第4話[報告と日常]

〜現在地︰アジト〜

〜零夜視点〜


長い廊下を渡り執務室に帰ると、部屋一面を見渡す

特に変わり無く、あるとすれば書類が無くなり机がスッキリとしている事くらいの部屋を見渡した後、俺は身を投げるようにベッドにダイブする

お風呂に入ってねぇし、ご飯食ってねぇなぁと思考が回るが、次第にそれも睡魔により消えていった


零夜「……寝よ」


空間に溶け込むような小さな声で呟く

俺は睡魔に侵される思考を容認し、意識を

全て睡魔に委ね、思考をブラックアウトする


蒼羽「零夜、居るか」バァン!!!


その時ドアが勢い良く開かれ、蒼羽が俺を呼ぶ、ドアが開かれる音にビックリして飛び上がってしまった


零夜「蒼羽……」

蒼羽「零夜、今帰ってきた、報告だ」


別に今すぐ報告しなくてもいいんだけど……

そう思ったが、せっかく来てくれたので俺はベッドから降り、そのまま自分の椅子へ座る

蒼羽はそのまま俺の前に出ると、今回の事について話す


蒼羽「結論から話すと、今回も組織絡みだ」


組織絡み……やっぱり前々から薬売人が増えてるのは、何らかの組織が絡んでいるのかと思うが、思考している俺を気にせず、そのまま蒼羽は発言する


蒼羽「今回も口を割らなかったが、今月に入ってもう7人目だ、しかもその内6人は組織絡み、何か手を打たないと、こっちとしてもあまり良くない」

零夜「……だな」

蒼羽「それと、流星街の暴力沙汰もだな」

零夜「そういや、まだ続いてるんだったな」


そして、薬と同時に出てきた流星街の暴力沙汰についても蒼羽は言及する

前まではあまり聞かなかったのに最近になってから頻繁に聞くようになった

やはり何か絡んでいるとしか思えない


蒼羽「これに関しても警戒を強め、巡回を強化するのが得策だろう」

蒼羽「これが今回の報告だ」


そう言い蒼羽は口を閉じる


零夜「OK、ありがとう」

蒼羽「あぁ、俺はもう寝る」


そう言うと蒼羽は後ろを振り向きそのまま

ドアの方へ歩いていき、ドアノブに手をかけ

ドアを開ける


蒼羽「おやすみ、またな」

零夜「おう、またな」


言葉を交わすと、蒼羽はドアを閉める


零夜「……」


回転椅子を回し、後ろの窓を眺める

月がギラギラと輝きを放ち、その輝きで俺の脳を覚醒させようとしていた


零夜「……寝るか」


だが、俺はもう一度寝る事を決意し

そのままベッドへ体を向かわせる

睡魔がまたもや俺を襲い、そのまま俺はベッドへダイブと同時に抗う間もなく目を閉じた


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

〜現在地︰アジト・研究室〜

〜白兎視点〜


やっとだ……やっと翠郎に邪魔された薬瓶を

完成することが出来る……

翠郎はもう寝ている筈……もし寝ていなくここに来るとしても、翠郎にだけ反応する毒矢とその他トラップが張り巡らされている

やっと……やっと……この研究が成功すr


翠郎「やっ、来たよ」

白兎「what??????????」


ガシャン!!!!!


翠郎「あ」

白兎「あ」






白兎「…………」


白兎「翠郎ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!」

翠郎「いやいや、これに関しては白兎が手を離したのが悪いんじゃん」

白兎「テメェが来たのが悪いんだろうがァ!シンプルに殺すぞォ!!!!!!!」


何でこいつはトラップに引っかかってねぇんだよ!!!ドアの感知センサーぶっ壊れたのか!!!


翠郎「俺がそんなのに引っかかる訳www」

白兎「ナチュラルに思考読むなクソガキィ!」

翠郎「お前の方が一歳年下じゃん」


このクソガキィ……!!!!

私はそう思い近くに置いてあるハサミを持つ


翠郎「待ってそんな物騒な物持たないで」

白兎「問答無用!死ねぇぇぇぇ!!!!!」

翠郎「逃げまぁす!!!!!」

白兎「待てやクソガキィィィィィ!!!!」


こうして、深夜3時半の鬼ごっこが幕を開けた


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

〜現在地︰アジト〜

〜零夜視点〜


零夜「んー……」


鳥のさえずりで目が覚める……

目が覚めたばっかりのせいであまり頭が働かない、ベッドからムクリと上半身を起こし、数分程ぼーっとする、ぼーっとした後、洗面所へ向かう為ベッドから体を出し洗面所へ向かう


執務室は3階、それに対し洗面所は1階なので毎回毎回1階へ出向かなきゃ行けないのが億劫おっくうに感じる

3階にも洗面所付けて欲しいと言う切実な願いを思いながら、1階へ向かう階段を使う

1階へ近づく程皆の声が大きく近くなって行く


???「おっ、零夜じゃん」

零夜「ウゲッ……秋月しゅうげつ……」

秋月「ウゲッてなんだウゲッて!!!」


そして今日最初に俺に声をかけたのは……

零夜組幹部であり、俺がぶん殴りたいヤツ代表の秋月だ……

コイツ前に「零夜を〇す為のナイフ」とかふざけた書類送ってきたせいで毎回会う度ウゲッてなるんだよな……


秋月「というかお前寝癖ヤバwwwwww現代アートかな?wwwwwwwww」


ほらこんな感じに煽ってくる、いい加減ぶん殴ってもいいかな


零夜「はぁ?!お前こそちょっと髪の毛跳ねてるじゃねぇか!!!」

秋月「は!?そんな訳n……」

???「あ、零夜兄さんと秋月兄さん」


すると秋月の後ろから声が聞こえる

この醜い言い争いを止めた救世主は凛音りんねだった


零夜「凛音、おはよう」

秋月「よ〜っす凛音」

凛音「おはよ、零夜兄さん、ちゃんと昨日は寝た?」

零夜「昨日じゃなくて今日だけど、一応寝たよ」

凛音「ちゃんと寝なきゃ体調崩すよ?ちゃんと寝てね?」


心優しい……女神だ……(泣)


秋月「まぁ体調崩したら俺が看病しに行ってやるさwwwwwwwww」

零夜「死ね???」

凛音「相変わらず変わんないなぁ……ちゃんと仲良くね?」

「「無理」」

「「なんで被んだよ!!!!」」

凛音「はぁ……仲良いのか悪いのか……」


凛音も呆れているのか溜息を吐く

俺もコイツと居るって事実に泣きたいよ……


凛音「じゃあ、私は巡回してくるから、2人ともまたね」

秋月「おっけ〜またな!」

零夜「またな〜」


そう言うと凛音は玄関の方へ向かっていった


零夜「んじゃ、俺も顔洗ってくるから」

秋月「はいよ、またな」

零夜「またな」


軽く言葉を交わすと、秋月と俺は別方向へ別れた、今は7時半、皆起きてくる時間だ

女子の方の洗面所は……行列が凄い……

まぁ俺は男子だから関係ないがな

洗面所に入り、顔を軽く洗う

鏡を見ると、俺の後ろにいる人を目視する


叶翔「零夜か、おはよう」


後ろに居たのは叶翔だったようだ


叶翔「昨日は寝れたか」

零夜「おう、バッチシだぜ」

叶翔「なら良かった」


ばったり会った叶翔と、洗面所前で軽く雑談をする、そうして他愛も無い雑談を繰り広げていると、叶翔の口は少し口角を上げる


零夜「お、笑ったな」

叶翔「なんだ?」

零夜「いつもお前真顔じゃん、だから笑ってくれて嬉しいなってだけだ」


そう言うと叶翔は俺の言葉の意味を汲み取ったのか、また少し口角を上げ言う


叶翔「ここのヤツらと話していると自然と笑顔になるんだ」


俺は叶翔のその発言を嬉しく感じ、少し声の声量を上げながら「なら良かった!」と言う


そして、その言葉から続けて、「んじゃ、俺は食堂行ってくるわ!」と言い残し、洗面所を後にした

叶翔もそれに呼応するように、「あぁ、またな」と俺に聞こえる声量で後ろから答える


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


アジトの2階にある食堂に着くと、皆各々が食堂の料理を食べている、いつものメニューに日替わりメニュー、色々な食べ物がある中、俺も何か食べようと思い財布を取り出し看板に書いてあるメニューを見る


零夜「今日の日替わりメニューは……唐揚げ定食!!!???」


そして今日の日替わりメニューは唐揚げ定食と言う俺が最も望んでいる素晴らしい日が遂に来たようだ!!!!

俺は笑顔で食堂のおばちゃんに「唐揚げお願い!!!」と言うと、おばちゃんは「はいよ、今日は唐揚げで嬉しそうね!」と言う


俺はおばちゃんに注文すると席に着き、唐揚げを待つ


秋月「よぉ〜す、さっきぶり〜」

零夜「ゲッ……秋月……」

秋月「さっきのウゲッから反応変えてんじゃねぇよ!って言うかまずウゲッとかゲッとか言うな!!!」


相変わらずうるせぇなコイツ……

俺はそう思いながら先程ウォーターサーバーで入れた水を飲む


秋月「俺もここに座るわ〜」

零夜「なんでだよ!!??」

秋月「え〜?弄りやすいから?w」

零夜「ぶっ殺すぞ??????」

秋月「あーあー聞こえなーい」


そんな俺の意見を無視しながら隣に座る


零夜「こんにゃろ……」

秋月「まぁ良いだろw」


すると食堂に「零夜〜!唐揚げ定食できたよ〜!」とおばちゃんの声が響く

俺は慌てて「今行く!!!」と声を上げ、唐揚げ定食を求め、おばちゃんの方へと走っていくが、おばちゃんに「転ぶと危ないよ〜」と言われたので早歩きに変更し、唐揚げを取りに行く


おばちゃんから唐揚げを受け取り、自分の椅子へと向かうと、俺の席の隣に人が座っている……だが俺は


零夜「よし、別の椅子に行こう」


その隣の人を見た瞬間方向を変える


???「あ、遅いじゃん!待ってたよ?」


だが、時すでに遅しだったようだ

俺は唐揚げ定食を持ちながら後ろを振り向く


零夜「……ほのか


仄……一言で言う


ク ソ 程 ヤ ン デ レ だ


俺が危険な目に合えば直ぐ駆け付けてくるし

なんか最近衣服が盗られてるし

言動が一々いちいち怖いしで、結構個人的に危険視している存在だ、だが、本人は自分のヤンデレ具合に気づいてないらしく、それ故に厄介さが増している


仄「どうしたの?早く食べよ!」

零夜「アッハイ……」


そう言い仄は唐揚げ定食を持ってる俺を椅子に導く、そしてそのまま席に座ると、秋月はニヤニヤと笑い、俺に「頑張れよ、零夜さんwww」と耳打ちする


俺はそんな秋月にイラッとしたが、この気持ちをぐっと堪え無視し、唐揚げを食べ始める


零夜「うめぇ……」

仄「可愛い!!」


そして何故か唐揚げを食っただけで可愛いと言われる、うん、隣のコイツらは無視しよう

そう思いながら食べ進める


天斗「相変わらずだなぁお前ら」


その時、天斗が前の椅子に座り語り掛けてくる、見てんなら助けてくれよと思いながら「おはよう、天斗」と返事をする


天斗「おはよ、今日の日替わりは唐揚げか」

零夜「そうだぞ、お前も早くなんか頼めよ」

天斗「そうだな〜なんか食うか」


そう言うと天斗は「メニュー見てくるわ」と言い席を立つ


零夜「お前らもなんか食えよ」

仄「そうだなぁ……私もなにか食べよ!」

秋月「俺もなんか食うか」


天斗に続き仄、秋月も席を立ちメニューの方へと向かう、俺はその隙を見逃さず急いでご飯を食べご馳走様を言い片付けると、そのまま部屋へと戻る


後ろから仄の「零夜〜!!??」という声が聞こえるが、それを無視し執務室へと戻る


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


執務室に戻ると、先程までは無かった書類が多く積まれており、それを見て絶句する


???「うぇ〜…デカイ……」


書類の後ろから声が聞こえ、その姿を現す


零夜「今日の当番は白月はくげつか……うん………頑張ろうな……」

白月「頑張る……」


こうして、俺の1日は始まりを告げた


俺はペンと1番上の書類を手に取り、ペンを走らせた

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る