木乃伊とは名ばかりの骨に干からびた皮がまとわりついているような、削ぎ落とされすぎた世界に暴力だけが追いてある。永遠の終末のような世界に終わりの予感をもたらすのは『妊婦の暴力』。英雄コナン(探偵ではない)の短編を、設定など何も知らずに初めて読んだ時のような感覚になれる小説だ。