夜な夜なふんどし姿の男たちが村人を連れ去っていきます ~異世界で山笠なる祭りに巻き込まれた私、男たちを取り仕切る「ごりょんさん」となって万年最下位チームを優勝へと導きます~

祝井愛出汰

第1話 消えた村人

最恐大森林さいきょうだいしんりん』なんていうおっかな~い名前で呼ばれる、ここグリゴアの森。


 そのど真ん中にポツンとあるちっちゃな集落、インジャ村。


 そんな年寄りだらけのインジャ村を取り仕切ってるのが私、パル=ワークスだ。


「う~~~~~ん」


 私は頭をぐるぐると悩ませ中。

 なぜなら。


 うちの村人の若手四人衆の一人、ゴンザレスが消えたから。


 困る。

 大いに困る。

 なんせ村には若者が四人しかいない。

 女の私はいろいろな段取りを決める係。

 で、その決めた段取りを実行するのが男衆の三人。


 その中で一番の力持ち。

 ゴンザレスが昨夜から消えてしまったのだ。


 よって今まさに作業が滞ってる真っ最中。


 ぐわ~!


 アホのゴンザレスめ~!


 どうせまたどっかに遊びに出かけてるんでしょ~!


 帰ってきたら絶対に怒鳴り散らしてやるんだから!


「おぉ~い、パルやぁ~い、この肥料を向こうに運んでくれんかね~」


「はいは~い! 今行きま~す!」


 仕方ない、今日は私がゴンザレスの分の力仕事をしよう。


 その代わり、帰ってきたらうんと絞ってやるんだから。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆



 次の日。


「はへ……? ギグも……消えた……?」


 男衆三人の中でゴンザレスの次に力持ち。

 ギグまで姿をくらましてしまった。


 しかも。

 また夜のうちに。


「ゴンザレスはふらっと出ていくこともあったけど、ギグはそんなことする子じゃなかったしねぇ……」


 村内会議こと「十老会議(と私が勝手に呼んでる。だっておじいちゃんおばあちゃんばかりだから)」で集まった「三賢人(と私が勝手に呼んでる。要するに井戸端会議の重鎮おばあちゃん三人衆)」の一人、ポノンばあちゃんが心配そうに漏らす。


「そうそう。ギグは出ていくなら書き置きの一つでも残していく子よ。それがないってことは……」


 三賢人のビチメばあちゃんが、そう相槌を打つ。


「……」


 あれ?

 そこで黙る感じ?

 なに? はっきり言えばいいじゃない。



「え~っと、ってことはってことなんですかね?」



 どよっ……。


 え、なにこの空気?

 みんなが言わないから私が言ったんですけど?


「な……なんて恐ろしいことを言うんだい! あ~やだ、ほんっとに恐ろしいよこの子は! こんなことだからあんたの両親も……」


 ドンッ!


 長老(ぷるぷる震えてるおじいちゃん)が杖を鳴らして三賢人の最後の一人、ブルデばあちゃんの言葉を遮る。



 そう、私は孤児みなしご


 正確には、私が小さい時に父と母は死んだ。


 原因は事故だって聞かされてる。


 それ以来、私は村に育ててもらった。


 だから私も恩返ししようと毎日村のために仕事を頑張ってる。


 つらく当たって来るのはこのブルデばあちゃんくらいのもの。


 他のみんなはよくしてくれてる。


 だから、この件も解決しないと。


 私が。


「あの、私に提案があるんですけど!」


「なんじゃい、パルちゃん?」


 長老が震えボイスで優しく聞き返す。


「はい! 私、残る一人の男衆モップの家に隠れて今夜も誘拐犯が来るのかどうかを突き止めたいと思います!」


 そう、これは私にしか出来ないこと。


 この村を。


 お世話になった村を守るんだ。


 私が。



 ────────────


 【あとがき】


 読んでいただいてありがとうございます!

 新連載です!

 本日5話、明日7話までアップします!

 ヘイト役登場→6話

 設定一通り説明終わり→7話

 です!

 ちょっとでも興味を持ったよって方!

 ぜひ『★★★』、ブクマ、『♡』をよろしくお願いします!

 では、2話も続けてお楽しみ下さい!

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