第18話 中立都市ニュートラリア

1週間後、俺は中立都市ニュートラリアに向かっていた。


本来なら馬車で1ヶ月かかる道のりなのだが


デイサービスでリハビリしたドラゴン達がどうしてもと言うものだから


ドラゴン達に乗せてもらっている




自分がリハビリした相手に乗せてもらうなんて


日本じゃ絶対にできないことだな




高齢者におんぶするなんて


完全にヤバいやつだもんな




「アリーシャ、ニュートラリアってどんな場所なんだ?」




一緒に乗っているアリーシャに聞いてみる。


一緒じゃなくても良いって言ったのだが


「ナオルさんは私が命に変えても守りますからっ!」の一点張りで


強引に二人乗り状態になってしまった。






「はい、ニュートラリア、別名「中立都市」」


「この世界は基本的に単一の種族が一つの国家を作っています。」




「確かに、ドラゴン族のドラゴニア、エルフ族のエルフィリア、人間族のリスト公国だっけ?」




「そうです。その他の種族も合わせると大国は10程度あるんです。」


「その中でも、ニュートラリアは特殊な国で」




「どの点が特殊なんだ?」




「ニュートラリアはこの世界唯一の多民族国家なんです。」




「この世界で多民族国家が維持できるのか?」




こんな地球でいう「中世ヨーロッパ」みたいな文化レベルで


多くの価値観を持った種族が共同で暮らすなんて想像できない。




俺が元いた


令和の地球だって、世界各地で戦争があったのに。




「はい、ニュートラリアは永世中立都市国家なんです」




永世中立って、なんかスイスみたいな国だな。




「ニュートラリアは戦争を嫌うものなら快く自国民として受け入れているんです。」




平和を愛する心に種族の差があるはずないって感じだな


なんか理想の物語のお話を聞いているようだ。




「そして、他国に戦争を仕掛けない国としての地位を200年維持しているんです。」




「なるほど、でもなんで今回の和平交渉の場所がニュートラリアなんだ?」


「ドラゴニアとエルフィリアに関係ないんじゃないか?」




「ニュートラリアは世界各国と戦争を行わない代わりに、戦争の講話の仲裁役を行う役割があるんです」


「永世中立国なら不公平な判断を行わないとの信頼からこの役割を150年になっているんですよ」




なるほど、地球でいう「国際連合」みたいなイメージかな?


アリーシャから簡単な説明を受けていると


目の前に大きな山脈が見えてきた。




表面は綺麗な純白の雪に覆われた大きな山々だ。


「綺麗だな」




俺は思わず口に出してしまった。




「えっ?こんなところで?」


アリーシャが頬を赤くして、そっぽを向いている。




「ああ、あの山の白さを見てたら思わず口に出でしまった。」




「…ああ、山ですか…」


「そうですよね…」




アリーシャは悲しい目をしながら山を見ていた。




「あの山を越えるのは流石に大変なんじゃないのか?」




「??、別に超えませんよ?」


「あの中に突入するんですから」

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