第25話 戦略会議

ニュートラリアの大聖堂の戦略会議室に、緊張の空気が漂っていた。

アリーシャとナオルは、巨大な戦略マップの前に立ち、これからの戦略を確認していた。

外は雨が降り、窓ガラスを激しく打つ雨音が、二人の緊張感をさらに高めていた。


ルナの戦闘力はドラゴニア国王を倒してしまうほどだ

戦力を小出しにしては勝ち目は低いだろう。

「改善する者」でアリーシャを最大限に強化して短期決戦に持ち込むことが重要だ。


「アリーシャ、スキル「改善する者」の効果は非常に強力だけれど、1時間の制限がある。

それを念頭に置いて戦略を練らなければならない」とナオルが静かに言った。

彼の声は落ち着いていたが、その眼差しは真剣そのものであった。


アリーシャは頷き、深呼吸をして心を落ち着かせた。

「わかっているわ。この一時間で全てを決める必要がある。ルナのスキルは未知数だけれど…。」


ナオルはマップ上の特定の点を指し示しながら、戦術の提案を始めた。

「初動で圧倒することが鍵だ。スキルの発動直後に最大限の力を発揮して、ルナを追い詰める。彼女がどのような反応を示すかによって、次の動きを考える。」


アリーシャはその計画を熟考し、自らの戦闘スタイルと照らし合わせながら検討を重ねた。

「それには、私の魔力を最初から全力で使う必要があるわね。それでルナがどう出るか…」


「正確には、ルナのスキルが防御的なのか、攻撃的なのかもわからない。だから、彼女の最初の動きを見極めることが重要だ。それに応じて戦術を変える柔軟性も持たないと」とナオルが付け加えた。


戦略会議が進む中、二人はさまざまなシナリオを想定し、それぞれの対策を練り上げた。

アリーシャのスキル効果時間内に勝負がつくよう、細かな調整を重ねた。


そして、一騎打ちの前夜、アリーシャはナオルと共に心理的な準備も行った。

彼女は瞑想を通じて心を落ち着かせ、ナオルは彼女の精神的なサポートを怠らなかった。


「ナオルさん、今日はは歴史が変わる日です。ドラゴニアのため、ナオルさんのためにも勝ちます。」


最終的な確認が終わり、戦略が固まると、アリーシャは戦闘に向けて身を清め、装備を整えた。

ナオルは彼女に向かって最後の激励の言葉を投げかけた。

「君の力を信じている。ドラゴニアの未来を、君の手に委ねる。」


戦略会議室を後にしたアリーシャの足取りは堅かった。

彼女は自国の誇りを背負い、そして全世界が見守る中、歴史を塗り替える戦いに臨む準備ができていた。

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