第9話 瓜生中著 知識ゼロからの神社と祭り入門 5/5

今回は瓜生中著『知識ゼロからの神社と祭り入門』です。

幻冬舎の978-4344900424。

NDC分類では哲学>神社. 神職に分類しています。


1.読前印象

 知識ゼロからというのが一体どこからゼロなのか、そのスタート地点が気になるところ。

 神社というと明治維新前後の神仏分離令等によって盛大にガラガラポンが起こり、多くの神社でそれ以前の信仰とは大きく切り離されているという印象で、ゼロからというとそこからというイメージだ。

 神社というのは基本的には神道と後世言われるストーリーをベースとしているものの、江戸時代には政府からはわけのわからぬもの、淫祠邪教的なものも多くあり、でも別に淫祠邪教を実行していたわけではないから地域の信仰的基盤や学習的基盤として存在してきた、のが、明治初期に場所によってはもとの主神すらわからないレベルで大きな断絶が生じたはず。

 でもなんとなく瓜生中著だから普通に日本神話から紐解く主神の性質や関連する祭事の話なような気がする。

 さぁ、張り切って開いてみよう~。


2.目次と前書きチェック

 新しい神社参拝をする人たちのための本で、神社成立の歴史と参拝の仕方、建物についてや境内の見どころについて。それから主神についてとご利益とか参拝の仕方とか。この順番からしてなんとなく観光参拝のライトな感じで、お気軽に参拝するための本っぽい。

 そういえば僕もこの間伊勢神宮にいってできたての赤福を食べたのだ!


3.中身

 この構成だと特定の章だけ読んでもあんまり意味がない気がするから軽くざっと流してみよう。

 全体的に、初めて神社に参拝する人向けに書かれている本だ。神社などは小さい頃からフラッと立ち寄り境内で遊んだりする身近な場所でもある一方、真面目に神社としてお参りする機会って改めてないなと思う。現代の日本人にとって神社とは、初参りに彼女と一緒にいったり友人と年越しジャンプをする場所になっているわけで、真面目に神社にお参りをしようかと思ったときにこの本はわりとかゆいところに目が届き、気になりそうなことが押さえてあるのではないかと思います。結構網羅的。社殿の建築パターンとかあまり気にしたことがなかったな。一方で、神社に比較的詳しい(というのも変な話だけど)人にとっては新しい発見はあまりない本と思える。

 そういえば二礼二拍手一礼がルールっぽく言われているけど、あれが広まったのはごく最近なんだ。多くの神社でまことしやかに二礼二拍手一礼という説明書きがあるけれど、きっと多くの神社は特定の礼拝の仕方なんて定まっていなくて、色々聞かれて面倒くさいからそんな書き置きを始めたんじゃないかと愚行する。この習慣のベースも明治時代の国家神道で作法を定めた名残だったような気はするし。この本にも伊勢神宮や特定の神社によっては別の作法がある場所もあると記載されているので、神社で書いてあれば従うのが無難でしょう。

 とはいえ、例えば外国の人に神社に行ってどうしたらいいかといわれると、とりあえずそうしておけばなんとなく形になる程度の意味はある気はする。

 ゼロから始める本なので、文句は全くありません。むしろゼロから始めるにはかゆいところに手が届く本です。話の中で神社がライトに出る小説を描く時は、よさげなうんちくとして紛れ込ませるにはいいかもしれない。


4.結び

 さらっと流し読みできる読み口軽い本でした。ゼロから始まるわけだから重くても困るけど。記載内容は浅くとても広くで好き。調べたい人はそこからきっと独自に調べるのです。

 次回は寺田透著『万葉の女流歌人』です。

 編纂した大伴家持について少し書いて放置投げしているところですが、女流に限った視点は持っていなかったかも。

 ではまた明日! 多分!

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