「パンティー見せなさいと言ってスカートめくるんだよね~。

 それでじ~っとパンティーを見てチェックするんだよ~。」


俺はコーヒーを吹いてしまった。

そう、ここ『ひだまり』でスケベ死霊達の事を加奈や真鈴やジンコは知らないのだ。

死霊が見えないから。

彼女達がスカートの中を覗かれる事を知っている女性の圭子さんが加奈達のパンティーが大丈夫そうな物かどうか…または…ちちちちゃんとパンティーを履いているかチェックしているのだろう。

俺は圭子さんが加奈達のスカートをめくってパパパパンティーをチェックしている情景が目の前に浮かび鼻血が出そうな気分だった。

加奈の足元に集うスケベ死霊達も加奈の言葉を聞いて羨ましそうな顔を浮かべていた。

加奈達が着替えをする控室は死霊立ち入り禁止なのだ。


…出来れば俺が…かわりに…加奈や真鈴やジンコや圭子さんまでが恥ずかしそうに顔を赤らめながらお尻を突き出して…そこにユキがやって来ていつの間にか制服を着ていて、私のパンティーもチェックしてぇ~!とか言って…。


俺は久しぶりに危険な思考暴走に突入しそうになって慌てて頭を振った。


浮気じゃ無いよ…。


俺は無理やり笑顔を浮かべて加奈に言った。


「そそそそれはほら、制服が新しくなってスカートの中が見えるんじゃないかと圭子さんが心配しているだけだよ~。」

「なんだそうか~。

 圭子さんも心配してくれるのね~でもさ、この前加奈がちょっと大人っぽく紐のパンティーしてたら派手過ぎるからダメとか言われてさ~!」


…紐ですとぉ!

…加奈は紐パン履いているですとぉ!

…あのエロい制服のスカートの奥には加奈の紐パンがぁ!


結局履き替えたらしく死霊達は加奈の紐パンが見れなかったらしく血の涙を流しながら悔しがっていた。

加奈の紐パンは回避したが、あの制服はガーターで止めるストッキングなのでスカートの中を覗けばダイレクトにパパパパパパンティーが見えてしまうのですぞぉ!

そそそれを暗黒の才蔵や稲妻五郎や彗星のシュタールをはじめとするスケベ死霊軍団が堪能するとぉ!


「…うん…そそそ、それは少し危険かもね…ほら、もしかして加奈が転んだりした時にやばいかも知れないじゃん。

 すすすすこしおとなしめのパンティーにしておいた方が良いかもね。」


加奈の運動神経からしたら絶対に転んだりする事は無いと知りつつも俺はなんとかその場を取り繕った。


「まぁ、圭子さんも加奈達の事を心配してくれて言ってるんだからさ。

 お母さんに言われたと思えば?」

「そうかな~、かなり目が真剣なんだけどね。

 パンティーに穴が開くんじゃないかと思うくらいチェックする時もあるけど…まぁ、心配してくれているんだったら、しょうがないかな~?

 そうか、圭子さんは私達のお母さんみたいな所もあるよね~!

 判ったよ、ありがとう。

 彩斗ちんもゆっくりして行ってね。」


納得したような加奈を見て俺はホッとした。

個室を出て行く加奈の後ろ姿を見ながら俺はユキにもあの制服を着てもらって規約に触れるからとてもここでは言えないあれやこれやをする事を想像して固まってしまった。


夜、『みーちゃん』に行った。

すると明石夫婦と四郎、真鈴とはなちゃんが飲みに来ていた。


「あれ~!

 皆、飲みに来ていたんだ~!」


俺は思わず声を上げてしまった。

四郎が笑顔を俺に向けた。


「よう、彩斗、われ達もなんだか飲みたくてな。

 『ひだまり』が終わったら喜朗おじとジンコと加奈も飲みに来るそうだ。」


圭子さんが既に酔いに顔を赤くして言った。


「喜朗おじも加奈もジンコもここは初めてだからね~!

 皆勢ぞろいで外で飲むの初めてだよ~!」


『みーちゃん』のママが恵比須顔で俺にお絞りを出した。


「吉岡ちゃん、皆が来てくれて嬉しいわよ~!

 この前入れてくれたボトル全部なくなるかもね~!

 ありがとう~!」


カウンターはほぼ俺達で埋まった。

そしてユキがお通しを俺の前に置きながら目をうるうるさせて俺に囁いた。


「彩斗、この前は本当に心配だったんだよ。

 彩斗が来た後にあんな事件が起きてさ、本当に心配してたよ。」

「ユキ、心配してくれてありがとう。

 でも、大丈夫さ。

 ほら、皆で飲みに来ただろう?」


ユキはうんうんと頷いた。

それから俺達は楽しく飲んだ。

他の客達が圭子さんや真鈴と言った美人たちと飲んでいる俺達を羨ましそうに見ていた。

そこへ喜朗おじがジンコと加奈を連れて入って来て俺達と合流してまた驚いていた。


「なんだよこの美人軍団は!

 吉岡ちゃん、凄い知り合いがいるんだな~!」

「本当にこんなに美人がひとところに集まるの初めて見たよ~!」


常連のおじさんたちがびっくりして俺に声を掛けていた。

四郎が苦笑いを浮かべて言った。


「ああ、リリーが待機じゃなかったら連れてくるんだがな~!」

「四郎、ここにリリーが加わったら大変な騒ぎになるよ~!」


俺は四郎に答えながらいやいや、ユキだって負けないくらいに可愛いじゃんか!と思った。


皆でおしゃべりをして料理を食べ、カラオケを歌って他の客達を巻き込んで店内は凄く盛り上がった。


そろそろお開きかな~?と言う時に四郎と明石と喜朗おじが俺に笑顔を寄せて来た。

四郎が俺に囁いた。


「あのな彩斗、今日、われと真鈴達はタクシーで死霊屋敷に戻るぞ。

 あのマンションはお前だけだ。」

「え?」


最初何の事か良く判らない俺が聞き返すと四郎達がにやにやした顔で頷いた。


「さっさっと10回突破しろ。」

「ユキちゃんが涙ぐんで喜んでいたじゃないか。」

「無事に生きて帰れたんだ朝までユキちゃんを抱きしめてやれ。」


「皆…ありがとう。」


俺は四郎達の心使いに涙が出そうになった。

俺はトイレに立つついでにユキに小声で言った。


「ユキ、今夜、俺のマンションに来る?」


ユキは顔を赤らめて俺の袖を掴んで小さく頷いてくれた。

午前12時を回りそうになり、気を利かせてくれた四郎達はお先に!と言って帰って行った。


俺はもう少し粘ってから店が終わる頃に出て、ユキと駅で待ち合わせをしてから一緒にマンションに帰った。

俺は充実した愛に満ちたリア充時間をユキと過ごした。


こうして俺は12回と4分の1野郎になって、翌朝遅くにユキを家まで送ってから死霊屋敷に戻った。





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