ピュア
勝利だギューちゃん
第1話
「また会える?」
「君が、ピュアな心を忘れなければ、また会えるわ」
「本当に?」
「うん。じゃあおまじない」
目の前のお姉さんは、僕のほほにキスをしてくれた。
とても、温かい。
・・・パ」
?
「パパ、起きてパパ」
娘に起こされる。
夢か・・・
懐かしい夢を見た。
子供の頃、ぼくは男なのにお花畑で遊んでいた。
父の田舎の近くにあった。
そこで遊んでいた。
今は娘を連れてきている。
娘にもこの場所を見せてあげたかった。
「パパ、これ見て」
「これは、四葉のクローバー?」
「うん。ふたつも見つけた」
あの時も、四葉のクローバーを見つけた。
四葉のクローバーを頭の上にのせると妖精が見えるという。
あの時も、半信半疑で試してみたら、見事に見えた。
それが、あのお姉さんだ。
元気かな。
「なあ、四葉」
「何?パパ」
四葉とは娘の名前。
ここから取った。
「四葉のクローバーを頭の上にのせると、妖精が見えるんだよ」
「本当?」
「うん。試してみようか?」
「うん!」
娘は大はしゃぎで、頭の上にのせる。
僕ものせた。
まさかね。
そう思っていたのだが・・・
「久しぶりだね。また会えると信じてたよ」
「お姉さん?」
「すっかり、おじさんだね」
「お姉さんは、変わらないね」
「私は妖精だからね、その子は娘さん?」
娘は怯えているのか緊張しているのか、僕の後ろに隠れる。
「うん。娘の四葉」
「初めまして四葉ちゃん。お姉さんはエルフ。パパのお供だちよ」
「・・・妖精さん?」
「うん。ピュアな子にしか見えないけどね」
「四葉と遊んでくれる?」
「もちろん。そのために来たんだよ」
娘は明るくなる。
お姉さんと沢山遊んだのか、疲れて寝てしまった。
「君も元気なんだね。また会えて嬉しいよ」
「僕もだよ。でも小さい娘はともかく、どうして僕にも見えたのかな」
「不思議?」
「うん。もうおっさんだし」
あの頃はピュアだったが、今は汚れてしまった。
良くも悪くも、汚れてしまった。
「おまじない、したでしょ?」
「えっ?」
「あのおまじないは、生涯有効。現にこうして会えたでしょ?」
「うん」
お姉さんからしたら、当たり前の事だろう。
でも、当時の僕からしたら・・・
お姉さんは手を差し伸べる。
「じゃあ、行こうか」
「どこへ?」
「そろそろ戻らないとね」
そう。
今の僕には守るべきものがる。
いつまでも、いられない。
気が付いたら、僕はあのお花畑にいた。
となりには、娘の四葉が幸せそうに眠っている。
戻ろうか。
現実へ・・・
そして、守るべき世界へ!
ピュア 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます