序章其ノニ ふつうをしらないれいばいし
わたしは、知らなかった。
普通の暮らしなんて。
友達と一緒に帰るとか、
休みの日に友達に遊ぶとか、
友達と寄り道するとか。
なにも、知らなかった。
でも、あの日から。
あなたに会ったあの日から。
少しずつ、私の世界は色づき始めた。
普通が、少しずつ増えていく。
でも、それ以上に、ふしぎが増える。
前より、大きくなっていく。
ふしぎがあなたを巻き込んで、みんなを巻き込み始める。
わたしの命を握りつぶそうとして、ふしぎが目の前に迫ってくる。
もう、隠しきれない、わたしの中にあるふしぎ。
今、解き放ってもいいのだろうか……。
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