第53話 もしかしてスト



「どうやって気付いたのよ。もしかしてスト──」


「ストーカーじゃないですよ。バビロンが先輩が動いたのを察知したからです。ここにただ来ただけてわけじゃないんですよね」


「……DMで犯人ぽいやつからここでやるって犯罪予告をされたからよ」


「犯人ぽいやつじゃなくてもネットの人間の言うことを鵜呑みにするのは危険極まりないですよ」


「確信があったのよ。前遭遇した時の事一方的に調子乗るなみたいな感じで送ってきたし」


 調子に乗るなか。

 前少ししか会ってないけど自分の力に自信がありそうな感じではあったからな。

 言いそうではある。


「俺たちは外では普通の人なんですから。なおさら殺人鬼に指定されていくのはまずいですよ」


「でも最近姿を隠しているんだからこれに乗るしかないじゃない。このまま逃げられて一生浮上して来ない可能性もあるのよ。人を散々殺してきて、逃げたから全部帳消しですなんて受け入れられるわけないじゃない」


「納得できないのはわかるんですけど」


 言われれば確かにわからんでもないけどと思うと、通行人が一人近づいてきたので避けようとすると何故か綾美先輩の方に不自然に体を動かすのが見えた。

 綾美先輩を突き飛ばす。


「チ、気付きやがった!」


「バビロン!」


 横腹に鋭い痛みが走った。

 反射でバビロンに男を飛ばすように念じると、ダンジョンの入り口に向かってバビロンが男を巻き込んで進み始めた。


「なんだこの女! 人間かよ本当に!」


「対象の排除を開始します」


 うめき声をあげながら、男が入り口の闇に消えていく。


『舐めるんじゃねえ!』


 ダンジョン内で巨大ロボットになったバビロンに処分されるかと思うと前回と同じように巨大ロボットを召喚してこちらを殴ろうとしてくる。

 バビロンがそれを受け止めると、コクピットに転移した。

 明らかに俺を狙ってきたから安全確保のためだろう。


「またやるのか。こっちは本調子じゃないとはいえ結果は見据えているだろうに」


『黙れ! 生身でならやれると思ったのにこんなの聞いてねえんだよゴミがあああ!』


 俺が愚痴ると殺人鬼との再戦が始まった。


  ────


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