7
「さて、私たちも帰ろうか。
その時、
何があったのかと彼女の顔を見たが、彼女は真剣な眼差しで俺を見つめていた。
下手すると怒っているんじゃないかと錯覚させられるほどの真剣な目つき。
俺は何も言えなくなっていた。
「
「あの……触手のお化けのこと?」
「うん。昨日は仕留めそこなったけど、今日なら大丈夫だよね?」
「……え?」
「何とぼけてるの? この世界へ逃亡してきた犯罪者を修行ついでに捌く。これが魔法少女として、
ず、随分と壮大な話だったんだな。
面食らっている俺に
目的地は決まっている。あの公園だ。
目的地まで歩いている時、
「昨日はごめんね
「え?」
「私もいれば、
「そ……そうなの?」
「結界を張る役目がいないせいで本気が出せなかったんだよね? 大丈夫、今日は私がいるから思う存分戦えるよ」
ああ。いつもは結界があるのか。
そこで怪物と戦って倒すことで、周りの被害を抑え、通行人の記憶にも残らないようにしてるのか。
でも、昨日の
とにかく、俺は
公園にはまだ人がまばらにいた。
夕日も落ちてないし、学校帰りの子どもたちが遊ぶにもうってつけの場所だから人がいなくなるのは夜になるだろう。
「人がいるけど、どうするの
「大丈夫。任せて」
そう言って、
彼女の呪文はまるで頭に直接訴えかけるようにガンガンと響いていく。
妙な気持ち悪さを感じながら、俺は頭を抑えて
呪文のおかげか、まばらだった人々は無意識の内に公園から出ていく。
あの人たちは自分が操られているとは分からずに公園から逃げているのだろうか。
人々がいなくなったことを感じとったのか、
「これで準備万端だよ、
「あ、ああ……」
本当に人っ子一人この公園からいなくなってしまった。
先ほどまでささやかながら賑わっていた公園だが、今は閑散としている。
夕方の公園とは思えないほど人気が無く、少し怖いという感情が出てくる。
しかし、そんな感傷に浸っている暇はなく、噂の怪物は姿を現した。
怪物は昨日間近で見た時と同じ、両手両足が触手のようにうねりを上げ、胴体に顔がついているという奇怪な姿だった。
今の俺はボクシングの試合前にセコンドからエールを送られている選手のような感覚だった。
戸惑いながらも、俺は
「な、何なの
「ほら、魔法少女の出番だよ」
「え!?」
「え、じゃないよ。早く変身して」
肝心なことを聞きそびれていたのかもしれない。
俺は
つまり、今の俺は単なる女子小学生と何ら変わりないということだ。
俺がモタモタしている間に、化物は狂喜の雄叫びを上げる。
どうやら、今まで黙っていたのは自分に襲いかかってくる相手が誰か分からなかったみたいだ。
そして、それが昨日逃した獲物だと気付き、化物は喜んだらしい。
さすがに様子がおかしいと思ったのか、
彼女の期待に応えられないことに罪悪感と敗北感を味わいながらも、俺は苦笑することしかできない。
ごめん、
「
「あ……アハハ。ちょっとど忘れしちゃって……」
すると、
「
「アハハ……面目ない」
「もしかして、昨日遅かったのもどこかでサボったから?」
「いやーちょっと記憶にございませんねー……」
「……はぁ。先が思いやられるよ」
よし、今のは
彼女には悪いが、
これもお前が入れ替えたせいだからな。自業自得だ。
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