七つの街

@yuison

七つの街


「この国の外には七つの街がある」


じいちゃんは夜寝る前に必ず七つの街の話を聞かせてくれた。

その話をするときのじいちゃんは、よく遠くの方を見つめていた。


目を細めて額の皺が深く寄ったじいちゃんの顔。

何かを懐かしんでいるようで、どこか悲しそうに見えたあの表情を今でも覚えている。


村のみんなが王都に行くことに憧れるなか、俺は七つの街に心惹かれた。


絶えず燃え盛る街や入ったら二度と戻ってこられない街。

じいちゃんは色んな街のことを本当に見てきたみたいに教えてくれた。


普通の街より、そっちの方がおもしろいに決まっている。


同い年くらいの子供たちは俺の話す七つの街のことを、そんなものないと言ってからかった。でも、みんなが話す王都の話だって立ち寄る旅人から聞いたものばかりだ。


どちらも実際に見たことがないのだから、同じだと思った。

どっちに着いたときがワクワクするかだ。


いつか大きくなったらこの村を出て、七つの街を探しに行く。

そんな夢を持つようになった。


しかし、この村を出る日は思い描いていたよりも、ずっと早く訪れることになった。

ある事件のせいで……。


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