第9話 USLに行こう!
週末。
朝の光がゆっくりとリビングに柔らかく差し込む中、俺は静かに朝のニュースに目を通していた。
そんな穏やかな週末の朝、部屋に元気よく入ってきたのはあやめだ。
「おはよ~! 今日どこに行こうか~!」
彼女の明るい声に、俺は笑顔を返した。
「おはよう、あやめ。 今日はちょっといい所に行こうと思ってるんだ」
あやめの目が期待で輝き、興奮した様子で聞いてきた。
「えっ、どこどこ? すっごく楽しみ!」
「今日はUSL(ユニバーサルステーブルランド)に行こう。 イースターイベントが開催されていて、うさみみのヘッドバンドも売ってるらしいよ」
あやめの喜ぶ顔を想像しながら、俺はそっと告げた。彼女の反応はまさに期待通りで、あやめは目を輝かせて喜んだ。
「やったUSLだ! 超楽しそうだよ〜! うさみみバンド、絶対かわいいよね~♪ 」
俺は笑ってうなずいた。
「じゃあ、向かいながらどんなアトラクションで遊ぶか考えようか」
あやめはさらにワクワクした表情で、スマートフォンを操作する。
どうやら、USLのサイトをチェックしているようだ。
「わぁ! 今はコスプレイベントもあるんだって! 楽しそう!」
これだけ嬉しそうにしているのを見ると、計画してよかったと思う。
「でも、まずは朝ごはんを食べて、しっかり準備しようか」
あやめは元気よく頷いて、キッチンへと向かった。
「うん! 早く準備して、いっぱい楽しもうね!」
俺もうなずき、出発の準備を始めた。
☆☆☆☆☆
USL(ユニバーサルステーブルランド)の入り口に到着したとき、目の前に広がる華やかなイースターデコレーションに思わず息をのんだ。
うさぎとカラフルな卵があふれる光景は、春の訪れを祝うかのようだった。
あやめが隣で目を輝かせながら言った。
「わぁ、見てお兄ちゃん! 入り口からしてすごい飾りつけだね! うさぎさんと卵のデコレーションがいっぱいだよ!」
俺は少し微笑みながら彼女に同意した。
「本当だ、すごくカラフルで春らしいし、イースターって感じがしていいね」
あやめが興奮してさらに言葉を続けた。
「これは、写真撮らなきゃ! お兄ちゃん、あの大きなイースターエッグの前で写真撮って!」
普段は大きな地球のオブジェが飾られている場所には、代わりのイースターエッグが飾られていた。
どうやら、オブジェを取り換えた訳では無く、オブジェの上から加工しているようだ。
「いいよ、こっち向いて。 はい、チーズ!」
カメラを構え、あやめの満足そうな笑顔をカメラに収めた。
次に彼女が提案したのは当然のことながらショッピングだった。
「まずはうさみみバンド買お!」
あやめが「うさみみ~うさみみ〜♪」と歌いながら前を歩く。
楽しそうで何よりだ。
その後すぐにヘッドバンドを販売している場所を見つけた。
「あ、見てあれ! うさみみバンドあったよ!」
あやめは迷っている様子でピンクと白のヘッドバンドを手に取った。
「ピンクがいいかな? それとも白?」
俺は考え、彼女の茶髪を想像しながら提案した。
「白がいいと思うよ。 あやめの茶髪に映えるからね」
彼女は嬉しそうに頷いた。
「うん、そうする! ありがとう、お兄ちゃん。 これ、すっごくかわいい!」
彼女のその笑顔だけでも、この日の準備が報われた気がした。
「似合ってるよ。 さあ、次はどこに行く?」
「まずはメリーゴーランドに乗りたいな! あれって、いつ見ても夢があるよね~」
「そうだな」
☆☆☆☆☆
メリーゴーランドの前に立ち、周囲を包む音楽がまるで童話から抜け出したような場面を演出していた。色とりどりの馬が回転し、そのきらびやかな装飾が陽光を反射して煌めいていた。
あやめはその中でも特に目を引く一頭の馬を指差しながら、目を輝かせて言った。
「あの馬、乗りたい! 真っ白で金色のたてがみがきれい!」
俺もその隣の馬にまたがり、冷静に彼女を落ち着かせながら言った。
「はいはい、落ちないように気をつけろよ。 じゃあ、俺はこっちの象に乗ろうかな」
メリーゴーランドがゆっくりと動き出し、あやめの笑顔はさらに輝きを増した。
あやめの無邪気な笑顔を眺めていると、自分も昔のわくわくした気持ちを思い出していた。
「こんな日がずっと続けばいいのにな」
俺が話しかけると、あやめはニコッと笑いながら答えた。
「そうだね~ でも‥この瞬間が特別だから幸せなんじゃないかな」
その言葉が俺の心に深く響く。
確かに、この瞬間は二度と訪れない。だからこそ、今を大切にしないといけないと改めて思った。
やがてメリーゴーランドがゆっくりと停止し、俺たちは次のアトラクションを探しながら足を進めた。
あやめと話しながら周囲を見渡していると、どこかで見たことのある人影が目に留まった。
その瞬間、心臓がドクンと激しく脈打った。
(まさか!‥ いや、ここにいても別におかしくないけど‥‥)
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