肥満禁止法

無雲律人

エピソード:0

「ひいっ! あぐ! い……いやっ! やめてっ!」


 女は恐怖の色を浮かべながら呻いている。


 女にのしかかる男は、女の拒絶を無下にし己の欲望を打ち付け続ける。


「あぐっ! うぎぃっ! やめてっ! やめてっ!」


 ──バチィッ!


 女の頬に容赦なく平手打ちが浴びせかけられる。女の鼻と口からは血が流れ出ている。


「うるせぇっ! 黙るかよがるかしやがれっ! いつも偉そうにしやがって! 俺をバカにしやがって!」


 男はなおも女に欲望をぶつけ続ける。


「ひいいっ! やめ……て……お願い……!」


 女の顔は恐怖と涙と血でぐしゃぐしゃになっている。その美しい面影はもはや残っていない。


「あああああっ!」


 男は女の中に欲望を吐き出すと、その体を一瞬離したが、すぐさま手元にあった大きな石を手に取り、「死ね!」と叫んで女の頭部に打ち付ける。


 ──ゴスンッ! グチャッ! ビシャァッ!


 男は力の限り女を殴打する。


 巨体の全力で殴りつけられた女の頭部は、いとも簡単に陥没し大量の血液を吐き出している。


 女は絶命した。その死に顔は恐怖で引き攣っている。


 男は女が息絶えた事を確認すると、露になっていた乳房にその狂暴な牙を突き立てた。


 ──ガブッ! グチャグチャッ! ビチイッ!


 男は女の乳房をうまそうに咀嚼すると、どんどんと飲み込んで行った。


「うめぇぇ。うめぇ肉だぜぇぇぇ」


 右も左の乳房も、男によって喰い荒らされて行く。


「人間の肉がこんなにうめぇもんだってよぅ。もっと早く知ってたら良かったのにな。くくく……」


 口の周りも着ていたシャツも血で真紅に染めながら、男はなおも女を喰う事を止めない。


「あいつらも、のうまさに気付いたか? くくっ……」


 両胸を食い散らかした男は、スクッと立ち上がると、「また寝ぐらに帰るか。あいつらに見付からないように」と呟くと、女の遺体に「ペッ」と唾を吐き出してその場を後にした。

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