第25話
「えーと、その。そちらの女の子は?」
戸惑いがちに私のことをおじいちゃんに聞く人。
「この嬢ちゃんこそ、俺が一緒に連れて行きたい子だ!」
「「えっ?!」」
「閣下のご冗談……と言う訳ではなさそうですね?」
「閣下が言うなら実力もあるはず……?」
「おとっ! じゃない?! こほんっ。可愛いですね! 閣下のお墨付きの実力が楽しみです!!」
ちょっぴり戸惑った感じで更におじいちゃんに私のことを聞いてくる。そうだよね、これからやっと暴走魔野菜を倒しに行くのに、何故か私のいる所に来たし、私も連れて行くってね! 私も驚いたから他の人は私よりも驚いたんじゃないかな?
おじいちゃんが言うなら問題ないなって言っている感じからすると、やっぱりおじいちゃんはとても凄い人なんだと思う。
それにしても実力って……。私なんて大した実力じゃないと思うんだけれど。相棒は最凶だと思うけれど。手に馴染んで飛びやすく最高の相棒です! みんなが来る前にちゃんとメンテナンスはしましたよ? バッチリです! ロバートさんには変な目で見られたけれど。失礼な人だなぁ〜!
可愛いって言ってくれたのは素直に嬉しいな。騎士さんだから女の子に優しいのかな? 騎士に対する私の勝手なイメージだけれど。
「さて、嬢ちゃん。これから暴走魔野菜を倒しに行くが、俺たちに着いてくるか? ここに残っていても良いんだぞ?」
「何を言っているのおじいちゃん! ちゃんと準備もしたんだから、一緒に行くに決まっているでしょう! 後、おじいちゃんと離れたくないのが本音かなぁ……?」
ちょっぴり最後の本音に自分で照れてしまい、人差し指同士を合わせてツンツンする。
初めて暴走魔野菜を倒した時は、頭が働いていない感じでまともな精神状態で戦っていなかった様に思う。だって、急に知らない所にいたんだもん。
でも、今は自分の意思で倒しに行こうと思った。暴走魔野菜を倒せるのは私の実力じゃなくて、最凶の相棒のおかげだと思うし、怖くないと言ったら嘘になるけれど、困っている町の人たちを助けたい。
けれどやっぱり、この世界に急に来て怖いからおじいちゃんとは離れたくない! 一緒で良かったぁ〜っ! 何だろう、初めてここの世界で会った人がおじいちゃんだから? おじいちゃんが良い人なのもあって、勝手に私の守ってくれて安心できる保護者の様な人だと思っちゃう。 おじいちゃん呼びなのもあって余計にね!
「そうかそうか! 安心しろ、俺もライリーも一緒だからな。心配することなんて何もない、一緒に殲滅しに行こう!」
「うん! そうだね。おじいちゃんもライリーもいるし、騎士さんたちもいるもんね! 安心して倒せそうだよ〜っ!」
「良かった良かった。それじゃあ、行くか?」
「行こう! おじいちゃん、ライリーと騎士の人たち!」
悩む必要も怖いことなど何もない。さあ、いざ町中へ!
「「待て待て待て!!」」
行こうとしたら止められた。
「何だアントン、エルンスト。俺たちが良い気分で暴走魔野菜を殲滅しに行こうというのに」
気持ちが同じだった私もふたりのことをジト目で見る。本当に良い感じで行くぞ! って気分だったのに……。
異世界転移しちゃった? エミリー @onemuna-usagi
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