アーテルシア王国の始まりと終わり
セレウスタリア大陸。
それがこの星であり、この世界の名である。
全部で7つの王国があり、それぞれの国の頭文字を取って、セレウスタリア大陸と呼ばれている。
ただ、つい最近まで、この世界の名は、セレウスタリ大陸だった。
星暦1700年前後、突如として、アーテルシアの街が設立される。
当初は小さな街だったが、徐々に功績を上げていき、その名は瞬く間に大陸全土へと広がって行く。
アーテルシアの街が誕生してからおよそ150年前後。
アーテルシアの街はアーテルシア王国へとその名を変え、ついに世界名にその名を刻んだ。
ほどんどの国は貴族主義を掲げていた。
その中で、実力主義を掲げ、正に実力で世界名にまでのし上がって来たのが、アーテルシア王国。
魔法の技術を用いて、街を発展させ、魔法の力で国を守る。
王国の直属学院を設立して、将来有望な魔術師を育成し、国の財力及び軍事力とする徹底ぶりだ。
当然、貴族主義の連中は面白くない。
それなりの妨害工作や嫌がらせがアーテルシア王国に向けられた。
だが、アーテルシア王国はこれを難なく解決してしまう。
そうこうしている内に、アーテルシア王国の魔法技術が国民の生活に『なくてはならない存在』にまで発展すると、他の国からの嫌がらせは徐々に少なくなっていった。
優秀な人材、優秀な技術、優秀な軍事力、優秀な国王。
アーテルシア王国は順風満帆かと思われた。
星暦2000年前後。
悪夢が起きた。
否、夢ではない。
アーテルシア王国の王都で暴動が起きる。
突如として現れた謎の病に、街中の人が感染し、大混乱となった。
その病に治療する手はなく、感染すれば、ほぼ即死する。
まるで死の魔法だ。
この未曾有の大惨事に他の国は当初、アーテルシア王国が極秘に開発していた死の魔法が、何らかの原因で外に漏れたのではないかと疑いを掛け、世界会議を開催した。
しかし、アーテルシア王国は、世界会議に出席する暇などなかった。
予想以上に病の拡がりは深刻で、自国にすら感染者が出てしまうかもしれない。
最終的に、その日の世界会議で出た結論は、全ての国間の渡航を閉鎖し、己の国は、己で守るという決断に至った。
星暦2002年前後。
アーテルシア王国、崩壊。
その崩壊は、他の国への影響も大きく、人々の生活レベルは一気に下がった。
これに、崩壊の拍車を掛けたのは貴族の傲慢さである。
彼らは貧困する街や村の事など構わず、贅の極みを続けていく。
生活が出来なくなった者達は、国を出て、宛もなく彷徨い、最終的に彼の地へと辿り着いて、あの病に感染していく。
国民が少なくなれば、国も発展はしない。
貴族がようやく重い腰をあげて、政策を変えようとするには、かなり遅過ぎた。
アーテルシア王国が崩壊して更に100年前後。
セレウスタリ大陸、ほとんど崩壊。
残った者は、ただただ終わりの日が来るのを、ゆっくりゆっくり、待つだけであったとさ。
めでたし、めでたし。
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