早口超能力

@matuboxl

第1話

 そもそもどうしてこんなことになっているのか。きっかけは俺自身もはっきりと覚えていない。ただ、心当たりがあるとすれば、カミナリに撃たれたような気がする。

 今日もいつもと変わらない放課後だと思っていた。チャイムが鳴り、生徒達が教室から出ていく。部活に向かう者、帰宅する者など様々だ。そんな中、俺は一人図書室へ向かう。そろそろ進路のことを考えなければいけない時期だ。恥ずかしい話だがあまり成績が良くないので、たまには勉強しないとまずいと図書室へ向かっている。図書室につくと荷物を置き、面白そうな本はないか物色する。おっといけない。今日は勉強をしに来ているのだった。さて、何の科目からはじめようか。

 すると、とある本が目に入った。『世界はこうして終わる⁉人類滅亡のシナリオ』なんとも惹かれるタイトルである。いや、いけない、いけない。テストも近い。しかし、世界が終わってしまってはテストも受けられない。

 気がつくとその本をもって席に戻っていた。結局いつも関係ない本を読んでしまう。要するに集中力がないのだ。こんな自分が嫌になる。そんなこと言いつつ、本は読むのだが。

 本には、氷河期、温暖化、AIの謀反、ありとあらゆる世界消滅のシナリオが細かく解説されている。読めば読むほど世界消滅が身近にあるような感じになり、見開きで描かれたにげ惑う人々には緊張感がある。なんだか不安になってきた。このまま世界は終わってしまうのか。

 でも待てよ。このまま終わってしまえば、テスト勉強する必要もないのか。それどころか受験からも開放される。悪いことばかりでもないな。

 まてまて、死んじゃったら元も子もないだろう。大学では、いろんな人と仲良くなるんだ。そんで彼女をつくって、あんなことやこんなこと、色々なことをするんだ。世界に終わってもらっては困るのだ。こんな本読んでいないで、勉強に励もう。

 すると突然大きなサイレンが聞こえ、体がびくつく。

「地震です。地震です。すぐに校庭に逃げてください」

 読んでる内容が内容なだけに、本を投げ捨て、全速力で校庭に向かう。外へ出てみるとサッカー部が普段と変わらず、練習をおこなっている。落ち着いて辺りを見回すと、サッカー部だけではなく、他の部活も練習をおこなっているし、下校している生徒もいる。避難はおろか、放送に気が付いている生徒もいないようだ。

 訓練だったのか?狐につままれた気分で首を傾げながら図書室へと戻る。本に手を伸ばすと、地面が揺れた気がした。今度は、本物か。いや電灯は揺れていない。でも確かに地面が盛り上がったような気はするんだよな。外の様子を確認すると今にも雨が降りそうな空模様をしている。

 まずい。今日は傘を持ってきていない。しょうがないので急遽予定を変更し、急ぎ足で図書室を出る。学校を後にし、駅へと急ぐ。タイミングよく電車に乗ることができ、雨が降る前に無事に最寄り駅につくことができた。このまま急いで自宅へと帰ろう。

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