新世界に生きる冒険者ども

れみまるロック

一の章 集うは英雄か化け物か

第1話 挿入歌

 べべんっ



 ここ、大江戸観衆一座にて、めくらの語り部が三味線を一つ鳴らす。たったそれだけでザワザワとしてた観衆が静まり、目をめくらに向ける。


 「これより語るは冒険者くらん"三千世界"の大一番、彼奴ら大陸の一つと力で渡り合ったとさ。それはそれは有史以来…いやさこの星始まって以来の疾風怒濤。すでに馳せた名をさらに轟かせそうろう。


独尊どもの首魁 "降三世 天夜叉"


斯く在りき "無二の守善騎士"


快刀乱麻 "大太刀姫"


冥府よりの使徒 "黒布の斧槍使い"


まつわる獣の賢者 "人心獣"


放たれる言霊 "ゴールデンマイク"


破壊の化身 "臆病なダウル"


暴かれし偽善 "撲殺聖女"


怒涛の参謀 "クリスタルカイザー"



さぁさぁ、どうね?この面子っ!!聴けば心踊るが観れば地獄の戦物語…


知る人も知らぬ人もどう思うかはまぁ…お聴きなせぇ」



べべんっ



 仕切りの一鳴らしの後、静寂が訪れ耳を傾ける観衆達のゴクリと喉を鳴らす音が響いた。



 めくらの語り部は思う。


 語るも畏るるが語らねば…後に障ったとしても。それが生きた証となるならば。

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