約束されたラブコメ

あんよ

第1話 不幸な約束

「じゃ、僕はこの辺で!」

 時計を見る。時間は8時20分。


「まだ・・間に合うか?急がないと」


 今から走って間に合うか微妙だけど・・・。高校始まってまだ一か月。悪印象をつけるには早すぎる。



 やがて見えてきた曲がり角。

 急いでいるというのに僕はぼんやりと、角から美少女が飛び出してきてくれないだろうかなんて淡い妄想をしながら角を曲がる。



 その時、時が止まった


 僕が足を踏み出したその時ちょうど、角の向こうからはローファーの先が見え

 そして次には柔らかい香りとそれを乗せて大きく揺れるまぶしいほどの銀髪。

 大きな瞳に高い鼻。


 そのどれもをしっかりととらえられるほどに、スローで時間が流れ・・・


「あ、あぶな――」

「ふんッ!!」

「ぐはぁ・・!!」


 急に伸びてきた右手が僕の腹を抉ると、僕の体は、宙を舞った。



 出会いの象徴の曲がり角。ラブコメなら定番のシチュエーションでの右ストレート



 それが僕、水樹紘みずきひろ茅有栖かやありすの出会いだった。


 ☆☆


 キンコーン、カンコーンと間抜けな音がなると一気に廊下に人が流れ出る。


 時刻はもう四限終わり。つまりは昼休みに入ったばかりということだ。その間何をしてたかって?外のゲーセンで適当に時間を・・・と行きたかったのだけど時代錯誤なゲーセンにたむろっていた不良にたかられそうになり全力で今の今まで逃げ回っていた。なぜ今日はこうもついてないのか・・・


 ようやく着いた自教室の扉を開ける。


「お、ひろ。えらく優雅な登校だな」

「うるさいよゆう!こっちの事情も知らずに!!」


 僕は自分の机にバァンとカバンを叩き付け、村田優むらたゆうをにらむ。


「だいぶ面倒なことに巻き込まれたことは見ればわかるが、お前のそれ《巻き込まれ体質力》は中学の時からずっとだろ?なら傾向と対策ができてないおまえのせいだろ」

「なんて横暴な!?」

「確かにヒロはそういうの多いわよね、昔から。はい、タオル」

「ゆ、柚季ゆずきまで!?」


 僕は立花柚季たちばなゆずきから差し出されたタオルで汗を拭きながら自分の体質に嫌悪する。中学からの付き合いの優と柚季はもう僕の身に起きる不幸を楽しんでいる風にすら思えるくらい、僕は不憫な目によく遭うのだ。

 まぁ、柚季のほうはこうやってタオルをくれたりと面倒見がよくて助かるのだけれど。優、おまえをどうしてやろうか・・・。呑気に欠伸などしよって


「ところでどうしてそんなにぼろぼろなの?大方その汗の量は強面集団に追い掛け回されたってとこなんだろうけど」

「・・・僕、たまに柚季が怖いよ」

「で、その擦り傷は何なんだ?そいつらのせいなのか?」


 やや苛立った口調の優。こいつは基本クズだが、義理堅さだとか人情の厚さ、みたいなものは人一倍あるのだ。

 もしここで僕が『いやー、今朝登校中に銀髪の子に殴られたんだよね、ウッケルーww』みたいに言うと、こいつは血眼になって”あの子”のことを探して殴るだろう。こいつはそういう人間だ


 ・・・よし!ここはウィットに富んだ感じで行こう。名前の知らないあの子のためにも!


「いや、これはね———」


 ガラリ、と後ろのほうで扉の開く音がした。


「———銀髪美人にぶってもらった勲章みたいなものだよ。僕からすればご褒—」


「おまっ、後ろ!!」

「へ?」


 振り返るとそこには、大きな目に高い鼻。高くから降り注ぐ陽を受け、まぶしく輝く銀髪が。

「あっ、さっきの——」



「こっの変態がぁあああぁぁああ——!!」



 本日二度目の右ストレートを受け、体が浮いた。その感覚が、昼休みで最後に感じたものだった。

 こうして僕は、無事今日の授業に一回も出席することはなかったのだった。


 ☆☆


「ったく、打撲傷なんてつけないでくれよ、うちの学校の風紀が乱れてるのかと思われちゃうだろ」

「すいません、お世話になりました先生!」


 なんで傷を負った(精神的にも)僕が誤らないといけないんだ!?

 けどそんなことどうでもいい。僕はより一層歩調を早める。

 あの僕を打った子は間違いない、今朝曲がり角から出てきた子だ。あの銀髪を見間違うハズがない。

 どうしてこんなところに?どうして僕を殴るの?あんな子うわさにも聞いたことない。なら転校生?この時期に?


 いろんな疑問を抱きながら僕は自分の教室に向かう。


 くそぅ、まだ腹が痛む


「あっ、ちょっと!そこの変態。とまりなさいよ!」

 

 でもなんだろ、昔からの体質のせいか変に痛みへの耐性があるのがまたこれなんというか・・・


「変態!ド変態!!スケベ!!」

 

 はぁ、このままじゃ僕の高校生活どうなっちゃうんだろうか。にしてもあの香は、なんだか落ち着くというか、懐かしい気持ちになるというか・・・。


「聞けっていってるのよ!!」

「———いッたい!?」


 急な後頭部の痛みに床を転げまわっていると、近くから声がする。


「どんだけ私を辱めれば気が済むのよアンタ。あんな言葉何回も叫ばすんじゃないわよ」

「へ?」


 見るとあの暴力銀髪少女がいら立ったように僕を見下ろしている。


 ・・・こ、こいつ!!


「なんでぶつんだよ!?一回はいいけど一日三回はこの僕だって初めてなんだぞ!?」

「な、なによ急に立ち上がって・・・気持ち悪いわね」

「はぁ!?」


 こいつ、人を殴った上に、気持ち悪いだと・・・?そこまで人に怒らない僕だけどさすがに今回ばっかりは耐えられない。


「気持ち悪いから殴るって発想が野蛮で原始的すぎるんだ!このすっとこどっこい!」

「しょうがないでしょ気持ち悪いんだから。朝だって角からあんたが急にでてきて抱きしめようとしたんだから正当防衛だし、昼のは転校してきたばっかの私にへんな噂ながそうとしてたからだし!」

「抱きつこうとなんてしてないし昼のは君のためを思ってのことだ!それに三回目はなんでなんだよ」


「え?反応しないからだけど?」


「ほら野蛮!!超野蛮だよ、君!?なにその”何がおかしいの”みたいな顔は!」


 だめだ。まったくもって話が通じない。この見た目だ、日本語がわからないのかもしれない。この髪色からして海外生まれの子なのかもしれない。

 僕は英語ができるわけではないけど、大事なのは思いを伝えたいという情熱だ。僕に敵意のないことさえ示せればもう理不尽な暴力はやめてくれるはず・・・!


「オー、ユーアーフレンド。マイフレンド。オーケー?」

「は?」


 あれっ、意外と伝わってない?英語圏の人じゃないのかな


「えっと、その・・・。ンンッ。ユーアーマイガールフレンド。おーけー?」


 ”女友達”を強調することで敵意のない意思を念押しする作戦!我ながらなんと素晴らしいことか!

 僕は自信ありげに伏せていた目をゆっくりと開ける。すると


「この・・・セクハラ野郎がーー!!」

「ちょ、なんで!?」


 まずい!このままじゃ四発目が・・!


「ちょっと待って!!」


 放課後の廊下に響く、優しく高い声。

 僕と暴力女は思わず身動きを止め、声のほうを見る。視線の先の階段の踊り場にいる少女はホッと胸をなでおろして、階段を下ってくる。

 やがて僕たちのところまで降りてきた少女に僕は混乱していた。いや、てんぱっていた。


「「花里はなざと・・・さん?」」

「はぁ、はぁ・・・。水樹くん、その子は茅有栖(かやありす)さん。今日転校してきたの。ね?」

「うっ、うん!」


 やけに聞き分けがいいな、この人。さっきの野生はどこへやら。まるで美人帰国子女だ


「水樹君、茅さんは日本語わかるから無理に英語話さなくていいからね?それと茅さん、そんな簡単に人殴ったらだめだよ」


 こらっ!といった感じで花里桜はなざとさくらさんに優しく注意された茅さんは子犬のようにシュンとしてごめんなさい、と呟く。

 人が違うじゃん!!この人!一発でもぶん殴ってやろうか・・・!


「水樹くんも、これで許してくれる?」


 ニコッと微笑む花里さん。


 か、かわいい!けど、こ、こんなんに惑わされないぞ、ぼ、僕は———!


「うん!全然っ許す!!」

「ありがと、やっぱり優しいね水樹君は」

「そそそ、それほどでも~」

「気持ち悪い」

「なにをぅ!?」


 そんな僕たちを見て花里さんはクスクスと笑う。


「二人とも、仲いいんだね」

「「仲良くない!!」」


 くそ!何でここで被るんだよ!!

 楽し気にまた笑う花里さん。その可愛らしい笑みが終わると、花里さんは


「じゃあ二人、ほら、仲直りの握手!」

「いやよ!こんな奴となんて!」

「えー、すっかり仲良しだと思ったのに・・・」


 しくしく、と聞こえてきそうな花里さんの様子に茅さんはおどおどと慌てて、程なくしてスッと俺のほうに手を伸ばしてくる。

 え、ほんとに?初対面の子と握手はちょっと気恥ずかしいというか・・でも、花里さんを悲しませることなんてできないし・・・。


 俺は悩んでから、茅さんのほうへ手を伸ばす


 しょうがない。今日だけは友好のために握手を———


「ふんッッ!!!」

「ツ、痛い!?」


 盛大に手のひらをたたかれた僕はジンジンとする手のひらをさする。

 この人、本気で手をぶってきたんだけど!?

 茅さんはそんな僕の様子を見てから、居心地悪げにクルリと身をひるがえすと恥ずかしそうに


「そ、それじゃ私はここで・・・」

「あ、うん!また明日ね、茅さん」


 そして、嬉しそうに満面の笑みで、手を振って向こうへと歩き出した。


 もちろん手を振ったのは花里さんに、だけど。



「うんうん、茅さんもすぐなじめそうでよかったよ」


 まあ確かにあの日本離れした容姿では逆に近寄りがたさもあるし孤立する可能性もあるのか。そこまで考えるなんて、やっぱり花里さんは優しいなぁ

 そんな風に僕が改めて花里さんの良さを再確認していると、花里さんは何やらモジモジとしている。


 なんだろう。トイレだろうか。そう思い花里さんのほうを見ると、目が合った。


「はい、これ」

「えっ、なんで花里さんがこれを?」


 焦ったような花里さんが差し出したそれは、まぎれもなく僕のカバンだった。 よく見ると、後ろの手に花里さん自身のカバンがあることを考えれば・・・


 もしかしてこれを僕に届けようと・・・!? なんて優しさ・・・


「こここ、これはね!先生からお願いされたんだ!水樹君が保健室にいるだろうからって」

「だ、だよね!そうに決まってるよね!アハハ・・・」


 あ、危ない。もしかしたら・・・なんて考えてしまった!

 うぅぅ、でも今日はこんなにも不幸があったんだ。少しくらい良いことがあっても・・・!


「あ、あのさ!」

「ん?」


 急な、こわばった花里さんの声に俺は首をかしげる。


 見ると花里さんの頬は、夕日に照らされて赤くなっていた。


「よかったら、なんだけどね?ほんとに無理しないでね?その・・・い、一緒に帰らない?」

「・・・・」


 え?なんて?今、花里さんはなんて言った?


 帰る?一緒に?僕と?


「あっ!ご、ごめん。やっぱり今のなしで——」

「帰る、帰ろう一緒に!」

「い、いいの?」

「もちろん!!」


 パぁと花里さんの顔色が明るく・・・ってな訳ない!僕の心情が反映されすぎたんだ。事実今の僕は心臓の音で外の音が全く聞き取れてないし


「そ、それじゃ行こっか」

「う、うん!」


 あぁ、なんていい日だろうか!ビバッ、高校生活!!


 そうして僕は好きな人と並んで校門を出た。けれど、楽しいときは一瞬で、家までの帰り道はアガッていたせいもあり何を話したかもあんまり覚えていない。


 ただ、胸の中には幸せが充満していたことだけは覚えている。


 気づけば僕は、もう家の前までついてしまっていた。途中で花里さんとわかれてからは、それまで我慢していた喜びで、顔がにやけていた。


「さぁて、宿題宿題!」


 好きな人と帰った後だからかやる気に満ち満ちてるぞ!!


 僕は親が仕事の都合でいないため一人暮らしをしている。なので僕はぽっけから取り出したカギを家の扉に差し込んで———


「ってあれ?空いてる・・・?」


 きぃぃと軽く空いた扉の先には、部屋の明かりがついている。

 あれ、戸締りのし忘れ?電気の消し忘れ?なんて思って僕は靴を静かに脱ぐ


「なんだこのおっきな靴」


 僕は見慣れない靴をみるとゆっくりとリビングのほうへ行く。ここに靴があるということは、父さんだろうか?とりあえず空き巣という線はなさそうだ。

 でも、なんだろう、この胸騒ぎ。だてにこの体質で生きてきてない。嫌な予感がする。

 扉を開ける。そこには食卓が。その席に一人、それはお父さんではなくて・・・




「おじいちゃん?どうしたのさ」

「おうヒロ!ずいぶん大きくなったなぁ、って年末にあったか!」


 がははと盛大に笑う鉄平てっぺいおじいちゃん。


 おじいちゃんは組んでいた腕をほどくと、妙に腕を膝の上に置いて僕の顔をまっすぐにみる。


「まぁ座れや」

「うん。・・・で、どうしたの?珍しく神妙な顔して」

「誰がアホずらじゃ!まぁ確かにアホ面とはよく言われるがな!これも血か、ヒロ!!」

「それどういうこと!?愛孫をあほずらだと思ってるってこと!?」


 誰のせいでこの顔だと思ってるんだ・・。

 おじいちゃんはまた真剣な顔になってつぶやいた。


「お前、今好きな子、いるか?」

「へっ!?」


 ななな、なに言いだすんだこの人は!?急に顔を出したかと思うと、ひ孫の心配しにきたのか!?


「い、いないけど・・・」


 くそぉ!ここではっきりと言えるくらいの度胸さえあれば花里さんともうちょっと先に行けてたりするのかも・・・。はあ

 僕が落ち込んでいると、対面に座るおじいちゃんは立ち上がっては盛大にガッツポーズをする。


「そうか!!それはいい!!お前にいい話があるんだ」

「いい話?」

「あぁ。おまえはこのままずっと灰色の人生を送りたいのか?」

「それは嫌だけど・・・」

「だよな?だからおじいちゃんプレゼントがあります!」


 嫌な予感!!


 ウキウキとしたおじいちゃんに、「プレゼント?」と聞き直すとおじいちゃんはずっしりと椅子に腰を下ろすと、僕の顔をじっくりとみていった。


「許嫁じゃ」


「え」

 い、い、な、ず、け・・・?

「えぇぇえええええええええぇぇぇ!?」


この人、今なんて!?この時代に、許嫁?

僕のパニックなんてお構いなしに、おじいちゃんは緊張が解けたように長く息を吐く。


「ふぅ、ようやく言えた」

「で、でもどうして今!?そんな大事な話ならもっと前から—— ってそういう話ではないか?もう、いったいどうなってんだ!?」

「いやぁ、まあ、無理な話だとは理解してる。だからこそわしらはお前たちが高校生になるまで待って、それまでに彼女ができたりしたら取りやめようと、向こうのおばあちゃんと話していたんだ」


 む、むこう?この言いぶりからしておじいちゃんの奥さんであるおばあちゃんとは違うっポイ・・・?


「でもなんだお前。この年までふらふらと、一人も彼女はおらんとは!そんなんでは男が廃る!!」

「うぐっ!!」


 さっきから耳が痛いんだけど、おじいちゃん・・・。


「そこでだ。元より昔から許嫁の話は相手方のおばあちゃんとしていてな。今日こうやってお前に打ち明けることにしたんじゃ」

「待って、まず色々疑問があるんだけど」


 まるで確定事項だといわんばかりにルンルンなおじいちゃんに静止をかける。


「まず、どうしてその家の子と付き合わないといけないの?」

「付き合うじゃないぞ?結婚だぞ?」

「いいから!そんな些細な差はいいから!!」

「そんなの簡単じゃよ。・・・そんなの、わしとむこうのおばあちゃんが互いを愛していたからさ!!」


 ・・・はぁ?この人孫の前で浮気を告白したのか??


「おっと、そんなクズをみるような顔をしないでくれよ。お前も知っとるだろうが、わしらの家は歴代資産があるじゃろ。そのせいでわしらの代で自由恋愛なんてできなくてな。その昔にわしと、そのお前の許嫁のおばあちゃんにあたる人は互いを好いていたんじゃ」


 いきなりの回想!?まぁ少し興味があるんだけど・・・


「けれどもちろん、そんな願いが叶えられるわけがなくてな。それはもう大人になったわしらには当然のことのように理解できていた。だから、と結ぶには余りにも傲慢だが、一つそこで約束をしたんじゃ。もし互いがそれぞれの行く先で幸せになったなら、ただ一人の親友として会おうと。そこで自慢の孫を見せ合おうとな。・・・今思うと、子ではなく孫といったのは、互いに願いながらもみたくなかったのかもしれないな。自分以外と好きな人が幸せになっているところを」


 遠くを見つめて静かに語るおじいちゃんの言葉は哀愁に満ちていて、僕の心臓まで痛むような気がした。


「って、見せ合うってことは僕はその許嫁の子とは会ったことあるの?」

「あぁ昔に何回もな。よく遊んでたじゃないか」

 覚えてないのか、と聞かれるが僕自身物覚えがいいほうでないせいか、これと言って思い当たる記憶はない。


「それに」

「?」


「その子はお前と同じ高校に通ってるぞ?」


「・・・え?」


 許嫁が、僕の学校にいる・・?

「で、でもおじいちゃん!事情は分かったけど、僕知らない人と結婚は嫌だけど・・・」


 そう、差し当たって問題はそこなのだ。今の僕には好きな人だっている。なのにいくら同じ高校の子はいえど、それだけで「はいわかりました」と結婚できるわけがない!


「なら知ればいいじゃないか」

「ならその子の名前教えてよ」

「ならん」


 意志硬そうに、おじいちゃんは続ける。


「大事なのは、お前がその人と自分の力で出会うことだ。自分の運命と行動力で出会い、仲を深めれば結婚にも前向きになるかもしれん。それに、婚約を破棄するには互いの孫からの反対が必要という条件になっているからな。婚約を受け入れるか破棄するかどちらにせよ、相手の子を探さんとダメだぞ。あ!結婚をしてくれるなら別に探さなくてもいいからな!!相手の子もえらいベッピンさんだしな!」


「別れるために許嫁を探すってだいぶややこしいなぁ」


 面倒なことになったぞ・・・。そもそも同い年なのか、年上なのかもわからないしなぁ・・・・

 僕はうーんと悩む。


「・・・まぁ、今のところはそういうことにしとくか」

「なんか言った?おじいちゃん」

「いーや、なんもいっとらんぞ!・・・おっピンポンの音だ。飯にしようヒロ、今日は豪勢にピザを配達してもらうようにしたからな!先のことなぞ考えすぎても毒じゃぞ!!」

「誰のせいだと思ってるんだよ!?食べるけどさぁ!!」


こうして僕の、不幸な高校生活は始まったのだった・・・。

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約束されたラブコメ あんよ @Chanokawa

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