第1話
新米天使はふわりと天の芝に降り立った。そこをサッと白いモノらに取り囲まれる。
バーッババーッボボバボボッボーッ!バーッ‼パーッ!!!
頭がかち割れんばかりの歓迎が四方八方から浴びせられる。流石は天使、角笛だ。不思議と耳は痛くない。そう、痛くない。痛くはないが頭がどえりゃあガンガンする。
新米天使は目を白黒させながら、え?えっ?あっえ?えっええ?え? とパニックを起こしている。
無理もない。周りの天使たちの頭がとても涼し気なのだ。荒れ野というレベルではない。例えるなら、荒れ野に除草剤を撒きましたがすごく頑固な草がちょびっと残ってますってな感じだ。除草剤の効き目には個人差があるようだが最低でも一本は残っている。ここまでないのならばいっそのこと全てない方がまだ良いのではないか。
無論、眉や睫毛は生えている。ただただ頭の毛がなく天の光を受けて輝いているのだ。天使は輝いているとの
「おーい、大丈夫かぁ?」
覗き込まれる、逆光で顔がわからない。眩しい。頭がくらくらする。
「あっあの、あなたがたこそ毛根が大切な脳を守ることを放棄していますが大丈夫ですか??」
あちゃー言っちまった。一言目からやっちまった。
「こいつ危ういかもしれんな」
ぼそっと何かを言い、すぅっと目を細める天使。え、何怖い。
「す、すみませんっ大変失礼なことを申しましたっお許し下さいっ」
自分に非がありそうで怖い時には平謝りが一番だ。うん。
「まっいいさ。気にすんな新米クン。」
にこって、にこって怖い。なんかめっさ怖い。
「そんなにビクビクすんなよ。とって食おうってんじゃないから。何かここについて説明することは~・・・ええ~~っとぉ? あ~特に無いわ。うん。そんじゃ解散!」
天使たちは ふぃ~おつかれ~、これからよろしくね~、なかよくしよーね などと声をかけて去って行く。新米天使はぽつんと残された。
とりあえず散策をしてみることにする。
辺りは
ふと空を見上げて驚いた。樹だ。透明な巨大樹が空を覆っている。いや、樹が空なのか? 見た感じでは空に太陽はないが明るい。この巨大樹が淡く発光している? 暖かい春の陽射しを思い出す。ぽかぽかとして気持ちが良い。なんだか安らかな気持ちになる。ずっとここに居たいという思いが芽生えてくる。
ここは天国なのだろうかとぼんやり考える―そこではたと気が付くあれだけ天使が居るならここは天国だろう。何故か皆さん涼し気な頭であったが。
しかし
ていうか絶対説明することあっただろ。今のこの状況とかここがどういう場所なのかとかあの人(?)たちの名前とかわからないんだけど。なんなら自分の名前さえわからないんですけど。
今こそ言える。今しか言えない。今が絶好のタイミングだ。
「ここはどこぉ⁉ 私は誰ぇ⁉」
よし。さて、どうしようか。
とりあえず手近な池へと近づき、自分の姿を確認する。
あらまあ。あらあらまあまあ。そこには純白の服を纏い背後に白い羽があるヒトのようなモノ‥‥
ズバリ天使ですね。そういえば降りるとき落下しなかったわ。なんならさっきの天使たちにこれからよろしく~ってな感じで仲間っぽくされてたわ。
ということはこの頭…フードを取ったら…
ぱさり
はいー。そうでしょうともそうだと思っていましたよ。でもほらね一縷のね望みをね抱いていたわけですよ。はい。確かによくよく考えてみればフードから覗く髪がなかったですね。なんなら視界に入る髪もなかったですね。
でも、でもですよ、国民的愛され海鮮家族の家長の頭の天辺の一本を抜いた髪型はないでしょうが。さっきの天使たちはちゃんと天辺に髪、生えてたよ?天辺にしか生えてなかったともいえるけど絶対あっちの方がいい。毛量自体はこっちの方が多いけども見た目が…
海鮮家族の家長さんすみません。でも耐えられない。お願い毛根さん私の大切な大っ切な脳を守って下さい。新居を探して路頭に迷っている毛根さんここ空いてますヨ~
もういいオレは国民的カラクリ青狸と同じ髪型になる。誰か剃刀寄越せ。
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