第55話 ケインさんたちにも『モグ』をお披露目
というわけで、また迷宮の三階にやってきました。
虹の橋をたどって『モグ』を探すと、意外と近い所にいて大急ぎでやってきた。
「きゅきゅーっ!」
「「ぎゃああ、かわいいっ!!」」
「おお、これはなかなかだな、ヒデオ」
カスミさんとユカリちゃんは一撃で落ちた。
ケインさんへの感触もなかなかだね。
「テイムしたいテイムしたい、この子テイムしても良いですか」
「二重テイムとかどうなるんだろうか」
「どうなるんでしょうねえ」
ユカリちゃんが『モグ』を抱きかかえて放さんぞ、という勢いであるよ。
カスミちゃんも目を細めて、『モグ』をナデナデしているね。
ふよふよとそれぞれのカメラピクシーさんたちがやってきた。
無愛想ちゃん、こんにちは。
相変わらずムスッとしているね。
『ヒデオ、アイドル狩り、かと思ったら違うな、『モグ』のお披露目かあ』
『『モグ』は可愛いからな』
『せやせや』
リスナーさんたちもやってきたな。
「ユカリちゃん、脳の中に虹の橋を思い浮かべるんだ」
「え、えーとえーと」
『今日もヒデオのふんわりテイム教室だ』
『虹の橋ってなんやねんな』
ユカリちゃんの脳の中で、虹の橋が構築されていきそうだけど、最後の方で組み上がらない感じだなあ。
「む、むずかしいです」
「もうちょっとなんだけどなあ」
「私は私は」
「カスミさんはあまり才能無いみたいだよ」
「えーー」
「頭の中に、虹の橋? なんだろう……」
お、ケインさんができかけている。
意外な才能かもっ。
が、どうも最後で崩れて脳の外には出ない感じだなあ。
不思議だなあ。
「とりあえず、俺が『
「うーん『モグ』くん、私の家の子になりなさいよー」
「きゅーきゅー」
ちょっと嫌がっているねえ。
とりあえず、『モグ』を連れて厳岩師匠の居る所まで移動する。
今日もブルーシートに腰掛けて霧積君の素振りを見ているね。
「おはようございます、師匠」
「おお、来たなあ、ケイン。おおっ、カスミちゃんにユカリちゃん、こんにちは」
「こんにちは~、厳岩師匠~」
「おお、剣術の先生かな?」
「そうだよ、あの『Dリンクス』のタカシくんのお師匠さまでもあるんだ」
「「おおっ!」」
「ははは、タカシは人気者じゃな」
厳岩師匠がお茶を出してくれたので、カスミさん、ユカリちゃんと一緒に座って、お茶を飲みながらケインさんの修行を見る。
だんだんと、剣の振り方が上手くなってきているね。
「あー、ケインさんも真面目にやってるなあ、焦ってしまうなあ」
「焦っちゃだめだよ、カスミちゃん」
「そうだねえ」
そう言いながら二人はお茶をすすった。
元は同じ事務所に居たからか、仲が良いっぽいね。
『モグ』は、地面の中に潜ってあちこちから顔を出していた。
「可愛いいのう、ヒデオさんのペットかい?」
「従魔ですけどね、実験でテイムしたら出来ました」
「そうかそうか、魔獣の仲間とかは良いのう」
厳岩師匠は『モグ』を抱きかかえて、目を細めて言った。
のんびりした雰囲気が広がるね。
「迷宮の三階は良いわね」
「カスミさんは、十階越えてるんだっけ」
「越えてるわよー、ムカデ部屋も越えたし、二十階フロアボス前ぐらいまでね」
「私もオバケ階に行けるように、二十階は越えたいですね」
「二十階攻略の時は私も連れて行ってもらおうかなあ」
「そうですね、編成が合えば、山下さんに相談してみますよ」
「ありがとう、助かるわ」
霧積君が素振りの手を止めた。
「アイドルの人も、階数上げ無いといけないんですか」
「そうよー、で、パーティー組む相手とか探せなくて大変なのよ」
「アイドルさんと戦えるなら、すぐ集まりそうですけど」
「いやあ、やりたい人は一杯いるんだけど、ちゃんとした人はなかなかね」
「ファンは豹変するからコワイんですよー」
「そういう物ですか」
霧積くんはなんだか侍って感じで渋い戦士さんだね。
真面目な求道家っぽい感じがする。
ケインさんと霧積くんで組み稽古が始まった。
お互いに型を打ち合って技を覚える物っぽいね。
気合い一閃で相手に当たるすれすれで止める。
なかなか見応えがあるね。
霧積くんはなかなか技が綺麗だな。
「霧積くんはどこかパーティーに入ってるの?」
「入ってます『オーバーザレインボー』ですよ」
「「「おお」」」
「ゲッター高田くんの居る」
「池の水を全部抜く魔法を使う」
「なかなか有名パーティだなあ、惜しいなあ」
「高田君と一緒に護衛に来てよっ」
高田くんって誰?
「アイドルさんの護衛ですか、ちょっとリーダーの東海林と相談してみますよ」
「今、『オーバーザレインボー』はどこよ?」
「来週のライブの後の日曜日に、二十階予定ですよ」
「「おおっ!!」」
「ふむ、『オーバーザレインボー』と、アイドル組と、ヒデオで組んでもいいかもなあ」
「ライブの次の日かあ、『サザンフルーツ』は無理かなあ」
「あー、それはあるかもね」
それでも有力なパーティーが二十階を攻略するなら相乗りしても良いかもしれないな。
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