聖なる星空のディペンデレ・ハイロゥ
アイズカノン
第1話 星空の元で
ある日の放課後。
僕【
「私、この空が好き……。雫の瞳の色みたいで……。」
そう告げるヒカリは、桜色の長い髪をたなびかせながら星空のような綺麗な瞳で僕を静かに見つめる。
顔の角度が若干とあるアニメ制作会社の代表的な表現みたいになってるけど……。
「ありがとう。僕は星空が好きだけどね。」
「えっ……?。」
「…………。」
答えは告げない。
もしも言葉で答えたらたぶん光は―。
そう……あの日からずっと……彼女は僕のことが病的に……狂気的に……僕のことを好きでのだから……。
(☆)
突然だが、転生はみんなご存知だろうか。
そう、貨物車に引かれて異世界行ったり、ゲームからの招待状、漫画や小説などのサブカルへ、とよくあるアレである。
なぜこんな話をしたかは単純明確で、僕がそうだからである。
起源も原因も不明だが、どうやら僕は転生したらしい……。
ただしなにかのショックで目覚めたという訳でもなく、心身の成長と共に自覚していったという状態であったが……。
そんな二度目の人生はごくごく普通の平凡な、前と変わらない日常の世界。
ただ一点違うとすればそれは、女の子であったといういわゆるTS転生というものだった。
という訳で普通に女の子として成長していった僕にできた新しい日常。
同い歳の女の子が幼馴染になった。
その子がヒカリであるのは言うまでもないが、この頃はまだ和気あいあいと仲良く過ごしていた……『あの日』までは。
(☆)
思い出すように昔の回想をするほどの時間が過ぎるとすっかり日は沈み、紫色の空は僕の髪の色と同じ黒く暗い青空になっていた。
雲ひとつない快晴な空。
夜光がなければきっと綺麗な天の川が見れたのだろう。
と、そんな余韻に浸ってると不意に背後からふにゅっと優しく抱きつかれた。
「そのままでいて……。」
ヒカリの音色が僕の耳を優しく撫でる。
優しいのに全身を逆撫でするような感覚が侵食してくるのはおそらく気のせいではないのだろう。
「…………。」
公園の電灯も全部灯ったはずなのに、重力に引かれたようにゆっくり時間が過ぎていく感覚が脳を焼く。
抱かれた温もりもあるのだろう……、僕を包むその腕を優しく握った。
「雫……。」
「なに?。」
「『今日も』お願い。」
「良いけど……、ここでやるの?……。」
「やるの。そういう『契約』でしょ。」
「はいはい。」
「『はい』は一回。」
「はい……。」
僕はヒカリの拘束を解いて、ゼロに近い至近距離で対面する。
僕よりも少し大きい身長が妙な緊張感を抱かせる。
「んっ……。」
僕はつま先を伸ばして、背伸びした姿勢でヒカリに口付け……つまりキスをした。
「んっ!?。」
右手で僕の頭を押さえつけて、左腕でしっかり腰をホールドするヒカリ。
執念深さを感じるじっくり具合。
おそらく今日たまたま他の子とのスキンシップしていたのをヤンデレストーカーの如く見てしまったのだろう……。
今日は『特に』濃厚だった。
「っ……、どう?。満足した?。」
「まだ不満……。」
「そう。」
「相変わらず冷たいね。」
「そうだろうか。」
「…………、そうだよ……。」
能天気に愚者のごとく僕はヒカリを突き放す。
そうしなければ、彼女は『また』壊れてしまうから……。
「帰ろっか。」
「…………、そうだね……。」
ヒカリは不機嫌そうに学生鞄を持って移動を始める。
僕のことを見向きもせずに。
(☆)
それから翌日。
僕はヒカリに
白雪姫のように……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます