第9話 マルキ・ド・サド

 古本屋で興味本位に購入したものに、マルキィ・サド著『危険な戯れ』と言うのがあります。1950年代に出た好色本の類いでしょうね。

 古めかしい中途半端に卑猥な挿絵が多いのは楽しい?んですが、紙質が悪いせいで変色してしまって文字が読みにくい。文章自体も読みにくい。


 それで、澁澤龍彦氏が翻訳したサド作品を読み始めて・・・結局、サド作品に限らず澁澤龍彦文学へのめり込むことになりましたが。

 澁澤龍彦氏は『悪徳の栄え』の翻訳で、出版社社長と共に猥褻物頒布罪で最高裁まで争って、結果20万円の罰金。いわゆるサド裁判。


 澁澤龍彦氏の翻訳は抄訳本なのですが、完訳本として佐藤春夫氏によるものがあります。ただし、読むのはなかなか苦痛。w

 澁澤龍彦氏が『悪徳の栄え』や『美徳の不幸』を「機械みたいに同じパターンを繰り返す」と評してましたが、結末を知っていて「同じパターン」を繰り返し読むのは結構キツい。


 澁澤龍彦氏は、著作の中で「今の時代なら猥褻に相当しないかも知れない」との某裁判官の発言を「10年や20年で抜けるような毒じゃない!」と否定しました。完訳本の毒素はどうなんだろう?

 あんまり有毒には感じませんでした。

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