第90話 日記20241001 脅迫

「月曜にシャントについて院長からお話があります」

 看護婦さんにそう言われた。


 シャントとは透析患者が腕に入れる血管バイパスのことで、静脈への血流を増大させて透析しやすくするためのものだ。

 年月が経ると詰まったりするので、二カ月に一回超音波でその形状を確認する。つい先日その検査を受けたばかりだ。

 何か問題があるのだろうか?

 不安な終末を過ごした。


 週開けての月曜日は院長先生の巡回の番だ。

 カルテを見ながら院長が一言。

「シャントも問題ないようですね」


 いやいやいやいや。どうしてあの看護婦、変な前振り入れるのよ。

 これ。いつもの超音波検査の後のセリフじゃないか。

 心配して損した。

 これでまた医療保険の手術給付が貰えるなと期待したのは秘密である。

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