第7話 TSっ娘と事後

俺は今猛烈に心臓がバクバクしている。昨日のことがあったからだ。どんな顔して会えばいいんだろうか。そんなことを考えていると、件の城崎が家から出てきた。

「おはよー...まだねむい...」

「お...おはよう...城崎」

少し挙動不審ながらもいつも通りに挨拶をした。

「っていうか御陵聞いてよ!」

と言いながらズンズンとこちらに進んでくる。その足は俺の1歩手前で止まった。

「今日...Gが出たんだ...5匹も!おばあちゃんと一緒に駆除してソッコーバルサン炊いたよ...」

「そ...それは大変だったな...」

意外と気にしなくてもいいのかもしれない。だって城崎はいつもと変わらないんだから。ただ、俺はそこに少し寂しさを感じてしまった。


学校で


「城崎くーん!移動授業行こー!」

「うん分かったー!」

城崎が友達に呼ばれて行こうとしている。このシーンだけで絵になるなんて城崎以外に居るだろうか。

「ええっと...僕の筆箱と教科書...」

そのとき、城崎がカバンから今日渡したポーチを取り出す。城崎はそのポーチを胸元できゅうっと抱き締めた。それを見て耐えられる者はいないだろう。「御陵〜?どしたん?」

鷺崎が俺に問いかけてくる。

「な...なんでもない...」

俺は小刻みに震えて顔を赤らめた。


放課後


「だから〜ここはこういう意味じゃなくて〜ここはxとyの式が逆になってるから直して〜」

「あーそういう意味か、完全に理解した」

俺と城崎は今2人で放課後勉強会を教室でしている。なぜこのようなことになったかと言うと...


数時間前


「やばい...数学がやばい...」

「どしたのそんな絶望的な顔して」

「今回の数学の小テストの点数が低すぎて」

「え〜?御陵のことだから大したこと...あ...うん...勉強...教えてあげようか...?」

「...頼む」


こんなことがあって勉強会を開催しているのである。

「2人して放課後に勉強って偉いね〜!」

「「誰?!」」

突然声が聞こえて2人で驚いてしまった。

「あ...早瀬か」

「やほー!」

相変わらず元気なやつだな。こいつは午後になっても元気が有り余っている。くれよ。その体力。

「早瀬さんなんでここにいるの?」

城崎が聞く。そうすると早瀬が元気な声で言う。

「城崎ちゃんを勧誘しに来た!!」

「「え?!」」

この学校には狂ったやつしかいないのか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る