第57話 サラマンダー家族のランチを頂く
厳岩師匠と霧積くんと一緒に階段を上がる。
『モグ』はまたどこかに隠れていなさいよ。
また明日ね。
「きゅっきゅ~」
『モグ』が悲しそうな声を出しながら手を振ってくれた。
お利口さんだな。
階段を上がり、ロビーに出て、地獄門をくぐる。
カメラピクシーさんたちもここでお別れだね。
下界だあ。
やっぱり、迷宮と外では一度ぐらい違うよね。
夏なんかは避暑に使えそうだね。
ケインさんは先頭を歩いて、商業施設のエスカレーターに乗った。
「どこに行くんですか、ケインさん」
「サラマンダー家族に行こうではないか」
サラマンダー家族というのは、国道沿いとかにあるステーキやハンバーグのお店だね。
ちょっと小高いのだけれども、サラダバーとかがあって楽しいお店だ。
厳岩師匠とかは脂っこいけど大丈夫かな。
「ワシは肉も大丈夫ぞ、かかか」
「お元気なのは良いですね」
心配が顔に出ていたらしい、厳岩師匠にそう宣言されたよ。
四階まで上がって、サラマンダー家族に入る。
お、お得なランチプレートがあるね。
これにしようかな。
皆でお店に入って口々に注文をする。
みんなランチプレートが多いね。
「ヒデオ、ちゃんとステーキを頼んでも良いんだよ」
「いやあ、ランチだからね、ケインさん」
そういうケインさんもチーズハンバーグランチプレートであった。
お店にゴリラを二匹入れると大変なので、スマートなゴリ二郎だけを入れて、ゴリ太郎は廊下で待機である。
「太郎ちゃん可愛そうね」
ユカリちゃんがゴリ太郎の方を見て気の毒そうな表情を浮かべた。
「ゴリラたちはガタイが大きいからね、邪魔なのよ」
「電車とかの時はどうしてるの?」
「普通に入ってくるよ、混んでてもゴリラの近くにはあまり人が行かないので不自然に空間が空くんだよ」
「朝のラッシュの時とか大変!」
「まあ、そういう時間には乗らないけどね」
「それもそうね」
ユカリちゃんはうなずいた。
ランチプレートにはドリンクバーが付いていたので、コーラを貰ってきた。
サラダバーは付かないのだよね。
「厳岩師匠と霧積くんはマリエンのライブに行きますか?」
ケインさんが二人に聞いていた。
「俺は『Dリンクス』に切符をもらったから行きますよ」
「ワシはあまりのう」
「切符でしたら手配しますよ」
「あまり騒々しい楽団はのう」
まあ、厳岩師匠はお爺ちゃんだから、アイドルライブとかの楽しみ方が解らないのかもね。
「カスミさんとユカリちゃんは?」
「いくよう、切符貰った」
「私も見に行くよ、『サザンフルーツ』の晴れ舞台だし、やっぱみのりんのライブも見たいしね」
リーディングプロモーション所属のタレントだと、切符が貰えるっぽいね。
「メルカリとかのサイトでプレミアム付いて凄い額になってるんだよ」
「そんなに!」
「売り出し中の『Dリンクス』のみのりんと、全米のトップスターのマリア・カマチョのライブだしね」
やっぱり芸能興行って意外と大産業なんだね。
「午後はどうする、ヒデオさん?」
「どうしようか、カスミさん」
「『モグ』ちゃんも見たからねえ、もう今日は迷宮は良いかな?」
「そうね」
「僕も午後はレッスンだね」
ケインさんも修行は終わりか。
「君たちは仕事は無いのかい?」
「私は明日、テレビの収録ね」
「ああ、いいなあ、カスミちゃん、私は明後日に朝の番組に呼ばれてるぐらいだよ」
二人ともテレビの仕事があるっぽいね。
プレートランチが続々と運ばれて来た。
わあ、良い匂いで美味しそうだ。
カップスープにライスも付いているね。
「いただきます」
「いただきまーす、おいしそうっ」
「いただきますよ」
「では、遠慮なく頂きます」
「ありがとうな、ケインくん」
「いや、弟子の勤めですから、厳岩師匠」
皆で肉汁あふれるような熱々ハンバーグを食べる。
おいしいねっ。
さて、午後は皆をリーディングプロモーションの支社まで送り届けて、どうしようか。
アイドル狩りが無いと、わりと予定が空いてしまうのが難だね。
マリエンはまだ舞台の設置もまだだろうし。
街をうろついてもね。
レベルを上げて『
「だれかムカデ部屋を突破したい人は居ないかしらん」
「ああ、ヒデオさん、午後が暇だから? さすがにねえ」
「急に言われても、行こうってアイドルはいないだろうね」
「この前、十階越えたパーティーは大体ムカデ部屋突破したとおもうよ」
ああ、まだ十階のワーウルフを突破してないパーティーしか居ないのか。
十階までを護衛しても良いんだけど、俺は一度十階のフロアボスを倒してしまっているから、参加はできないんだよね。
護衛の仕事って、相手が必要だから、すれ違うと、わりと待ちになりがちなのよね。
困ったな。
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