大蛇伝説連続幼児殺人事件!!!
立花 優
序章 プロローグ
「軽く深呼吸をして、私の言葉を、心に刻み込みなさい」
「あなたは、今、急激に深い眠りに入っていっています」
「あなたは、今、自分を苦しめている、巨大な大蛇の幻影と戦っています」
と、ここは、K大学医学部付属病院精神神経科の一般病棟とは別棟にある、研究室の一室である。まだ若い精神科医が、フロイト博士の発案の「精神分析」を行うべくその導入のための催眠療法を施していた。
その療法とは、第二次世界大戦後、アメリカで開発された戦争神経症への有効な治療法とされる「催眠分析法」と言われる技法である。
その時である。
二十歳前後のうら若い女性、しかも、薄暗い診察台の中に浮かび上がった彼女の表情は、正に、この世のものとは言えない程の美しさをたたえていたが、その女性の状態が明らかに、急変し始めたのだ。
しかも、その女性は、全身に熱を持ち始めたのか、真っ白い顔色が、みるみるピンク色に紅潮し始めたのである。それとともに、先ほどの美しい表情は、苦悶の表情に変わり、それのみならず、「ああ、熱い、熱い」と叫びながら、TシャツとGパンを脱ぎ始めたではないか。
医学書にある「憑依性精神病」の典型的な症状ではないか?
「催眠分析法」の失敗だったか?若い医者は、先ほどの落ち着きを無くして、明らかに動揺していた。
そうこうしている間にも、彼女の苦悶の表情は激しさを増すとおともに、全身をくねらせて、更に下半身の下着をも全て脱いだ。全て丸見えだ!
全くの全裸状態である。
その時である。苦悶の表情にあえぐ女性の口から、突如、思いがけない言葉が発せられた。
「先生、先生の体自身で、私の体内に入っている蛇紙様を追い払って下さい!」
それは、別の言葉で言えば、明らかな性的な誘惑だった。
その若い医師は躊躇した。一体どうすれば良いのか?
しかし、彼女のこの蛇神様の憑依現象は、リピドー(性衝動)の変換による一種のヒステリー症状の一種では無いのか?
そう考えれば、ここで、彼女の希望に添ってやれれば、彼女の憑依性精神病は、一発で、完治するかもしれないのかも……。
そんな考えが、若い医師の頭の中に宿ったのかどうかは分からない。
しかし、その女性クライアントが最後の下着まで総てを脱いで、もだえ苦しんでいる様子を見ているうちに、若い医師も無意識の内に、ベルトをはずし、ズボンを脱ぎ、下着を脱いでいた。
そして多分、それからの行動は、彼自身でも多分理解しないままに、本能の赴くままに行動していったのである。
次の瞬間、診察室には、若い女性のあえぎ声が聞こえたのである。
体の下半身の中で熱く燃えたぎる体液の最後の一滴を、ドクンドクンと、放出した後、その若き医師は一人呟いた。
「ああ、私は、医師として超えてはならない一線を超えてしまった。
私は、単なる性的異常者なのだろうか?いや、そもそも異常と正常とは、一体、誰が決めるのだ。
これでも、医者なのか?単なる変態か?それとも?
だが、ああそれにしても、一体私は何をしてしまったんだ?」
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