箱庭大陸

迷島めい

禁書


 燃え盛る火の中へ書物が投げ込まれる。

「やめろ、やめんか!! 何故だ」

 老人の悲痛な声が響き渡る。

「愚にもつかん書物は堕落の元凶。全て焼けと陛下は仰せだ」

 呆然とした。書が炎へ投げ込まれていく。次々と燃えていく。ああ、偉大なる先人達よ。どうか力を貸してくれ。言葉の力で世界を作る貴方達よ。怒りに震えながら隠していた魔法の小杖を握り締める。兵士の一人が一冊手に取り、

「くだらん紙束だ」

 許すわけにはいかなかった。

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