第8話 鑑定で魔王か判断します
魔王ドラヴァインの正体を知りオリビアは少し時間が経っても驚愕していたのである。
「なぜ‥‥‥魔王ドラヴァインと一緒にいるの‥‥‥ダイスケさん説明してもらえますか!?」
「いや‥‥‥この方は魔王ドラヴァインにあこがれて自称しているだけです。ドラヴァインじゃないですよ。」
俺は目の前にいるのは魔王ドラヴァインじゃないと嘘をついた。
「何をいう。わしは魔王ドラヴァイン本人じゃ。証拠を見せてやろうか!!」
すると、魔王ドラヴァインの手から巨大な魔力が集められていた。
「う‥‥‥うわ。よしてください。そんなもの放ったらこの辺り一帯更地になりますよ」
「ドラヴァインさん‥‥‥私には鑑定能力があります。あなたが着ている物を鑑定すれば魔王かどうか判断できます。だから‥‥‥魔力を抑えてください」
「ほうお前、鑑定能力があるのか。では、証拠を見せるのはやめとくか」
巨大な魔力をひっこめたのであった。ひとまず一安心。
「じゃあ、鑑定してもらおうか」
「わかりました。鑑定を行います。”アプレイゾ”」
オリビアが”アプレイゾ”と唱えると、彼女の目玉に一つの輪のようなものができていたのである。
そして、オリビアは鑑定に集中し、少し時間が経った。
そして、少しして鑑定が終わったのだろうかオリビアは口を開いた。
「魔王ドラヴァインさん‥‥‥あなたの着ている服の鑑定が終わりました」
「ほうそれでわしの服にはどのような性能があるのだ」
「はい‥‥‥ドラヴァインさんの服には攻撃力や防御力の大幅な上昇、伸縮、全属性の態勢機能が備わっています。さらに、復元能力まであります。これほどの性能が備わった服を見たことがありません。これ程の服を着ている人は魔王ぐらいでしょう‥‥‥」
「では服の性能からわしの正体は何だと思う!?」
「魔王‥‥‥でしょうか」
そしてオリビアはその発言の後、視線を俺の方に向けたのである。
「いや‥‥‥これは‥‥‥なんというか‥‥‥偶然遭遇したというか‥‥‥!」
視線を向けられた俺は誤魔化していった。まあ、嘘はついてはいないし‥‥‥。
「何をいうておるのじゃ。お前がわしを召喚したのであろう。ちゃんと正確に伝えぬか。」
うわ、余計なことを‥‥‥!!
「召喚‥‥‥どういうことですか‥‥‥偶然出会ったのではないんですか‥‥‥!?」
「い、いや‥‥‥実は‥‥‥先ほど魔物を倒したじゃないですか、オリビアさんはその後気絶しましたが、その際に何やら魔法陣が発生して魔王が召喚されたんですよ。」
しどろもどろになりながら俺は嘘を吐いた。
「おい、嘘をつくんじゃない。わしはお前の変な能力によって召喚されたのじゃぞ。たしかガチャポンとかいう変な召喚道具によってな。」
相変わらずドラヴァインは余計なことを‥‥‥!!
それよりドラヴァインの話を聞いたオリビアの反応が‥‥‥。
「ダイスケさん‥‥‥嘘をついたのですか!? 召喚道具の能力を所持しているのですか!? 正直に答えてください。」
もう誤魔化し通すのが難しいと判断した俺は正直に答えることにしたのである。
「はい、この方は私の召喚道具の能力によって召喚しました。でもまさか‥‥‥魔王を召喚するとは思わず‥‥‥」
「まさか、ダイスケさんが召喚能力を所持していたなんて‥‥‥でも意図しないで魔王を召喚したというのは本当なんですか!? 意図して召喚したのでは!?」
俺がずっと誤魔化してばかりだから今回いったことも信用してもらえてないぞ。
「その点はダイスケの言う通りじゃ。先ほど召喚道具と話をしたが、この者は本当にわしを意図して召喚しようとはしてはおらんかった。恐らく召喚できる種族がランダムなのじゃろう。」
ま、まあ、ガチャポンは召喚道具じゃないのだが‥‥‥だけど詳細については俺も把握していないので何とも言えない点ではあるのだがな。
「つまり意図してはいないけど魔王を能力によって召喚したということですか!?」
「はい、その通りです。」
すると、オリビアが焦燥した顔で俺に近づき耳元でささやいた。
「どうするんですか。魔王なんて召喚して‥‥‥なにか不注意を働いたらころされてしまいますよ。」
俺も小声でオリビアさんに言った。
「その点はご安心ください。どうやら召喚された時に従属の刻印が施されたようです。ですので、俺達には攻撃できませんよ。」
「そう、それなら一安心‥‥‥ちょ、ちょっと待ってください‥‥‥従属の刻印‥‥‥まさかやらしい目的で召喚したのですか‥‥‥」
どうやらへんな誤解をされてしまっているぞ。
「い、いえ‥‥‥そんな目的で召喚してはおりませんよ。おそらく魔王があまりにも強いので召喚した俺が殺されないように従属の刻印が施されたのではないでしょうか!?」
「なるほど。たしかにダイスケさんと魔王では戦力差がありすぐますもんね。納得しました。」
どうやら納得してくれたようだ。よかった、よかった。
「ところで、これから魔王さんをどうするのですか」
「そ、そうですね。恐らく離れることはできないでしょうし、同行することになるんじゃ‥‥‥」
「そ‥‥‥そんないくら従属の刻印が施されているとはいえ、魔王と同行するなんていやですよ」
「で‥‥‥でもしょうがないじゃないですか。離れることはできないんですから」
「むう。わ‥‥‥わかりました。しかし、責任をもって魔王ドラヴァインさんを取り扱ってくださいね。」
「は‥‥‥はあ、わかりました。」
オリビアさんは魔王ドラヴァインと同行するのをしぶしぶ認めてくれた。
あとは魔王ドラヴァインが俺と同行することを認めるかどうかだな。
「あのドラヴァインさん、オリビアさんは同行することを認めたようです。ドラヴァインさんは俺達と同行しますか!?」
「ふん、お前の能力によって同行するしかないじゃろ。しかし、覚えておれよいずれこの刻印を解除して八つ裂きにしてくれるわ。」
はははは、なんて末恐ろしいことを言うんだ。この先が思いやられる。
「と‥‥‥ともかく、皆さん同行するのにいいと返事が聞けましたし、ひとまず街に向かいましょう」
「そうじゃのうこんな草木が生い茂っている薄暗い森に居てもしょうがないしの。街に向かおうか。」
ほっ、オリビアさんがうまいこと、進行してくれたことで街に向かえるぞ。
こうして、俺達は魔王と一緒に街に向かったのである。
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