コンソール×ゾンビ! 〜コンソールコマンドでゾンビアポカリプスを楽しみます〜
飴と無知@ハードオン
第1話 転移!転移失敗!転移!
「ごほん……、ここを通らんとする者は何者ぞ!名乗らぬ者を通すわけにはいかん!」
えっ何?
いきなりメガテン?
「……あーっと?」
「汝の名を名乗れ!」
「……鬼堂龍弥(きどうりゅうや)だが」
「城戸良也(きどりょうや)ならば、秘められし力あるはず!」
……よく分からんが、「チート一覧」と書かれた本を渡された。システマチックでちょっと嫌だなこれ。
そもそも、ここはどこでこの状況は何なんだ?
まあ、選べというなら選ぼう。
なんか貰えそうな雰囲気だしな。
貰えるものは病気以外はなんでも貰っておく。
これ、ギャルの鉄則。
えー……っとお?おっ、これいいじゃん。
「じゃあこの、『コンソールコマンド』で」
今年三十八歳になる俺は、そう言って開いたページを差し出した。
「はいどうぞ」
すると、目の前にいるスーツを着た女神っぽい人が、俺の眉間にスコンとびらびら紙のついた棒(お祓い棒ってやつか?)を突き立ててくる。
それは、あまりに早く、あまりにも虚をついた動きで、防げなかった。
柔道空手剣道四段の俺によくもまあ当ててくる。
やるな、女神……。
見た目は細っこい女の子なのに。
流石は神と言ったところか?
「あっ、では、魂にチートを転写しましたので、これから異世界転生ということに……」
「うっす」
と、秒で態度を変化させてきた女神に、なんかキラキラした白い扉に案内されそうになった時……。
「先輩!ちょっ、待って!待って!!!」
ファイルを抱えた、また別の後輩っぽい女神が現れた……。
「先輩!人違い!人違いです!」
「……え?ちょ、ちょっと待って?!城戸さん?!城戸良也さん?!!」
顔面からブワッと脂汗を流しながら、女神は、俺に問う。
ので、答える。
「鬼堂龍弥だ」
「……鬼堂、龍弥……?全然違う人じゃん?!??!!?!」
どうやら俺は、人違いでここに連れてこられたらしい。
「どうすんの?!今月三回目よ?!」
「知りませんよぉ……!死神のチェゥヤマァンヲェレナさんがまたやったんですから……!」
「あのボケジジイまたやったの?!なんでアイツクビにならないのよ?!!!」
「だってあの人、上級神のャンャマルョョルルダさんの甥だから……」
「また縁故採用?!!ウチの天界本当クソわよ!!!良い加減この身内で固める保守体質直さないと本当に終わるわよ?!!!そんなんだから、お隣の第487771546900501世界の天界から田舎世界ってバカにされてんのよ!!!」
「せ、先輩、抑えて抑えて……!」
「許せるもんですか!今日という今日は、上に直訴するわよ!!!神ッターにも神チューブにもぶちまけてやるんだから!!!」
「せんぱーい?!!!」
そんな話をした女神……いや女神かどうかは分からんがそれっぽい風貌の女二人が、この部屋のドアをくぐって出て行ってしまった。
その間、俺は完全に放置だ。
……そして、三十分待っても、人を呼んでも誰も来ないので、俺は俺で行動することとした。
ここはパッと見、完全に役所のカウンターと待合室なんだが……。
うーん、なんか違うんだよな。
直感だが、幻覚っぽい。
……いや、幻覚というかなんというか、これは俺のイメージというか……。
うーん、人は自分の見たいものを見て生きてるって言えば良いか?
目の前にあるものは、本物ではなく、俺が見たいと思っているイメージに過ぎない……という感覚だ。
気が触れているように思えるが、本当にそう感じるのだから仕方がない。
言ってしまえばアレだ。
夢を見ている感覚。
気合い入れて強く思い込めば、なんか変わりそう……みたいな?
とにかく、思考を変えてみよう。
帰りたいと強く願うと……。
『現世→』
と、こんな感じの看板がぴょこんと出てきて、うちの家のドアが出てきた。
なるほど、ここをくぐれば良いんだな。
よく分からんが帰ろう……。
「あーーーっ?!!!あの野郎!!!帰りやがったわね?!!!」
「うわあああ……!無理矢理帰られたから、処理がエラー落ちしまくって、世界が崩れちゃっ……たぁ!」
「品質管理の神呼んでェェェ!!!」
「いやもう、システムから切り離して独立させた方がいいのでは?!」
「並行世界化処理するの?!!誰がマネージャーやるのよ?!!」
「先輩がやってくださいよぉ!!!先輩にも責任あるでしょ!!!」
「ヤダーーーッ!!!マネージャーは信仰ポイント集まんないじゃん!!!」
「準一級神格なんだからもう要らないでしょ!!!」
「あーもう!アンタも手伝ってよ?!世界運営って意外と難しいんだからね?!」
「わ、分かりましたから……!うちの部署の天使も半分回すのでどうにか……」
「足りないわよ、このレベルの文明社会じゃ!あー!バグって変なの沸いてるし!文明保持が得意なのと、魔物運用が得意なの呼んで!」
「ヘルプで隣の部署のミコココヌココヌコヌさんとァァチザビヂムヌャンさん呼んできます!」
「はぁ……、この並行世界が滅ぶまで、二千億年残業よ……。めんどくさー……」
「ま、まあまあ、二千億年くらいなら、帰りに神居酒屋に寄って帰れるくらいじゃないですか?」
「そしたら、神電車の終電は確定だけどね?!」
—————————
ゴールデンウイークに暇しているみなさまのためにぃ〜、需要のないゾンビものを垂れ流すこととしました。
どうせみんな暇でしょ?読め。
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