第25話 イヤ、俺は魚じゃない、人間だ……

「ねー、旦那ぁ♡アタシの身体、どうだった?」


「相性良いね。それに、冬芽と違って五回戦は保つのが良い」


「旦那、絶倫っすもんねえ♡」


「ザコい男は嫌いだろ?」


「うんっ♡アタシ、強い男が好き♡」




朝、飯を食ってから、今日の仕事に入る。


冬芽は基本的には魔導書を預けて研究させておけば良いが、透はどうしよう?


やはり、技能を活かして車両の整備や弾丸造りなんかをやってもらうか。


その他にも、車の運転なども代行してもらう。どうやら、運転そのものはできるらしい。


冬芽と違って、汎用的な技能をたくさん持つので助かるな。


冬芽はマジで魔法関係以外は信じられないほどポンコツだから……。


「っと、ちょっと良い?」


「どうした、透?」


「実は……」


おっと、透からの提案ってかお願いだ。


要するに、服が欲しいとのことだった。


確かに、車両整備やらせるにも、今みたいに普段着でやらせる訳にはいくまい。


作業服を着せてやらねば。


この前にパーキングエリアで拾ったウニクロの服は、下着や一般生地が主だったからな。


この世界で生活させるとなると、やはり安全を考えて作業服などの丈夫なのが良い。


それに、これは俺の考えだが、銃器も与えたい。


レイジングブルのようなハンティング用の大口径銃は流石に使えないだろうから、警察官や自衛官が持っているような9mm弾使用のものを。


アイテムIDガチャは最近奮わない(なんか漫画とかゲームとかばっかり出る)し、こうなれば己の手で武器を探しに行くしかあるまい。


使い方はいくらでも教えられるしな。


さあ、まずは諏訪へ。


透のアドバイスから、ホームセンターを探索する……。




ホームセンターについた。


「誰だ?!」


おっと、なんかここを根城にしている避難民達がいるっぽいな。


ここは交渉で解決しようか。


「イヤ、俺は敵じゃない、人間だ。ただ作業服が欲しくて……」


「消えろ!」


いきなり鉄パイプで作った槍を投げつけられた。


よし、見せしめに何人か殺そう。


……いや、殺すと角が立つな。じゃあ、こうしようか。


俺は、レイジングブルを適当に乱射した。


「ひ、ひいいっ!」


「あいつ、銃を持っているぞ?!」


「うわあああっ!!!」


「クズ共が!死にたくなきゃ物資を寄越せ!」


これが正解だ。


クズ共に銃を突きつけながら、ホームセンターを物色。


やはり、食べられるものは食べ尽くしているらしく、何もない。


なので、肥料を何袋かと、女性用サイズの作業服を複数、ついでに備長炭や天幕などを手に入れた。


……ホームセンターの避難民達に援助?


バカ言ってんじゃねえ。


自分のことで精一杯な世の中だぞ。


いや、俺はかなり余裕があるが、それでも、手助けする義理はねえな。


顔がいい女や、男でも何かしら有用な技能を持っているのなら取引や援助をする余地もあるが……。


どんな理由があるにせよ、いきなり攻撃して来た奴らに対して援助なんてする訳がない。


この前のパーキングエリアの猟師達は、理性的だったから話をしたんだ。こんな奴らは、話す価値もないね。


感情的な判断だが、それが許される社会情勢なのだ。だからそうさせてもらうってだけの話だな。


しかし参ったな……、これじゃゾンビものの醍醐味もクソもないぞ。


……まあ、楽に越したことはない、か。




次は武器だな。


やはり拳銃……欲を言えばサブマシンガンなどが欲しい。


できれば、機動隊員の装備が良いな。


普通の警官はニューナンブなどの小口径リボルバーしか持っていないが、機動隊員はオートマチックピストルやサブマシンガン、ひょっとしたらショットガンなども持っているかもしれない。


あれ?最近はS&Wのサクラとかいうのに装備更新したんだっけ?そこまで詳しくないんだよな俺。


マトリ(麻薬取締部警官)の使っているベレッタとかあると非常に助かるが、流石にそんなもんがその辺に転がっていることはないだろうな。


平和な日本が仇となったな!ワハハ!


俺はとりあえず、その辺にある交番を襲撃する。


『うぼああ』


「おっ、ポリス・ゾンビ!しゃあっ!」


『うがっ』


警官のゾンビがいたので、メイスで叩き殺す。


そして、腰から銃を奪う。


あ、こいつ、弾がない。撃ちきったな?


だが、弾薬は作れるからOKだ。


.38スペシャル弾は材料がまだ揃えられないが、まあ、口径が9mmなんだし他の弾薬で代用しよう。


この弾倉だと多分リムレスの弾薬は撃てないか?まあ、ムーンクリップ使って無理やり撃つか。


説明するとまあ……、リボルバーで撃てない弾薬を引っ掛けるための穴空き鉄板みたいなもんを使って、無理矢理撃つよーって話。


規格外の弾薬を使うと銃の寿命が縮むんだが、その分、多数の警官ゾンビから銃本体そのものを複数調達できたから大丈夫だろう。


まあこの拾ったS&Wサクラ拳銃は練習用と割り切って、俺が材料を出せる9mmパラベラム弾をちゃんと使える自動拳銃を探すのが一番良いだろうな。


……いやどうだろう?マガジンが用意できんか?


マガジンってああ見えてかなり精密な作りのものだから、信頼性を重視してリボルバーの方がいいだろうか?


まあ、何でもかんでも、手に入れてから考えれば良いだろう。


まだまだトレーラーハウスにはスペースの余裕はあるからな。


さあ、早速鉄板を削る仕事を始めるか……。

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