第7話[奇襲作戦とメンバー]

〜現在地:アジト〜

〜零夜視点〜


「虎狼組を、襲撃する」


俺の一言で、会議室はピキンと緊張の糸が張り巡らされる


忘霓「襲撃と?随分リスキーだな」


忘霓が腕を組みながら俺に言う


零夜「あぁ、だが、詳しく言えば襲撃じゃない」

忘霓「……ほう?」


零夜「虎狼組を、奇襲する」


真っ直ぐした瞳で皆を見つめる

奇襲作戦、それはハイリスクハイリターンの勝利か敗北かが二極化される作戦だ

作戦がリスキーな分、成功した時に得られるリターンも多い


翠郎「……もっと詳しく教えてくれ」


翠郎が腕を机に置き俺を見つめながら言うので、俺は奇襲作戦について詳しく言う


零夜「まず、前提条件が間違っていたんだ」


零夜「相手は虎狼、四大絶帝の一つであり、その戦力差は歴然だろう」


零夜「相手は支部を含め3万、それに対しこっちは30人ほど……」


零夜「真正面から挑むなんて、自ら死にに行くようなものだ」


俺の話に皆興味を惹き付けられたのか、少し前屈みになりながら耳を傾ける


零夜「だから俺はこう考えた」


零夜「"真正面から殺らなくてもいいんだ"」


零夜「先ず、さっき言った通り虎狼と俺達は人数不利が過ぎる、真正面で殺ったら多勢に無勢だ」


零夜「だから、その人数不利を無視する」

叶翔「……それで、奇襲か」


零夜「そう、隠密して奇襲なら、人数不利なんて物は関係なくなる」


零夜「そして奇襲でボスを殺れば……」


忘霓「統率とれる者が居なくなり内部崩壊を待つだけ……って事か」


零夜「あぁ」


零夜「ハイリスクハイリターンだが、やる価値は十二分にあると思う」


魅零「………」

聖音「……」


皆、顔を下に向ける

その顔からは、額から汗を出し、なにかに怯えているような顔だ

……想像してしまったのだろう、自分が虎狼に潜入し、捕まった時の末路を

怖いだろう、相手は虎狼、残虐性は日本一を誇る組織、捕まったら拷問されて殺されるのが関の山……


零夜「……潜入組は、4人ほど集めたい」


零夜「……怖いのは、分かる、けど……」


零夜「………俺に力を貸してほしい」


俺は頭を下げ、皆に向かい懇願する

皆の視線が俺に集まって行くのが、感覚としてわかる、静寂が耳をつんざく







???「じゃ、僕加わる」


そして、この静寂を壊したのは

一般構成員ハッキング担当の、かなめだった


零夜「萃……」

萃「虎狼組本部には色んな仕掛けがあると予想できる、ハッキング担当が必要でしょ?」


耳につけていたヘッドホンを首にかけ、俺に向かい言う


零夜「……ありがとう!」


俺は萃に向かい感謝の言葉を告げる

……だが、あと残り3人も居る


この人選次第で、零夜組の命運が別れる

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

〜現在地:アジト〜

〜魅零視点〜


あぁ、心臓がドクドクとする

鼓動が早まる、怖い

虎狼に負けたら、殺されちゃう、死んじゃう

嫌だ、死にたくない、まだ死にたくない

グルグルと脳内に生きたいと言う思考が巡る

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


零夜「魅零の笑顔を見る事かな」


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

……なんで、零夜さんの笑顔が今………

なんで、守りたくなるような笑顔をするの

悲しんで欲しくない、笑顔でいて欲しい

……あぁ、なんだ

零夜さんと私のハマってる事、同じなんだ








魅零「……私も、行きます」





無意識に言葉が出る

言葉が出た数秒後ハッとする

自分の言ったことの重大さに気付き、言葉を取り消そうとしたが


零夜「っ!!!ありがとう!!!」


と、笑顔で言う零夜さんを見て、次第にそれも消えていった


魅零(……零夜さんが……零夜組の皆が……)

魅零(笑顔で過ごせる未来の為に……)


私は心の中で握りこぶしを作る

誰かがやらなきゃ行けない仕事なんだ

逃げたら、それこそ自分が終わる














……怖い


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

〜現在地:アジト〜

〜零夜視点〜


萃、魅零がメンバーに加わってくれた

残り2人、来てくれるか……だな……


忘霓「俺も同行する」


と思っていると、忘霓が名乗りを挙げる


零夜「忘霓!!!」

忘霓「少しくらい戦闘員が居た方が良いだろう?何かあった時にな」


???「……んじゃ、黙って話聞いてたけど、俺も行こっかな」

零夜「幻響げんきょうも!」

幻響「暇だからね〜、それと売られた喧嘩はしっかり倍にして返す、大賛成だよ」


ものの数分で4人集まり


メンバーは

・萃

・魅零

・忘霓

・幻響

と言うメンバーが集まった


萃はハッキング担当として優秀であり

忘霓と幻響も戦闘のプロフェッショナルだ

魅零も……まぁ、やる時はやるので、頑張って欲しい


零夜「メンバーは決まった、だけど、まだやる事がある」


皆その言葉を聞くとキョトンとした顔をする


零夜「虎狼組は、本部が不明な事で有名だ」

零夜「俺達も今、虎狼組の本部を割り出せてない」

蒼羽「……潜入をする為に、本部を割り出す必要があるってことか」

天斗「それも、虎狼がいつ攻めてくるかわかんないから、出来るだけ早く見つけないといけないって感じか」


その通り、虎狼がいつ動きだしてもおかしくない、だからこそ早く場所を割り出す必要がある


零夜「……虎狼は東京の何処かに本部を構えていると言われている、それは確かだ」


零夜「だけど今回、虎狼が攻めてくる可能性も捨てきれない、だから迎撃メンバーも必須になってくる」


零夜「今回は今俺が決めた3班に別れて捜索してもらう」


零夜「まず、蒼天の2人」

天斗「……俺たちか」

零夜「お前たちは新宿区を頼む」

蒼羽「わかった」


零夜「次に、翠郎、凛音、聖音」

翠郎「おっ、俺選抜?」

零夜「お前たちは千代田区を頼む」

聖音「おっけー」

凛音「はい、分かりました」


零夜「そして最後、叶翔、白月、秋月」

白月「お、呼ばれた〜」

零夜「お前たちは墨田区だ」

秋月「OK〜」

叶翔「わかった」


零夜「よし、それ以外は各々アジトで虎狼が攻めてきた時の迎撃に備えてくれ!!」


俺はそのままの勢いで立ち上がり叫ぶ


零夜「今が勝負時!売られた喧嘩は倍にして返す!!それが俺達マフィアの鉄則だ!!」


零夜「行くぞ零夜組!!!!虎狼組をぶっ潰せ!!!!!!」


「「「「「「「「「「「「「「「了!!!」」」」」」」」」」」」」」」


俺の言葉に呼応するように皆返事をする


零夜「では解散!!!奇襲メンバー以外は東京全土を練り歩き探し出せ!!!!」


そして会議は解散し、俺は言葉を告げると皆足早に会議室から出ていった







""マフィア""



それは売られた喧嘩は必ず返す



""血塗られた、獣達だ""

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